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帝国湯 荒川区東日暮里3−27−10 03-3891-4637 15:00-24:00、月曜休、番台。 三河島駅を降りたら尾竹橋通りを南下する。最初の路地を左折して進むと左側に雲翠泉がある。ここを通り過ごして次の角を右折すればすぐの右側。駅より7分の記載。 コメント:懸魚はないのだけれどもいかにも名前通りの堂々とした構えのレトロ銭湯だ。特に大きくて縦長の暖簾を使っているところがユニークで、ゴージャスな感じを醸し出している。で、一見して綺麗な感じがしたので和風に改装してあるのかと思いきや、昔のままの木の素材を大切に使っているだけだった(暖簾ひとつでこうも印象が違うものか?と感心)。細かいところを見ても玄関上の格子状の透かし彫りや和風のランプ傘?などなかなか凝った意匠が散りばめられている。 左右の踊り場から上に上がり、下足箱(さくら錠)に靴を入れて中へ入る典型的な東京パターン。入り口の扉も昔のままの重々しい木製の引き戸だ。わくわくした気持ちで中へ入って、「ほ〜、すばらしい」の一言。大きくて広々とした脱衣場は左奥にL字状に広がっている。そのクランクした建物の縁を取り巻くように庭(池には錦鯉が泳ぐ)が広がっており、浴室の脇の方まで伸びている。規模は違うが足立区のタカラ湯の庭を彷彿とさせるようなそれは見事な作りだ。おまけに季節柄か、縁側に続く木製の引き戸がめいっぱい開け放たれてあって、さらには浴室へ続く扉も開けたままなので、自然の風が浴室から庭へと駆け抜けており、たまらない開放感、すがすがしさに満ち溢れている。天井はもちろん丈高の折り上げ格天井で、凝った飾りも施されている。大黒柱に取り付けられている柱時計は見事なもので、都内随一の大きさでは?と思えるほどのもの。がっしりとした番台、タナカのアナログ台秤などの脱場の定番グッズのほか、あちこちに長いすが置かれていて、ゆったりくつろげる空間となっている。掃除もかなり行き届いている上に、縁側にはさりげなく蚊取り線香がたかれ、島ロッカーの上には無料サービスの飴玉が置かれたりしている。一見すると何の変哲もない普通のレトロ銭湯なのだが、実に細かいところに配慮が行き届いたマル特銭湯だ。 さて、洗い場の様子はというと、比較的広めの空間に島カラン1列。タイルなどは綺麗なものに張りかえられているにもかかわらず、中央の島カランには鏡もシャワーもない(新しいものとしては珍しく、頑固に昔のコンセプトを守ろうと言うわけか?)。庭に面した壁際の木製の窓も大きく開け放たれていて、庭の緑がよく見える。カランの配置もゆったり目にしてあって、何と5-4-4-6の配置。(湯温・湯量良好)。洗い場正面には定番のペンキ絵。男女境にまたがる富士山と富士五湖?が描かれているのだが、良く見るとヘリコプターや遊覧船も描かれていてこれはもしかするとまた柴田師の手によるものか(本来の絵師ではないとの・・・)。さらに浴槽の下にはL字上に九谷のタイル絵が取り囲む。絵柄は大きな錦鯉、金魚、背景には珍しく中央にもみじ、左手に松?が描かれている。そして浴槽は3浴槽で左から実母散の薬湯(42℃ぐらい)、中央に白湯の浅湯(2点ジェット数本)と深湯が並んでいて湯温は44‐46℃とかなり高め(窓を開け放っているので、高めでないとすぐさめてしまう)で、気持ちがいい。湯船の両サイドに小さい岩山が造られていて、そこからお湯が流れ出ている。最後に男女境の壁のビジュアル。既製品のチップタイル絵と思われるが、絵柄は海辺の松並木と海に浮かぶ小さな帆船などで、洋風な王城とは違って違和感なく溶け込んでいる気がする。 そんなわけで、東日暮里の帝国湯はさりげないサービスが行き届いた都内でも屈指の名銭湯だ。 |
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