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内部の写真へ続く |
松の湯 愛知県半田市乙川市場町2−46 0569-21-1932 16:30-22:00、月曜休、番台。 アクセス:JR武富線(東海道本線の大府駅から枝分かれする)の乙川駅北側で降りたら駅前通りを北上する。駅前から数えて次の信号の手前の左側に交番があるが、その反対側の路地を右折してすぐの左側。名古屋から名鉄線でいく場合は半田口駅で下車。駅前をひたすら東へ1.5kmばかり行く。十ヶ川および阿久比川(平行して走る)を渡って2つ目の信号を右折して今度は南下する(この道が乙川駅に続く道)。右手に交番があったら、反対側の路地を左折してすぐの左側にある。乙川駅から7-10分ぐらいか。 コメント:連休初日、愛知県は半田市の最後の銭湯となってしまった乙川(おっかわと読む)の松の湯を訪問した。 所用で訪れたのは常滑市だったのだが、どうやら常滑には銭湯は残っていないらしい。そこで隣町の半田市まで足を伸ばす。とはいえ、用事を済ませてから急行したのが夜の10時。地方の銭湯だから到底営業しててももう終わりだよと思ったものの建物だけでもと思って言ってみたら、何と電気がついてる。ドアをあけたら親父さんが出てくるところで、閉めようとしていたのか、何とか許可をもらって入浴できることに。 下調べでは愛知県の浴場組合のリストには載ってない。電話帳で調べたら唯一出てきた銭湯が松の湯だ。で、そのことを聞いてみたら、「半田にも14軒銭湯があったけど今ではうちだけだから組合も何もない。うちも止めようと思っているんだが・・・もう少しやるかな・・・」などとおっしゃる(どっちなんだろう)。いずれにせよそう長くは続けられそうにない雰囲気だ。 苅谷浴場が組合のリストにないのだが、廃業したのだったっけ。だとすると半田市はおろか知多半島最後の銭湯という事になるかもしれない。刈谷市の隣の大府市には協和温泉、知立市には泉湯、高浜市には松の湯というのが残っているが、知多半島からは外れているように見える(地図では)。 なお、数年前まであった半田市の寿湯はそれは見事な銭湯であったようだ。特に脱衣場の欄干の黄金の鳳凰?図はすばらしい。また亀崎にあった東湯は明治末(1910年ごろの築)の超レトロ銭湯だったようだ。平成13年の町のスケッチ大会には描かれているので、その頃までは現存していたようだ。今は何と明治村に移築されて保存されている。それから常滑市の大野町にあった大平湯は現地でギャラリーとして保存されているようだ。帰りの名鉄で外を眺めていたら銭湯の煙突らしきものを見かけて驚いたのだが、あれがひょっとすると旧大平湯の煙突なのかもしれない。 さて、乙川の松の湯だが、暖簾が掛かってないこともあって、実は最初は前を通ったのに素通りしてしまった。夜の10時ということもあったが、なかなかそれらしくない建物なのだ。明治・大正というよりは昭和レトロの面影が強い外観だ。住宅でよく使われているような木の壁の木造建築。屋根の上のほうには切り妻屋根がある。サイドを見ると大きなホーロー看板が貼られていて、昭和レトロ感濃厚だ。白目のペンキも剥げ剥げで、目いっぱいという感じ。 中に入るといかにも狭い感じ。玄関というものはほとんどなくて、すぐ右手に番台、下足箱も個人の家の棚状のもが数段あるだけだ。なんとなく沖縄の銭湯を思い出した。天井は低めながらも格天井。壁際に箱状のロッカーが2台あり、男女境は鏡壁になっている。体重計はKeihokuだったような。親父さんは男湯側の脱衣場でテレビの刑事物の夢中になり出して、話ししてても何となく上の空。というわけで、後ろ向きの親父さんの後ろでたんまりと写真を撮らせてもらった。2人以外に人のいる気配は全くしない。というか、何時間も前からそんな感じだったような雰囲気だ。 洗い場へ。ここもスペースとしては小さい。カランは左の壁際に5個あるだけ。しかし、浴槽は結構一杯あるのだな。右の男女境には2槽。奥がバイブラになっていて、手前はただの白湯。さらに奥の壁の下の両側角に浴槽が1つづつあるのだが、この配置は何となく不思議。どちらもお湯が張られているのだが、何時間も人が入ってないようで、上と下の温度が完全に分離していて、ほとんど醒めてしまっていた(25度ぐらい?)。手前の主浴槽で41度ぐらいかな。 で、ビジュアルなのだがこれが結構あるのだな。正面壁にはチップタイル絵。日本的な山並みと湖水の水車の回る東屋が描かれている。で、主浴槽の外の床、みんなが通るところにチップタイル絵があるのだ(こんなところにあるのは珍しい)。それが逆さ富士のようでもあるが、少し補修されているようでよく分からない。逆さまに山が2つあるように見えるのだが・・・ 天井はぼろぼろでさすがに板張りではないので、板は剥がれ落ちたりはしていないが、はげ剥げのペンキの皮が落っこちてきそうな感じだ。薄暗くて物置のような感じすらする。浴槽やカラン周りの豆タイルがかわいらしくて、なんとなく曲線で囲まれているのが優しい感じだ。 というわけで知多半島最後の銭湯(伊勢湾の反対側の三重県にはまだいくつか銭湯が残っているのに・・・)の半田松の湯は、住宅街の中に埋もれた(周りは新しい住宅に置き換わりつつある、現に斜め前の建物も新築中だった)半田銭湯軍団最後の生き残りといった感じだった。ちなみに1952年ごろには半田にも30件あまりの銭湯があったらしい 。 付記: 追加写真は愛知の中部国際空港と常滑焼の登り窯。 |
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