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いこい湯 ikoiyu
足立区江北4−27−3
03-3890-7310
15:30-22:00
第1・3水曜休、番台







訪問記 【2008.11.2】

東京都交通局の「日暮里・舎人ライナー」ができて確かに足立区が身近になった。というわけで今日は江北駅至近のいこい湯へ。いこい湯の外観は昔ながらの千鳥破風瓦屋根の大きな一軒家銭湯。コインランドリーもなくて、両脇には築地塀がきれいに伸びている昔ながらの銭湯。いこい湯と書かれた看板もなく、営業開始後も暖簾も掛けられていない。とにかく何もかもあっさりとした銭湯だ。玄関を入ると何も置いてないせいかとにかく広く感じられる。正面が鏡壁になっているのでなおいっそう広く感じるのかもしれない。左右の踊り場には定番の下足箱(さくら錠)、入り口引き戸の上には「男湯」、「女湯」 と書かれた重厚な感じの摺りガラスがはめ込まれている。


脱衣場に入ると左側に番台。白髪の旦那さんに料金を払って、お遍路スタンプをもらう。ここの天井は板張りだが格子状に跡が付いているので、前は格天井だったのかもしれない。脱衣場もきわめてシンプルで、広くてあっさりとしている 。縦に島ロッカー1列。土庭のようなものがあるが、引き戸は開けないで下さいと書いてあるのでそれに従う。引き戸の手前に古くて大きなベンチが外向きに置かれている。トイレは浴室入り口脇にあって、昔懐かしい感じの昭和のトイレ。木の小さな窓があって、何と裸電球(これを見るのは久しぶりのような気がして嬉しくなった)。

男女境は鏡壁で、入り口脇には大和(確か)の旧型のアナログ体重計。壁に浴場組合のポスターが貼られているのだが、OLが風呂桶もって相談している庚申湯のポスター。久々に良く見たら庚申湯の左側に材木置き場がある。これって実際と反対。写真を裏返して使っていたことに今気が付いた。だから本当は右側にあるはずのポストが映ってなかったのだ (これがずっと謎だった) 。。


洗い場へ入って、思わずうなってしまった。正面のペンキ絵が古い。古くて何が書いてあるのか解らないほど。よくよく見てみるとなんかヨットハーバーの近景のようなのだ。マスト柱が2本ある舟が5-6 隻停泊しているのが良くわかる。奥は山並みなのだが、上のほうが解読不能状態でどこの港なのかまったく解らない。和風なのか洋風なのかもわからない。山の緑もきめ細かくてちょっとペンキ絵らしくない。ひょっとして写真?と思えるほど。後で近くによって見るも下半分はテラコッタ化粧タイルに改装されていて、ペンキ絵は高いところにあるのでやはりどうも良くわか らない。ペンキ絵だとしたら現役3師のものではないのは確か。あまりに古いので旦那さんに聞いて確認するのも躊躇してしまった。

さて、カラン周りだが一回改装されているようで、石が使われてがっしりしたもの。島カラン2列、カランの配置は7-7-7-7-7-8、だったかな。カラン数からしてもとにかく巨大な銭湯だ。カラン(和栗の碁盤石状の物)の湯温・湯量は良好だが、シャワーはいつまでたっても熱くならないのは愛嬌。立ちシャワーブースも右に1個あるが、お湯の感じは同様。湯船は昔ながらの浅湯深湯で、2点背ジョット2条。右脇にがあって湯が注がれている。小さな赤外線が2個あったような。浴槽のタイルは最初のままのようだ。湯温は43 ℃ぐらいでちょうどいい。そして最後に男女境壁にモザイクタイル絵で見事な富士山と和風の湖水が描かれている。


というわけで、いこい湯はほとんど昔のままの巨大な館骨のあっさりレトロ銭湯で、超レトロファンにはこころに響くお宝銭湯だ。風呂から上がって着替えていると旦那さんに「どこから来たの」と声をかえられたのをきっかけにいろいろと話を窺う。「奥には都営住宅があって昔はカランが一杯になるほど満員だった。」などの話を聞いて、思わず「人で一杯の巨大銭湯」の様子を想像してしまった。周りはきれいな住宅やマンションに囲まれて、なんだか治外法権のように残されたこの場所が、千と千尋の幻の湯屋のように感じられた。

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