スペインでの事件
 2000年の秋のことだったでしょうか。突然の知らせが届きました。「スペインを旅行中の織田さんが突然暴漢に襲われ、後ろから首を絞められ、その時の怪我のせいで声帯のまわりの軟骨が変形してしまい、声が変わってしまった」という・・・。織田さんの声をこよなく愛してきたファンにとっては衝撃的な事件だったわけですが。その辺の事情についてはファンクラブを通じて織田さん本人から公式メッセージが届きましたし、少ししてから「笑っていいとも」に出演し(12年ぶりの「いいとも」だったとか)、元気な姿を見せてくれたりもしました。何よりの救いは織田さん本人がこのアクシデントを前向きにとらえていたこと。歌手にとっては「声帯を痛める」ということは致命的なことなのに絶望せず、地道にリハビリを続け、見事復帰しましたからね。声は確かに変化したけれど、まったく別の声になったわけじゃないし。この事件をきっかけとして織田さんは公式HPで日記を書き始めました。最初の頃は毎日書いてくれていましたが、ここしばらくは更新もとどこおりがちですね(週1ペース?)。どうやら10年ぶりのニューアルバムのレコーディングがけっこう煮詰まってきているようなので・・・。

 この年の11月1日の日記で織田さんはこんなことを書いています。

 「人間の運命というものに関して俺は、起きるべき時に起きるべき事が起きるべくして起きるものだと思っている。 正直な話、声が出なくなるまで自分がこんなに歌を歌いたいとは気が付きもしなかった。ただそれももしかするとちょっと飽きてきた筈の恋人に別の男が出来たとたん物凄く惜しくなった、みたいな所もあるのかもしれない。音楽というもの、歌を歌うという事。ここでじっくり考えろって言われているんだろうね。実際このままじゃどうにもならない所まできていたよ。ほとんどアル中だったし。精神安定剤にもかなり世話になった。ここ数年ほど人生でつまらない時期はなかった。辛い時や悲しい時は色々あったけど、こんなにつまらなかったのは初めてだよ。全部俺が悪いんだけどね」

 逆境にあっても決して希望を失わず、それを逆手にとって自分のプラスに変えていく姿勢は、実は私自身にも重なる部分でして、大いに共感できました。1年後のインタビューで「昔とは違うけど、歌としては逆に良くなったかな」と発言してますしね。この事件がなければ織田さんの日記がHPで読めるということもなかったのかもしれないし。
 


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