雨 具 
 
 山登りにとって雨具はかかせないものです。
 
 日本の気候条件を考えてみると,はっきりいって雨の降らない季節はありません。3日に一度
 
 は雨だとも言われます。夏山においては,あたためられた空気が高層で雲を作り,突然雨をふ
 
 らせることも少なくありません。秋,春の山においても濡れることによる体温低下は命にかかわ
 
 ることにもなります。雨は合わないように山登りしても,絶対に雨に合わないという保証はない
 
 ということです。
 
 
 では,山登りに適した雨具とはどのようなものをいうのでしょう。
 
 
 @ 水滴を雨具の中に通さない。(これ当然)
 
  A 山登りという運動によって発散される汗を外に逃がす。
 
  B 体全体をおおってくれる。

 
 この@とAは大変矛盾した性能です。
「一方からは雨を通さず,一方からは水蒸気を出せ」
 
 んて無茶だ! と思いますが,それが可能なのです。
 
 
 雨の水滴よりも小さく,水蒸気より大きい素材を使うことで,防水ができ,蒸れない雨具を作る
 
 ことができます。防水透湿性素材といわれるものです。ゴアテックスなどがその代表であると言え
 
 ます。
 
 
 実際に雨の中をビニール素材のレインコートを着て歩くとわかるのですが,雨に濡れていないは
 
 ずなのに,皮膚とレインコートが接する部分はすぐにびちょびちょになってしまいます。短時間なら
 
 これで我慢ができるのでしょうが,夏山といえど高さによっては,体温の奪われ方によっては,歩
 
 行困難になったり,低体温症になったりします。
私の場合,5月に久住山系を,ビニールのレイン
 
 コートで歩いてみたことがあります。
ゆっくり休憩しようものなら,体はいっぺんに冷え,ズボンと
 
 内側から濡れたレインコートの摩擦が強く,歩きにくく,すぐに内股が痛くなってしまいました。これ
 
 がもう少し寒い日だったら,命にかかわるとぞっとしたものです。
 
 
 その他,山に適した条件を挙げてみると
 
 
C 軽くてコンパクトにたためるもの
 
 D 縫い目の少ないもの(立体裁断)
 
 E 襟の立てまでファスナーが上がるもの 

 F フードの前面につばがあって、フードが襟に収納できるもの
 
 G いざというときのために目立つ色を選ぶ(遭難したとき見つけやすい)

 

 
 などがある。価格的には2〜3万はするが,命を守るために是非購入しておきたい。
 
 ビニールのレインスーツで試してみようというのは,経験上,雨具に関してはおすすめできませ
 
 ん。
 
 
 後,
折りたたみ傘も携行しておくと,ちょっとした雨の時にとても便利です。
 
スーツ式(ジャケット+パンツ)
 
山登りに適したレインウェア。

ポンチョ型
 
ザックまですっぽり覆えて便利だが,山登りには十分でない。だって,山の雨は上から降るとは限らない。
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