足の筋肉
 
 
 人間の体には,400種類以上の筋肉があるといわれる。
 
 山登りでは,足の筋肉を使うのは当然わかる。では,どの筋肉をどのように使っているのだろう?
 
 山登りにおいて使う足の筋肉は,おおまか次の3つである。
 
 
  @大腿四頭筋・・・・ふとももの筋肉
 
  A下腿三頭筋・・・・ふくらはぎ
 
  B前頸骨筋・・・・・・すね

 
 
図で表すと下のような位置にある。
 その役割を見てみると
 
@ 大腿四頭筋 膝関節を伸展する。登山の主要筋。段差の大きな登りでは,酷使される。
また,下りでは非常に大きな負担がかかる。
A 下腿三頭筋 足関節を伸展する。岩場や雪渓など,つま先で立つような場合には負担が増す。
B 前頸骨筋 足先を持ち上げて,つまづかないようにする。
 
 特に山登りで重要なのは,「大腿四頭筋(ふともも)」である。この筋は登り,下りとも酷使される。
  
「下腿三頭筋(ふくらはぎ)」は,歩くことに重要で,平地でも多く使われる。
  
 このことは,下のグラフを見るとはっきりしている。
 
 グリコーゲンの減少量が大きいほど,その筋肉がよく使われているということである。
 
  
 「下腿三頭筋(ふくらはぎ)」は,平地でもよく使われ,登り坂でももちろん使われている。
 
 一方,「大腿四頭筋(ふともも)」の筋肉は,平地ではあまり使われないのに,登り坂では
 
 よく使われていることがわかる。このふとももの筋肉は下りでは,着地の際のふんばりに
 
 酷使されているのは,山登り経験者ならわかることだと思う。
 
 
 つまり,登りにおいても,下りにおいても
 
 「大腿四頭筋(ふともも)」の働くところが大きいのである。

 
 
 この「大腿四頭筋(ふともも)」を鍛えておかないと,登りはがんばれても,下りでふんばり
 
 きれず,膝で着地のショックを受け続けるため,「下りはつらい」という状況におちいる。
 
 
 また,「前頸骨筋(すね)」の筋肉が弱いと,下りでつま先のコントロールができず,木の根
 
 や石につまづいて,転倒することも多々ある。初心者でよくこけるという人は,これらの筋
 
 肉を鍛える必要があるというサインだと考えたらいいと思う。
 
 
 では,どのように鍛えるのか?
 
 
実は山登りというのはある意味特殊な運動で,実際に長い登りと長い下りをすることが
 
 一番のトレーニングとなる。
自転車やジョギングなどもあるが,あくまで補助的な運動だと
 
 考える必要がある。階段の登り降りがいいトレーニングにはなる。
 
 しかし,そんなに,あなた,何時間も階段の登り降りなんてできますか?
 
 
 一番いいのは,山登りに多くでかけることである。できれば週に1回,または月に2回。
 
 この程度の山登りをしていれば筋力をある程度持続できるようである。
 
 これが1ヶ月あくと,筋力が落ちていることを実感することとなる。
 
 しかし,ご心配なく。経験をつめば,よほど無理な山に行かない限り,自分にあった歩き方で,
 
 1ヶ月のブランクはカバーできそうです。
 
 
 私の場合,入院等で2ヶ月のブランクを空けたことがありました。このときは,
 
 少し,はあはあぜいぜいしました。(笑) 
 
 でも,その1週間後は,もう筋力がだいぶ戻っていました。
 
 
 
 難しく考えず,山に多く通うこと,これが筋力アップの最大のコツのようです。
 
 
 
 
参考文献 「登山の運動生理学百科」山本正嘉著 東京新聞出版


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