なぜつかれるの?
 
 山登りで歩けば,当然疲れる。当たり前のようだけど,なぜつかれたと感じるのだろう?
 この「疲れ」を感じるのは,疲労物質「乳酸」の蓄積が大きな原因となっている。

 では,いったいどのように歩けば乳酸が増えるのだろう?
 
 ひとそれぞれに感じ方は違うだろうが,歩行速度が速くなるほど,乳酸値は増加する。心拍数は,歩行速度に比例して増えていくのだが,乳酸値は,90(m/分)を過ぎたあたりから,急激に増え出す。(これは測定者によって異なり,個人差がある) 体の感じ方でいうと,きついと感じたあたりから,乳酸値は急激に増えていくことがわかる。

 長時間続けて,この乳酸を増やさないためにはどうすればいいか。そう,ややきつい程度か楽と思う程度でゆっくり歩くことが,山登りの基本となるのである。

 これに傾斜が加わり,荷物という加重が加わると,その程度により,もっと遅い速度で乳酸値が増える場所があらわれる。その時も,ややきつい程度か楽と思う程度で歩くことが大切である。

 記録を出したい,体を鍛えたいという目的がある場合は別だが,木々を眺め,思いを巡らし,風を感じる山登りがしたければ,きつくないようにゆっくり歩くことがキーワードとなる。
参考文献 「登山の運動生理学百科」山本正嘉著 東京新聞出版局

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