秋が深まるこの頃、山を闊歩するのが楽しい。 白嶽ピストンのみではなく、あちこち足を伸ばす楽しさを感じる頃となった。 今日は、久しぶりに白嶽三角点を目指してみよう。 白嶽山頂を経て、鳥居まで戻り、三角点取付から気合いを入れて三角点へ。 が、んっ、道がない・・・ 昔の記憶をたどりながら進むが、倒木の数々、そして、シダの葉が斜面一面を覆い尽くし、 道がまったくわからない。 このシダの中に踏みいる訳にはいかないので、シダを避けるように、大回りして進む。 山腹を進んでいくと、ロープ場に出た。 そうそう、こんな場所があった。記憶をたどる。 が、またその後が、また道がない。 とにかく地形図をもとに、谷をつめながら進んだ。 この谷は、美しい植林帯だったのだが、剪定された枝があたり一面を埋め尽くし、 まっすく進めない。 剪定された枝の先は朽ちて落ち、槍のように尖ったたくさんの枝の残骸が幹に残り、上を向いている。 足を滑らせて、突き刺さっては大事だ。 避けて進むが、また剪定地獄に迷い込む。 気をつけていたが、ズボンを引っかけてしまい、やぶれてしまった。 ああ、お気に入りの山ズボン・・・・ 剪定地獄を避け避け進み、やっと鞍部に到着。 ここからは、自然林の道、ほっとしながら、三角点を目指す。 三角点に着くと、眺めがいい。 独り占めの贅沢な場所だ。 腹は減っていないが、この眺めで弁当を食べない手はない。 眺めを楽しみながら、弁当とする。 コーヒーも飲み、ゆっくりした時間を過ごした。 さあ、あの道を下るか。 気合いを入れて下山する。 植林帯の剪定地獄は、登りでは見えなかったが、うまく回避できる道がそれとなくあった。 が、不安定な石の道が続く。 人が歩いていない道なので、浮き石に注意していたが、 急な下りで、思わず、浮き石を踏み、バランスを崩し、体が中を飛ぶ。 これは、足をやるかもと覚悟した。 着地して、足の感触を確かめる。 大丈夫だ。 今日は慎重に進まねば・・・ その後、なんとか下り、ロープ場にたどり着いた。 正規の登山道だ。 正規の道を進むと、シダが茂っていて、どれが道かわからない。 今度来たときのために、登山道をはっきりさせようと、登山道上のシダを手で折って排除する。 10mほど、道を作った時、進む道の前は倒木に覆われ、シダの排除では登山道が復活できないことを悟る。 が、すでに一面シダの中、もとにも戻れない。 登山道であったであろう場所のすぐ横をシダをかき分けて進む。 シダは倒木や剪定の木などの上に茂っている箇所もあり、 足下はどこを踏んでいるのか見えないし、わからない。 と、体がストンと落ちた。 落ちた枝が重なった場所を踏み抜いたようだ。 枝が足に突き刺さらないでよかった。 上がろうとするが、なかなか身を引き起こせない。 今日はなんという山歩きだ。 冒険歩きになってしまった。 なんとか体を引き上げ、足下が地面となっている場所を探す。 やっと地面を踏み、このシダ一面を写真に収める。 その後は下らず登り返し、とにかくシダ野原を抜け出すことに全神経を集中させた。 やっとシダを抜け、ほっとする。 あとはなんとか尾根を伝えば降りられそうだ。 現在位置をYAMAPで確かめようと、ポシェットを開ける。 んっ・・・ んっ・・・ スマホがない・・・ えっ、シダ野原の前に位置を確認したときにはあったはず・・・ もう一度、ポシェット、ポケットを確かめる・・・・ が、ない。 さっき、シダ野原を写真に撮ろうと、デジカメを出したときに落ちたに違いない。 まてまて、どの場所を通ってきたか、もうわからない。 この隙間なく繁ったシダの下にあるスマホを探すことができるのか。 頭は小パニックである。 「妻に電話をかけて、かけなおしてもらえば場所がわかる。」 「いやいや、そのスマホがないのだ、何を考えている。」 冷静になって考える。 「今、1時30分。私の携帯には3時過ぎに定期のメールが入る。 午後3時まで探して、見つからなければその音を待つ。 それでも見つからなければ明日、鎌持参で再びこの場所に来て、 シダを刈りながら探す。」 とにかく、探してみよう。ザックはここにおくか。 いや、ここに戻れないかもしれない危険姓もあるので、 ザックは背負ったまま、シダの中に分け入っていく。 どう来たか、冷静に考えながら慎重に一歩一歩進む。 先ほどとった写真を見ながら場所を特定して進む。 確認ができていない方向には進まないように気をつける。 やみくもの探すことは、見つかる可能性を低くしてしまう。 5分くらい進むと、 「!!!」 あった。 シダの枝に引っかかった状態で、私の到着を待っていたかのようにぶら下がっていた。 よかった。 見つかったことは、奇跡だ。 慎重に尾根道を下り、正規の登山道にたどり着く。 無事に帰れることだけで、幸せを感じる山歩きとなった。 そんな中、yashiさんと出会った。 こんな歩きのあとなので、yashiさんの顔を見てほっとした。 無事に降りてきた実感があふれてきた。 久しぶりにあったので、近況を報告し合い、 それぞれの登山口に向かって別れた。 一人の藪道はちょっと気をつけなければと心を引き締めた。 久しぶりの危機に溢れた冒険歩きとなった。 |
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