ミヤマキリシマが満開の頃、一度は行ってみたかった平治岳。 山登りを始めて15年、ずっとこの季節に久住に行ける機会がなかった。 今年は、いろいろな花の開花が一週間ほど早いようだ。 この日絶好の天気。 千載一遇のチャンスとばかり、平治岳を目指すことにした。 大村から下道で車を走らせ、4時間半。 午前1時半、長者原に着く。 駐車場にはたくさんの車が仮眠中。 仮眠をとって、午前6時に出発。 実は、毎朝、スマホで見るライブカメラがある。 この画像。ずっとカメラの位置はどこだと探りたかった。 探しながら、場所を特定。ここだったのか。 木道を進み、雨が池を目指して、登山道に入る。 沢音が心地よく、山に抱かれる幽玄な森に足を踏み入れる。 沢音と小鳥の声、そよぐ風、歩いていることが幸せになる。 森が明るくなる頃、雨が池に着く。 ミヤマキリシマがお出迎え。 雨が池を越えて、坊ガツルへ。、平治岳が姿を現す。 坊ガツルでしばし、平治岳を眺める。 赤くなった山頂付近に思わず見とれてしまう。 山が赤くなるなんて、不思議な風景だ。 滑り安い黒土の道をてくてくと登っていく。 登りがきつくなってくると、ほどなく大戸越に着く。 見上げる平治岳に感動。 ここだけでも、すでに美しい。 平治岳に向かって登り出す。 急登だが、立ち止まり立ち止まり、振り返り振り返り、花を楽しむ。 南峰に着き、坊ガツルを俯瞰する。 定番の眺めだが、いやいや美しい。 いいアングルを撮ろうと、ベストポジションを探す。 カメラを眺めていると、隣にも一生懸命写真を撮る男性が一人。 いやあ、この眺め、写真に夢中になるよなあ。 んっ? この服・・・このザック・・・この後ろ姿・・・? しかし、思い当たるその方には、実は一度しか会ったことがない。 しかも、白嶽登山道で言葉を交わしたのは1〜2分。 ん〜、間違えていたら大変、話しかける訳にもいかず・・・ その方が振り向くのを待つ。 振り向いて、むむっ、お互い時間が止まった。 ゆいまーるさんである。 対馬在住時、対馬の山を楽しんで、ネットやメールでのやりとりでお世話になった。 足を骨折した時も温かいメールをいただいた。 対馬を転勤されるとき 「いつか、どこかの山でばったりと会える日を楽しみにしています」 とメールをいただいた。 まさか、本当にばったり会えるとは。 それも同じ場所で写真を撮っているなんて。 奇跡の再会に気分は高揚する。 ゆいまーるさんは、立中山を目指すとのこと。 いやあ、山って不思議なことを起こしてくれる。 しばし近況等を話した後、お互いの山を目指して歩きだす。 平治岳本峰を目指して歩くと、その姿に感動。 登ってきた方々の感嘆の声が響く。 山の斜面が咲き誇る花で、埋め尽くされている。 あまりの美しさに見とれながら、本峰に向かう、 たくさんの方とすれ違い、お互い待ちながら、狭い道を進んでいく。 本峰までの中腹あたりで、たくさんの方とすれ違う。 おっ、立ち止まって待ってくださる方がいる。 早く、通らなければ。 っと、顔を上げる。 「おお〜」 人目もはばからず、思わず声を上げてしまった。 目の前には、こちらを見て、満面の笑みを浮かべるhirokoさん。 その前には、hirokoパパさん。 山を始めた15年前から、おつきあいをさせていただいているhirokoさん。 家族共々かわいがっていただき、大村の家に来ていただいたり、 対馬の家にhirokoパパさんと泊まっていただいたり、 島から出てテント泊をする私を自宅に泊めてくださったり、 今年は、一緒に登りたいと思っていた矢先、 こんなところでお会いできるとは。 ばったりの出会いを喜んでくれるhirokoさんとhirokoパパさんと一緒にいるだけで幸せな気持ちになる。 ゆいまーるさんとの出会いに感動していた矢先のまたまたの奇跡。 平治岳はたくさんの奇跡をくれる。 ずっと話していたいが、今年は妻とご一緒させてくださいと話して、それぞれの道に進む。 山頂にはコヨーテさんも来ているという。 なんて山だ。 山頂に着くと、コヨーテさんとばったり。 同い年のコヨーテさんとは、大船山でばったりしたこともあった。 対馬の白嶽に来て、一緒の登ったなあ。 なぜか二人で歩くことになった犬ヶ岳の思い出。 いろいろな思い出が頭を巡る。 花に詳しいコヨーテさんに聞くと、今年のミヤマキリシマの咲きっぷりは素晴らしいらしい。 その言葉通り、平治岳の咲きっぷりにはただただ感動。 花が咲く平治岳を散策。 一面の花、天国の中にいるようだ。 南峰に戻る途中、腰掛けて休憩しながら、眺めを楽しんだ。 ふと、空を見ると、不思議なV字雲。片方はまるで龍が登っているようでもあった。 平治岳を下り、大戸越に着くと、またまたhirokoさんが笑顔で迎えくださった。 コヨーテさんとも再び話せた。 花満開の平治岳のすさまじさに圧倒されっぱなしの山となった。 たくさんの人でごったがえす山は苦手だ。 いや、苦手だった。 苦手な中に飛び込むことで、未知の世界が開けるような山でもあった。 奇跡の出会いに感謝感謝の平治岳だった。 |
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