大学生になった娘が帰省してきた。 何がしたいか聞くと、「お父さんと山に登りたい」と言う。 涙が出そうな話だ。大学生で帰省して数日間しかない中なのに、親孝行な娘だ。 どこに行くか思案するが、先日妻と登ってツツジがきれいだった井原山に登ることにした。 花はあまりないであろうが、少しは残っていることを期待して、登山口に向かった。 登山口近くに着くと、たくさんの車が路上駐車している。 停める場所をなんとか見つけ、登山の準備をする。 と、雷山方面の登山口に向かうグループの方がこちらを見て微笑んでいる。 んっ? びっくり! 山馬鹿さんである。 と、その横にはそよ風姉さん。 思いがけずの出会いにうれしくなる。 お二人は、10年前に対馬にこられて家に泊まっていただいた。 妻がいない日に子ども達と一緒に食事に行って、子ども達をかわいがっていただき、楽しい時間を過ごした。 と、その頃を娘に説明するがぴんとこない。 小学校低学年の頃なので、無理もない。 後で、店の名前を伝えると、ああ、あの時のと思い出したようだった。 そよ風姉さんと山馬鹿さんとの山でのばったりは3回目。 会うだけでいつもたくさんの元気をもらう。 雷山方面から縦走されるようなので、挨拶をして、娘との登山開始。 ほどよく登りの道を登っていく。 話しながら登れる傾斜がありがたい。 帰省している娘は山に行く用意はしてないので、妻の服を着用している。 「私、人からおばさんに見えるよね。」 との一言がおかしい。その通り、私でさえ、妻と歩いているような錯覚をしそうになる。 笹の道を過ぎると、ツツジが咲き誇った名残がところどころにある。 地面に落ちた花びらや、たまに残る花たちでも、娘は満足そうである。 山頂に着くとたくさんの方々が休憩されていた。 一週間前に妻と来たときほどの花はないが、少しの花でもうれしくなる井原山である。 天気もよく、山頂の時間が気持ちよい。 娘はうとうとし始めた。 昔から山に来ると眠くなる奴だった。 幼い頃はおんぷをして下山したものだ。 そんなことも懐かしい思い出話となる。 昔、雪をまとった由布岳を見て 「いつか私とお父さんと二人で、あのお砂糖のお山に登ろうね」 と行った娘。 今日の井原山、十分父は楽しんだ。 東京での大学生生活は大変なことはいっぱいあるだろうが、 夢に向かって進んでほしいと願うのみである。 家族と来る山の時間。 たまにあると幸せでいっぱいになる。 つきあってくれた親孝行な娘に感謝である。 |
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