井原山から雷山を縦走して、ツツジのきれいさに妻は感動した。 多良にはシャクナゲがあることを話すと、行ってみたいと言う。 いや、しかし、いきなり連れて行って大丈夫だろうか。 策を練る。 舞岳の難点はなんと言っても、その急な下り坂だ。 その急下りに入るまでにいかに体力を温存させるかが勝負だ。 そこで今回は、山頂は踏まず、中山越から巻き道を経て、舞岳に向かうことにした。 が、しかし、中山越。楽なルートを選んだのだが、こんなに遠かったかと思うほど時間がかかった。 妻には、「あと少しで着く」と、いつものごとく呪文のように唱えながら登っていった。 舞岳に近づくと、シャクナゲが登山道沿いに美しく咲いている。 気づけば、私自身も、10年ぶりの舞岳のシャクナゲだ。 来たくてもなかなか機会がなかった。 シャクナゲの道に、妻も感動していた。 途中出会ったご夫婦が、 「私達は15年間通っているけど、今年が一番いい」 とおっしゃっていた。 妻を連れてきた甲斐があった。 舞岳を過ぎると、今日最初の難所が出てくる。 降り方に気をつけなければ危ない場所だ。 ここをどう歩かせるかが課題だった。 降り方を説明して、降りるのに邪魔になりそうな妻のストックを預かる。 ストックを2本持って降りていると、 あらら、ひもがほどけて一本のストックが落ちていった。 私の分だ。 目でだいたいの位置を追っていたので、その後、 滑りそうになりながら取りに行ったが、見つからなかった。 「ストックが身代わりになって落ちてくれたのかも・・・」 と妻が慰めの言葉をかけてくれる。 私の身代わりではないような気がするが、まあいいか。 その後、お気に入りの岩場で昼食をとった。 この岩場に妻が来れたのが感動である。 この岩場にどれだけ私の思いがこもっているかは、 うまく伝わらなかった気もする。 お気に入りの岩場を後に、ゆっくりゆっくり下っていった。 多良山系を巡るにはまだまだ妻の体力は十分でないので、 いい山を選びながら歩いていこう。 シャクナゲに満足の舞岳だった。 |
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