2014. 11. 08 御嶽(御岳)

 
一人で登る

御嶽登山口〜45分〜御嶽(御岳)〜40分〜
御嶽登山口

  
距離約2.5km 累積標高差450m  荷11kg  時間約1時間50分

 


雨の前の日、ちょっと生ぬるく、霞ががった日。
眺めは期待せず、秋色を感じたくて、御嶽に向かう。

対馬は下島より上島の方が秋の色が濃くなる。
植生のせいであるが、上島の方が赤や黄色に彩られる。
思った通り、登山口近くになると、
赤い紅葉や黄色い銀杏が目を楽しませてくれる。

登山口に着くと、車が一台。
先客ありも珍しい。

御嶽は登りはじめが急坂である。
すぐに体が暑くなる。
登り出すと、時々色が変わった木々が目をひきはじめる。
静かな山だ。風はなく、鳥たちの声もたまに耳に届く程度。

式内社島多国魂神社のお堂について、一息。
静かな階段状の道を歩き、山頂を目指す。

山頂まであと5分というところで、平岳方面から何人もの声が聞こえる。
韓国の登山者か?
いや、声のトーンが違う。
登山口の車の方々かな・・・
と思いながら、山頂を目指す。

誰もいないと思って山頂に上がると、
おっと、5、6人の団体さん。

じゃあ、後ろの元気な集団は何だ?
ドウ坂から平岳を経て来たのか。
ほどなく、後ろの集団が上がってきた。

息もからさず平気な顔の人たち・・・
汗をぬぐう自分が恥ずかしくなる。

なんと御嶽山頂に13人の人たち。
初めての経験である。

しばらくして、はじめに山頂にいた団体さんは下山し、
元気な集団と私だけの山頂となる。

仕事の調査のようでもあるし、仲間と登っているようでもあるし、
しかし、レジャー感はなく、12時の山頂でも何かを食べるわけでもない。

ふと、携帯しているコンパスが目に入る。
レンザティックコンパス・・・目標物に照準を合わせるタイプ・・・そうか。

国境の島対馬、国防の島でもある。
次回の業務のための下見登山だったらしい。
どうりで、体力が並外れているわけだ。
さすがと感心しきりの山頂となった。

元気な団体さんが去り、静かな山頂となる。

ゆっくり昼食をとる。
静かな山である。


下り初めて、式内社島多国魂神社のお堂に着く。
静かな山に対峙していると、何やらサワサワと枯れ葉を踏む小さな音がどこからか聞こえる。
イノシシか?シカか?
しばらくすると、音は明瞭になる。
前方の山腹の下の方から、イノシシの姿が見えた。
私に気づかず、こちらに小走りで登ってくる。
なんと、6頭。
イノシシは用心深い動物で、山で見ることがあっても、
横切ったり、逃げる姿ばかりである。
なのに、こちらに正面を向いて駆けてくる。
こんな姿を見ることは珍しい。
おっ、写真だ!カメラを取り出す。
しかし、カメラを取り出して、電源を入れてシャッターが押せるようになるまで、
私の場合8秒かかる。

10秒も待てば目の前に来そうだ。
カメラに収めたい衝動と、命を守ろうとする本能。
どうする!!!
「おらあ!」
思わず、声が出ていた。
本能が勝った瞬間。

びっくりしたイノシシは、瞬時にきびすを返す。
列をなさずばらばらに駆けてきていたイノシシ6頭は、逃げる時は一列となった。
下に逃げた後、山腹を横に走ったようで、その時見た時も6頭が一列となって駆けていた。
リーダーがいるのか。

冷静になって考える。
やはり声を出してよかった。
10秒待って、直前で気づかれたら、驚いたイノシシはどう動くかわからない。
そのまま突進を選ばれたらおしまいだ。

写真より命。当たり前だが、この価値観が曖昧になる世の中になってきている気がする。
肝に銘じなければ。

静かな中にも、イノシシも合わせて3組の団体さんと遭遇した、
珍しい御嶽登山となった。




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