2014. 08.17 

 一人で登る
八幡神社登山口〜1時間20分〜有明山〜1時間〜八幡神社登山口

  
距離約6km 累積標高差600m  荷10kg  時間約3時間
 
霖雨の有明山登山道



今年の夏は涼しい。
対馬の夜は、クーラーいらず。
いや、窓を開けて眠るのは寒いほどである。

天気は思わしくないが、本格的に降り出す前に登ることにする。
今年初めての有明山。

八幡神社には韓国からの旅行客が溢れている。
有明山も登山客が多いかなと思いながら歩き始める。

8月中旬とは思えない涼しさ。
例年ならアブが体の回りを飛び、羽虫がまとわりつき、
吹き出す汗に目が痛くなる頃である。
しかし、羽虫もアブもいない。
時折の風に体は涼しさに酔いしれる。

山頂が近くなると、白いガスの世界となる。
これ以上細かくなれないほどの雨粒が風に運ばれて降りてくる。
霖雨がすべての空気の震えをい込んで、音が消えていく。

山頂に着くと、思いのほか誰もいなかった。
静かな白い世界の中に佇む。

白い雲が流れていく様は、賽の河原のようでもある。
自分の人生はなどと振り返りそうになる。
ふと、頭によぎってきたのは幼い頃の記憶だ。

バスに乗って家族で上見坂に行った4歳頃の記憶である。
白い霧の中で家族と過ごして、家の近くまで降りてきたとき、
自分は雲の中にいたのだと気づいた。
雲は綿菓子みたいなものだとイメージしていたが、
霧の塊であることにびっくりした。
同時にすごい冒険をしてきた気になった。

そんな記憶がふと蘇る不思議な白い世界だった。
ずっとずっといろいろな記憶が紡ぎ出されてきそうだったが、
現実の思考を戻し、冷たいコーヒーを楽しんで、下山する。

静かな静かな山旅となった。







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