後ノ平から天童岩に向かう稜線。とても美しい森を抜けて行く。
今年最後の山行は、黒髪山。
雪があれば雲仙もと思っていたが、思いの外、暖かい大晦日である。
竜門ダムに車を停めて、歩き出す。
緩やかで落ち葉を絨毯のように敷き詰めた道を歩く。
この森の心地よさが、黒髪山の魅力のひとつである。
二股に着いて、今日は後ノ平を経由して登ってみようと思い直す。
見返峠経由よりも、登りごたえかある印象である。
石畳の道、木の根を這うような道、崖すれすれに歩く道など、変化に富んだ楽しい道である。
しかし、時折の急登に息が切れる。
最後は山腹を横に進みながら、峠に着く。
美しい峠の姿に思わず、声を上げてしまう。
峠からの道がまた心地よい。
急登もあるが、森の美しさに見入ってしまう。
思いがけず美しい風景に出会った興奮が、体を包む。
山を歩く喜びが、わき上がってきた。
美しい森を抜けると天童岩に着く。
昼食をとり、眺めをゆっくりと楽しんだ。
低山なのだが、歩くことが心地よい黒髪山である。
ほとんど人と会わない今日の黒髪山だったが、
登山口近くで、二人組の方とすれ違う。
「こんにちは〜」
とあいさつすると、一人の方が、
「あれぇ〜」
の声、顔を上げると、
「あの〜、おととい経ヶ岳でご一緒した方ですよね」
と声をかけていただいた。
「ああ、また、こんなところで・・・」
大払谷から経ヶ岳山頂へと、抜いたり抜かれたりした方だった。
違う山でまた出会うとは、うれしい出会いである。
経ヶ岳のときとは違った親しみを感じながら、
しばし話をした。
こんな偶然に心が温かくなる。
山の楽しみのひとつである。
去年に引き続き、黒髪山は一年の締めくくりの山となった。
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