2011.12.18 有明山
2人で登る(Yashiさん、vision)

清水ヶ丘〜20分〜清水山〜65分〜有明山〜60分〜清水ヶ丘
  
距離約6km 累積標高差600m  荷12kg  時間約4時間





車が壊れた。
赴任先から自宅に戻る夜のとばりの中、白い煙をボンネットから吐いて、
それ以上動かすことはできなくなってしまった。
14年間、22万km・・・
いろんな山を共にした愛車だった。
家族との思い出もいっぱいつまった思い出の箱。
なんか自分の人生がひとつの節目を迎えたような
複雑な気持ちの日曜日。

とりあえず、山に行くとするか。
今日は久しぶりの有明山である。
車が一台しかないので、清水ヶ丘まで妻に送ってもらい、
てくてくと歩き始める。

昨日は目の覚めるような晴天だったが、
今日はどんよりとした雲が空を覆い尽くしている。

民家横の階段を上り、登山口に向かうと、
そこにバイクから降りた一人の男性が・・・
んっ、「バイク、有明山・・・!!」
 
よく見ると、おおっ、Yashiさんである。
数週前の白嶽で出会って以来、
今日も思いがけず、一緒に歩くことになった。

清水山に登ると壱岐がうっすらと見えた。
鉛色の雲の隙間から穏やかな海を照らす太陽の光が反射しながら美しく輝いている。
神々しいと感じる自然の風景との出会いである。


登山道を歩きながら、いろいろな話に花が咲く。
登りながら話すものだから、私などは息が切れてしまうが、
Yashiさんはというと、息も切らさず、普通に歩くように会話を続けている。
さりげなく鍛錬された日々を想像させるその姿である。

きっと、イノシシか鹿に出会うはずだと思って歩くが、
今日はとんとお目にかからなかった。
二人での会話で人間を察知して、速く隠れてしまったのかもしれない。

有明山山頂に登ると、風が冷たい。
思わず、ニットの帽子やフリースを着込む。
 Yashiさんの温度計を見ると、氷点下だ。
山頂間近の道には霜柱が立っていた。
 

風をよけるため、山頂から少し降りて、昼食をとることにする。
なんとなく広い場所を見つけて腰をかけたが、
よく見ると、草原の草が一面きれいになぎ倒されている。
どうも鹿やイノシシが寝ころんで、休む場所になっているようだ。
まあ、ちょっとお借りすることにしよう。

これだけ寒いと、カップうどんがうまいはずだと、今日は準備してきた。
やはり最高だ。
冷えた体に温かい物はとてつもなくありがたい。
ああ、生き返る!という瞬間である。

Yashiさんは、新しい山道具を試している。
新しい道具を手にすると男というものは目が生き生きとしてくる。
まったく子どもに返るのだ。
そんな姿を共有できるのもまたうれしいことである。

午後からの用事もあったので、
身支度をし、下りにかかる。
登山道が乾いているので、今日の道は歩きやすい。

標高を下げていくに連れて、寒さが和らいでいく。
低山ではあるが、冬の山はやはり想像以上の寒いものだと実感する。

下りながら、Yashiとたくさん、いろいろな話をした。
対馬で山を語れる仲間がいることは、ありがたいと思った。
Yashiさんと歩くうちに、廃車になりそうな車のことで、
感傷に浸っていた気持ちは吹き飛んでいた。

まあ、人生も次のステージかな。
と、思えるようになった。

思いがけない山歩きの時間と仲間に感謝である。












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