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まことに忙しい6,7月だ。
やっと1ヶ月ぶりの山となる。
とてつもなく暑いものと覚悟をしていたが、
風が涼しく、思いがけなく、快い出だしの頃。
清水山山頂で、ひとしきり汗を冷やして、山道に再び入る。
と、顔のまわりに羽虫がうるさい。
しばらくがまんをしていたが、羽音がやたら耳にさわる。
時折、手で払いのけながら、そう、ちょうど、ブラックデビルの仕草のようだ。
気がつくと、目のまわり、耳元に多くの羽虫が飛んでいる。
なんじゃあこいつらはと、立ち止まって数えてみると、
30〜40匹はいる。
もう、羽音でセミの声さえ、かすんで聞こえる。
時折、風が吹くと、羽虫がすっと消え、
風が過ぎた沈黙の中、また静かにに集合する。
そして、風が吹いて、また消えての繰り返し。
羽虫に気をとられているうちに、山頂近くになる。
ふと、前に大きな網を持った方がこちらを向いて微笑んでいた。
なんでも東京から、カミキリムシの採集にきたということだった。
有明山は下から吹き上げる風が虫たちを運んでくるらしい。
山頂では涼しい風が吹く。
汗に濡れたシャツを着がえて、ゆっくりと佇んだ。
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