龍良山(たてらさん)(竜良山)
 1人で登る  2007.5.13
 

原始林を抱く龍良山(中央左ピーク),右奥のピークは木槲(もっこく)山
  
場所 長崎県対馬市厳原町 地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 竜良山559m
歩く標高差 累積 約503m 歩行距離 約5Km
所要時間 大人2時間半
山の上駐車場〜1分〜西竜良林道入り口〜10分〜登山口〜10分〜スダジイの巨木〜30分〜分岐〜20分〜竜良山〜15分〜分岐〜40分〜登山口〜10分〜山の上駐車場
駐車場 鮎戻し公園山の上駐車場になんと129台駐車可能。
データ  
 
近年脚光を浴びつつある龍良山に登る。
 
龍良山は自然の照葉樹林帯を残す貴重な山である。今から2000年前,人々が農耕生活を始めるまでは,西日本一帯は照葉樹林の森に覆われていた。しかし,人々が生活するために低地の木々を切り,植えかえ,耕地や二次林,人工林へと姿を変えさせていった。さして自然の照葉樹林はほとんど姿を消し,まとまった形で現存しているのは,「屋久島」「宮崎県の綾町」そして,「対馬龍良山」くらいである。龍良山は,天道信仰により,長い間人々が足を踏み入れることを拒んできた。「龍良の森は神の住むところ,決して立ち入ってはならない。」その掟が守られ,照葉樹林を現在に残すこととなる。龍良山の北西斜面標高440m,95haに及ぶ樹林帯は,2000年以上前の狩猟生活のころの森の姿であり,原始林と呼ばれるゆえんである。大正12年に国指定天然記念物,その後壱岐対馬国定公園,森林生物遺伝資源保存林と,さまざまな指定により,守られてきている。

 
さて,対馬に帰ってきて,登りたいと思っていた龍良山に向かう。
 
厳原から車で40分ほど走る。眺めのいい内山峠を経て,内山へ。鮎戻し自然公園の山の上駐車場に向かう。山の上駐車場は129台の車が駐車可能・・・・今まで登った山の中では最大規模の駐車場だ。久住にも勝つぞ!!! 朝9時,駐車場には私一人・・・ せっかくなので龍良山麓自然公園センターで原始林のことを一通り勉強して,登山口へ向かう。駐車場から見る限り,際だった山容でもなく,そんなに高そうでも急そうでもなく,なんでもない山なのだが,そんなに貴重なのかなと不謹慎な思いを正直抱きながら林道の入り口へ。

 
西龍良林道入り口から10分ほど車が通るくらいの林道を歩く。
 歩きだして,3分・・・・なんか異様な気がする。山の深さが違う。人が入らず森が森として生きてきた息吹を感じる。林道脇に目をやると,植生になんとも言えない迫力を感じた。

 
10分ほど歩いて,登山口へ。実はここまで車でくることも可能ではあるようだが,原始林横まで車で行く野暮なことはやめよう。129台もある駐車場にとめても10分歩くだけである。

 
登山口から斜面に足を踏み入れると,今までの山とは違う森が目に入る。イスノキやスダジイを中心として大きな木が立ち並んでいる。森は葉によって日光が遮られ,倒木などにより日光が射すようになると,日光を好む低木が生え,また日光を遮るようになるまでには,100年近い営みが繰り返される。そんな森の生きている姿を実感できる原始林である。見た目の鮮やかさではなく,ひしひしと伝わる深さと刻んできたであろう歴史に胸を打たれるのである。

 
登山口から10分ほどでスダジイの巨木に出会う。ここは立ち止まってゆっくりと木と対話する。悠久の歴史をその姿から感じることができる。

 
その後,道を進んでいくと,標高350m付近からアカガシ帯へと変わる。道は途中,ヒノキの樹林帯に入り,日が射さない暗い道となる。しばらく登ると,標識がある分岐点に着く。龍良山,浅藻,木槲山(もっこくやま)へ分岐する四辻である。龍良山に道をとり,石や木の根で滑りやすい道を歩く。20分ほど歩くと,上に視界が開け,眺めのよい岩場にたどり着く。頂上はその奥へ10mほど行ったところであるが,ここは眺めは望めない。二等三角点と山頂標識があるのみである。

 
岩場に戻って,素晴らしい眺めを楽しむ。対馬一高い山・矢立山,美しい内山盆地,浅藻の港と神崎(こうざき)の岬,美しい。岩場からは龍良山の原始林のかたまりがよくわかる。そんなに広い範囲ではなく,いつまでも大切に残したい遺産である。岩場から眺めているとさまざまな鳥を目にすることができる。トンビだけではなく,ワシかタカだろうか,いろいろな鳥が飛んでいた。

 
下山路に向かう。本来は木槲山(もっこくやま)まで歩くつもりだったが,風邪気色が悪く,熱のためか集中がとぎれ,下りでこけて左膝を強く打ったため,断念し下山することにした。帰宅後,熱が出たので,この選択は正しかった。ここ数年,風邪らしいものはひいたことがなかったので,油断していた。

 初めての龍良山。原始の森を感じさせてくれる森であり,ゆっくりとたたずみたくなる場所であった。
 いつまでも大切にしたい,いや,しなければならない森である。
 

 
内山峠付近から内山盆地を眺める。奥の方にちょっとだけ見えるのが龍良山
内山峠はアカハラダカが9月に通るので,絶好の観察場所である。
多い日は一日に4万羽も渡るという。
 
 

山の上駐車場。129台駐車可能。その横に龍良山麓自然公園センターがある。
 
 
車で登ってきた道をまっすぐ行くと,西龍良林道入り口になる。右に曲がると山の上駐車場である。
 水たまりの道を,そんなにすごい原始林なのかと半信半疑で歩く。

 

歩きだしてすぐ,その木々の豊かさにびっくりする。
一歩踏み込めば,もうそこは人を寄せ付けない森の営みの聖地であった。
 

 

登山口に着き,原始林の中に身をゆだねる。
踏み跡をたどりながらも,横の森に見とれながら歩く。

 
 
原始林の森はどこまでも豊かで畏怖を感じずにはいられない。
森の上は葉が繁り,日光を通さないが,ところどころに倒木があり,日が射す場所には,
日を好む低木が生えてきている。そして,この若木達がまた空を覆うまでには100年近くの歳月を要する。
 
 

迫力あるスダジイの巨木。
しばし佇み眺めていた。

 
 
しばらく登ると,薄暗い植林地帯へ。
その尾根の山腹を登っていくと,分岐点に出る。
分岐点にはわかりやすい標識がある。

 
 
分岐から20分。尾根沿いに登っていく。
登りはいいとして,石の上は苔むしていて,下りに滑りやすいので気をつけたい。
こけた人がいうので,間違いない。

 
 
眺めのよい岩場の奥が龍良山頂上である。
 
 
眺めのよい岩場から見た内山盆地。眼下の原始林帯がよくわかる。
 
 
木槲山(もっこくやま)方面。
 
 
浅藻方面。左側に神崎(こうざき)の岬が見える。
 
 
帰りに龍良山の向かいの山の林道を通って,龍良山を眺めなおす。
気持ちのよかった山は,後で眺めるのもまた楽しくなるものである。
 
 
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