大船山(たいせんざん)
長者原〜雨が池越〜坊ガツル(泊)〜大船山〜坊ガツル〜スガモリ越〜長者原)
1人で登る 2008.08.03〜04 |
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坊ガツルでソロテント泊。後ろにそびえたつは三俣山
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場所 |
大分県久住町
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標高 |
大船山1786m
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歩く標高差 |
1日目 累積 350m
2日目 累積 1000m |
歩行距離 |
1日目 約5Km
2日目 約12km |
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所要時間 |
1日目 |
大人 約1時間45分 |
長者原〜65分〜雨が池越〜35分〜坊ガツル(泊) |
2日目 |
大人 約6時間
(テント片づけ除く) |
坊ガツル〜70分〜段原〜20分〜大船山〜15分〜段原〜50分〜坊ガツル〜50分〜北千里ヶ浜〜10分(走った!)〜スガモリ越〜80分(硫黄道路経由)〜長者原 |
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データ |
今年の夏は、絶対行くぞと決めていた、坊ガツル。
久住に初めて登ったときから、この坊ガツルは特別の存在だった。
初めて登ったとき、大きなザックを抱えて歩く人達。山でテント泊なんて素敵だなあと憧れた。
何度か坊ガツルを訪れる度、色とりどりのテントが美しいと思った。そこに集う人々の顔は自然を満喫しているうれしさに満ちあふれたいた。いつかはきっと坊ガツル・・・こころ密かな誓いであった。
島からジェットフォイルに乗って、レンタカーを借り、一路長者原へ。どこまでも濃く澄んだ空が広がっている。長者原の駐車場に車を止めて、午後2時、雨ヶ池を目指して木道を歩き出す。天気予報は夕方にわか雨の予報。雨に出くわす前になんとか坊ガツルに着いてテントを張り終えていたい。数日前、牧ノ戸方面で落雷による事故があったばかりであり、雷の予報には敏感になっている自分がいる。
木道を過ぎ、山道に入る。久住、阿蘇山群特有の黒い土を踏みしめながら登っていく。荷は重たいが、緑にきらきらとした森の道は心地よく、思わず一人でにんまりする。緩やかな坂をゆっくりと登り詰めていくと、土石流跡を横切る場所に出た。歩きながら、3年前にこの道を歩いたときとまた道の様子が変わっていることに気づく。さまざまな手を施して、この雨ヶ池への道が維持されていることを感じた。
青い空に映える三俣山を仰ぎ見ながら、雨ヶ池に到着する。雨が降ると池のようになる場所で、双方向に歩けるように2つの木道が敷いてある。木道を歩くと、眼前に平治岳が見えだした。見晴らしのよい道から再び森の中の道へと入る。小鳥の声が心地よく響く道である。緩やかに下っていくと、坊ガツルが遠くに見えてきた。数個のテントが見える。今日は日曜、きっと昨日は色とりどりのテントでにぎわったことだろう。
平治岳や大船山の山容を楽しみながら、坊ガツルに向かう。勢いよく流れている川を橋で横切り、坊ガツルへ。到着すると4個のテントが張ってあった。心配していた雨もふる気配は全くない。なんと言ってもこの涼しさがうれしい。真夏にまいり気味の体に生気が戻るような気がする。
テントを張りながら近くの方とお話しさせていただく。その方は神奈川から来られた方で、九州を8月いっぱいをかけて、テント泊などをしながらまわるとのことである。テントは一人用で荷物も最小限、とても手慣れている。テントを張って一段落したので、法華院温泉に向かった。初めて入る温泉が楽しみである。冷泉だと何かにのっていたが、入ってみると、温かくてとても気持ちよかった。ここでもその気持ちよさにニンマリである。風呂から上がると、神奈川の方がベンチで休んでおり、一緒にまた話をする。法華院温泉の焼き鳥500円をごちそうになるが、たまらなくうまかった。
テントに戻り、夕食の支度に移る。この大自然の中に来ると食べるものは汚れず、簡単なもので済ませたいため、いつもアルファ米に牛丼とカップうどんである。この場ではこの飯で十分である。坊ガツルにいること自体がとてつもなくおいしい主食である。
夜も8時を過ぎると、暗くなり、回りのテントの方々はもう静かになった。時折を星を楽しみながら、夜のとばりを楽しむ。寝ころべば睡魔がやってくる。夜中に起きることとし、まずは目を閉じてシュラフの中へ。
夜中の3時に目が覚めた。寒い。温度計を見ると、15度である。上着を羽織って、外に出る。シートを広く敷いて、眠い目をこすりながら、大の字に寝ころんだ。空は満天の星。天の川がきれいに見える。すぐにすうっと光が流れた。流れ星だ。数分間に一回、見ている間ずっと流れ星が見える。美しい天体ショーに見入った明け方の坊ガツルであった。
翌朝は、6時に目を覚ます。すでに出発をされていた方もいるようだ。せっかくのテント泊なので御来光登山をしてみようかと思うことはあるのだが、自然の中で眠る心地よさから抜け出ることができず、なかなか暗いうちに起きることは出来ないようだ。
7時に大船山に向けて登山開始。登り初めて、しばらくした広い場所に出ると携帯にメール着信の音。しばらく立ち止まって読んでいると、前方でガサガサと音がした。見ると、野ウサギが登山道を横切った。入っていった場所を見るとなるほど獣道となっている。この場所は人間と野ウサギの道がクロスしている場所だった。
まずは段原を目指しながら、懐かしい久住で見る花々に目を奪われる。山腹はノリウツギの白い花が覆わんばかりである。振り返った視界を楽しみながら、段原へ。ここから見る大船山は美しく、数十分あとにあの頂に立っていることを考えるとうれしくなる。
ちょっとした岩をめぐりながら大船山へ。ときどき振り返り見る米窪の堂々たる姿がまたいい。頂上に登ってしばし眺めを楽しむ。坊ガツルにテント泊されている方がいたので、しばし話を楽しんだ。なんでも長崎の方で共通の知人の話で盛り上がった。話をしている間、遠雷の音がずっと聞こえていたのだが、あっという間に山頂はガスに包まれた。雷の音も近づいてきたようなので、下山することにする。
坊ガツルに戻り、三俣山と大船山、平治岳の山容を楽しんで、スガモリ越を目指した。北千里ヶ浜に出たとき、ポツリポツリと雨が落ちてきた。正面から黒い雲がこちらに向かって来る。なんとか本降りになる前に、スガモリ小屋に着こうと歩く。しかし荷が重いので、早く歩くと息が切れる。北千里ヶ浜を終えて、スガモリ越の登りにさしかかったとき、雨粒が大きくなってきた。ここで雨具を着るべきか、いや小屋まで走るべきか、一瞬迷ったが、走ってしまえと足を駆けだしていた。20kg弱の荷を担いでの坂道ダッシュはなかなか心臓を踊らせてくれた。あと20メートルで雨が強くなる。もう少しだ!ダッシュ!小屋にすごい形相でたどり着くと、先客がいた。ちょっと何やってんのという感じで恥ずかしかった。
しばらく雨が通り過ぎるのを待ち、長者原に向けて歩き出す。下の方から雷の音が聞こえ、雲がせまってきた。昔見た「 THE FOG」を思い出す。迫ってくる雲は得体の知れない生き物のようだった。と、大げさに考えることもなく、雲はしばらくして過ぎ去っていった。
夏の久住を満喫するための坊ガツル泊登山。暑い陽射しと、澄み渡った青空と、無垢な白い雲と、満天の星と、闇の静寂と、ガスの山頂と、雨の音と、2日間でさまさまな久住を楽しみ要素のてんこ盛りだった。
この心地よい山行は夏のひとつの楽しみとなりそうだ。また、来年、坊ガツルで楽しもう。
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夏、真っ盛りの青空だ。長者原からの木道を歩きながら、硫黄山方面を眺める。明日の下山路だ。
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緑が眩しい登山道。三俣山の山容を眺めながら雨ヶ池へ。
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雨ヶ池に着くと平治岳が見えてくる。そして、しばらく森の道を過ぎると大船山と坊ガツルが姿を現す。
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坊ガツルに着いて、急いでテントを張る。
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午後6時近くになると、坊ガツルも三俣山の影が迫るようになってきた。
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法華院温泉で汗を流す。この湯と眺めは極楽である。
大船山は夕日を浴びて赤く染まっていった。
夜は静寂と満天の星。
坊ガツルの夜をじっくりと味わった。
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翌朝、三俣山に陽が射してきた。
大船山に向けて歩きだす。夏とは思えぬ涼しさだ。
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段原が近くなると、眺めがよくなってくる。
何度も振り返って眺めを楽しんだ。
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段原から見る大船山。ここからの道が眺めがよくて楽しいのである。
山頂には一人の方のみ、同じ長崎県人でいろいろたのしく話させていただいた。
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山腹をノリウツギが埋め尽くす。その花の回りをミツバチがせわしく動いていた。
坊ガツルを後にする。北千里ヶ浜の前からの眺めは格別だ。
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北千里ヶ浜に来ると、雨雲が近づいてきた。
スガモリ小屋までダッシュである。
なかなか堪えるダッシュだった。
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久住の夏、また来るぞ。
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