祖母山(そぼさん)
尾平〜黒金尾根〜祖母山〜宮原〜尾平
  
 一人で登る
  2007.11.11
場所 大分県緒方町
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標高 祖母山 1756m
歩く標高差 .累積1300m 歩行距離 約11Km
所要時間 大人
約8時間半
ほしこがin尾平〜15分〜黒金尾根・宮原分岐〜140分〜天狗ノ岩屋〜15分〜天狗ノ分れ〜10分〜天狗岩〜85分〜祖母山〜10分〜九合目小屋〜50分〜宮原〜70分〜林道・自然道分岐〜40分〜黒金尾根・宮原分岐〜15分〜ほしこがin尾平
駐車場 ほしこがin尾平にテント泊したので、駐車場に停めたまま登山させてもらえた。
通常、尾平登山口に駐車場があるが、帰りにはワイパーに封筒がはさんである。500円の駐車料金である。現在高千穂側から尾平に向かう県道は通行止めであるので、尾平には緒方方面からしか行けない。
ほしこがinn尾平は、2012年11月に閉じられ、12月に指定管理者の公募が始まっている。同施設が利用可能かどうかは、確認が必要
データ  忙しい仕事がずっ〜と続いた10月。ほんのひとときの空いた土日。意を決して、本土の山に行くこととする。坊ガツルでのテント泊とおぼろげに思っていたが、どうせ行くなら祖母山まで足を伸ばしてみようかと考えた。帰りのフェリーが深夜便しかなく、到着が月曜の午前5時。そのまま一週間の仕事へに突入するハードな旅の始まりである。
 
 
レンタカーで福岡から一路、尾平へ。玖珠ICで下りて、牧の戸を経由し、瀬の本から竹田へ。前に一度逆方向から通った道なのだが、竹田市内でちょっと道に迷う。地図をよく見ながら、ルートを見つけ、緒方町へ。秋の装いの風景を楽しみながら細い道を長らく進む。上畑に入ると傾山の姿に圧倒させられる。ああ、祖母・傾に来たんだと実感する風景。

 
今夜の宿泊地は、ほしこがin尾平。テント泊で700円。風呂も駐車料金もこの料金の中に入っている。ほしこがin尾平の宿泊施設はとてもきれいで、正直びっくりした。施設内の雰囲気がとてつもなくいい。旅行村というイメージがあったが、ずっとこの濃い木の香りただよう空間はとても心地かった。オーナーもとても気さくで親切な方だ。テント泊をする私にいろいろと気遣いとアドバイスをくださった。えっ、そんなことしていいのと思う親切さである。結局、駐車場の下のバンガロー横にテントを張る。この季節6時を過ぎると真っ暗だ。することもなく、8時過ぎには就寝。一晩中シカの鳴き声が聞こえていた。対馬のシカは見飽きたが、一晩中声を聞くと、ここは祖母だという実感が湧く。

 
朝、5時半に起床。テントは寝心地がよすぎて、起きるのがつらいくらいである。宿泊施設では傾山に登る団体さんがもう出発の構えだ。朝の陽が射す祖母連山の姿が見たくて、7時半くらいまで出発を待ったが、ちょっとガスもかかり日は射さなかった。

 
尾平登山口から黒金尾根への道へと進む。中腹から下の山肌の紅葉がきれいである。川上渓谷の沢音が気持ちよく響き渡る登山道。ああ祖母山に来てるんだという喜びを噛みしめながら、黒金尾根の坂道をしっかり踏みしめて登っていく。1年前に登った時ほどの体力は今ないので、調子にのってオーバーペースにならないようにセーブしながら歩いた。標高が100m上がるごとにある標識で現在位置を確かめつつ、時に姿を現す岩崖や紅葉の木々を楽しみながら進んでいく。歩けばぽかぽかしているが、立ち止まれば風が一気に体を冷やす。久しぶりの登りごたえのある道が終わると、天狗の分かれ、祖母山の縦走路に出た。

 
去年はちょっとびびって渡らなかった天狗岩に足を伸ばす。そこに立つとさすがの絶景が待っていた。日の光が少なくて景色の色合いが薄いのが惜しい気がするが、祖母山の迫力ある姿が眼前に迫る。風が冷たいので長居はせず、祖母山に向かって歩き出す。途中展望台に寄りながらの道すがら、中腹から下の紅葉がとてもきれいだった。

 
天狗岩から祖母山までがすぐのように見えて、1時間以上を要する歩きである。久しぶりの歩きごたえに、足には疲労感が漂う。そんな中冷たい風に当たりながら、ふと昼食はあったかいご飯が食べたいなあと思い出す。そういえばザックにアルファ米が入っていたはず。祖母山にあと20分くらいかなというところで小休止をし、アルファ米に湯を注ぐ。そのままパックをして、山頂に着く頃にはホカホカご飯のできあがりという算段である。

 
最後の岩場をよいこらしょ。やっと山頂に着く。山頂ではたくさんの人。団体客が昼食中であった。すみっこに座る場所を見つけて昼食とする。さっきのアルファ米はホカホカでありがたい。冬の山ではこの食べ方はなかなかいけるぞ。

 
山頂からはの景色は青白い膜を張ったような眺めであるが、傾山から障子岩方面の縦走路も見える。壮大の祖母傾の山並みに圧倒される時間が過ぎていく。ゆっくり眺めていて気がつくと1時近い。おっと、下山せねば。今から3時間の下りが待っている。

 
宮原までの道は、祖母山方面を振り返ったり、尾平方面の谷に見入ったりしながら歩く。宮原に着いて小休止。これから長い下りが始まる。途中の木々の色づきに元気づけられながら下っていった。ここでも標高の標識が今の現在位置を教えてくれる。やがて沢音が近くなり、吊り橋まで来ると朝の分岐した道にたどり着く。ここまで来ると、祖母を歩いた充実感が体中ににみなぎってくる。振り返る祖母山は迫力ある姿で見送ってくれる。いい山歩きだった。

 
ほしこがin尾平で風呂に入ると、疲れが嘘のようにふっとんでいく。これから長い帰路の道である。うっかり仮眠なんか取ると、フェリーに遅れてしまう。しかし、帰りの車、フェリーの中とずっと祖母の山並みが瞼に映る感じがして、元気がみなぎっていた。今週はしばらく余韻を楽しめるかな。そんな祖母への旅だった。

 当然だが、翌日の仕事はとてもきつかったあ。(笑)
 でも、この祖母歩きの代償なら甘んじて受けようと思えた。
 
  
 
 
尾平に向かう途中の上畑の手前に来ると、傾山方面が眼前に広がる。
う〜ん。祖母傾に来たといううれしさが体にしみわたる。
 

 
ほしこがinn尾平は、2012年11月に閉じられ、12月に指定管理者の公募が始まっている。同施設が利用可能かどうかは、確認が必要

ほしこがin尾平。建物の中に足を一歩踏み入れると、
その雰囲気のよさにびっくり。
オーナーさんもやさしさ溢れる方で、もう私は間違いなくリピーターとなるだろう。
 
駐車場の一段下のバンガロー横にテントを張った。

 夜はずっと鹿の声。
 そこは対馬の山と一緒かも。

 
 

朝、祖母山に向け出発。
ガスがかかっているが、眼前の祖母連山の姿に
うっとりとして歩く。
 

 
紅葉の道に目を奪われ、何度も立ち止まる。
 
 
標高の標識を目安に急登を登っていく。
 
 
標高が高くなると、山々が姿を現す。縦走路の天狗の分かれに出ると、
そこは天空の道。
 

 
天狗岩方面へ。
 
 
祖母山から障子岩方面の眺め。
中腹より下の紅葉が美しい。 
 
 強い風が吹いた時、妻からメールが入る。
しかしその後はまた圏外で返信不能。

祖母山では文明の機器のメールでさえ、風が運んでくるようだ。

 
 

天狗岩から祖母山頂へ。
左写真は振り返り何度も眺める天狗岩方面。
右写真は、祖母山頂の岩場。

 
 
山頂直下の岩場。慎重に登る。
 さあ、山頂だ。
 
 
 

たどり着いた祖母山頂。
360度のパノラマが疲れを癒してくれる。
 

 
尾平方面は下に見下ろす。
遠く山並みの先は傾山。
 
 

九合目小屋を経て、下山路へ。
スズタケの道を宮原まで歩く。
 
 
 
馬の背から見下ろす尾平方面。
紅葉が里に下りていく。 

 
 
宮原を経て、2時間の下りの道へと足を進める。
 途中の紅葉は麓に下りてきた証でもある。
 

 

 
朝の分岐地点に着く。
 ここまで来るとほっとする。
歩き通した充実感が体にみなぎる。

 
 
尾平に着いて何度も振り返って眺める祖母連山。
その美しさと登りごたえにすっかり満たされた一日だった。

この次の日、祖母山頂では雪が舞ったそうである。
祖母はもう冬の装いである。

私が登ったこの日が、祖母山の今年最後の秋の日だったかもしれない。
 
 

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