白嶽三角点〜稜線コース〜白嶽(しらたけ) (日見林道から)
1人で登る  2012.01.08

日見〜白嶽三角点〜稜線コース〜白嶽(しらたけ) 〜日見
 
 
(ルートは明瞭ではありません。稜線コースは,地形図,コンパス必携です。)
 
 

三角点からたどり着く稜線から見た白嶽西岩峰(山頂付近が大きな岩塊であるのがよくわかる)
  
場所 長崎県対馬市
厳原町・美津島町
地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 白嶽二等三角点515m
白嶽西岩峰519m
歩く標高差 累積 約760m 歩行距離 約8.5Km
所要時間 大人
5時間半
日見林道〜50分〜三角点分岐〜30分〜白嶽三角点〜60分〜白嶽〜20分〜鳥居〜25分〜三角点分岐〜35分〜日見林道
駐車場 入り口付近に駐車可能な広場あり。
データ  正月あけの三連休。久しぶりに一日山に登れそうな時間ができた。
 冬場の楽しみは、未知のルート探検である。対馬で未知のルートを歩くとなると、藪突入が必須となる。
 かねてから気になっていた林道日見鶏知線から支林道に入り、上見坂から白嶽に向かう登山道に合流するルートを歩くことにする。地形図で確認すると、途中から道は消えているが、谷を詰めれば登山道に出れそうである。久しぶりに地形図とコンパスとのにらめっこの山登りとなった。

 
ここ数日は、寒さがやわらいでいる。歩き出しは寒さを感じないのだが、山は方向によって風のあたり方が変わり、とても寒くなったりする。汗が出るまでちょっと厚着のまま林道を歩いていく。舗装はされていないが、車がしっかり踏みしめたしっかりした道であり、人の跡が感じ取れる。

 
今日は久しぶりに地形図をよく見ながら歩いてみる。地形図を見ながら次はどんな地形が現れるかを予想する。そろそろ右側に山の急斜面が来るなあとか、横の川はしばらく離れて右側は植林の平地がくるなあとか、考えているとその通りの地形が展開する。地形図ってよくできているなあとつくづく感嘆しながら、歩いていった。

 
途中、道路の工事があっていたが、邪魔にならないように横を通らせてもらう。川と林道が交差するあたりを越えると、ちょっとした広場を通り、白嶽や白嶽三角点のある山塊がよく見える。その後、はっきりとした道は消えてしまうが、谷を詰めていけば作業道もあり、藪に突入することもなく、歩きやすい道である。最後は植林帯を駆け上がると、白嶽へ向かう登山道に出る。

 
その後は白嶽三角点を目指して歩く。はっきりとした道はないので、ここからは記憶を頼りにあるいて行く。途中、赤いテープなどがあるが、自分の記憶と多少違うルートを通っているので、自分の記憶をたどりながら歩いていった。道のない場所を行くとき、テープを見つけると、ついつい着いていきたくなってしまうが、要注意である。山でのテープは、「ある人が、その人の目的地にたどり着くために、またはその人が戻るときに道に迷わない」ためにつけた目印である。すなわち、テープは、人間が入った痕跡とその人の目的地に着くためのルート案内に過ぎないということを肝に命じておく必要がある。テープに従ったがために道に迷ったり、進退窮まったりするというのはよく聞く話である。

 
久しぶりの白嶽三角点への道、シダの葉が茂り、道らしき溝も荒れていた。やがて植林地帯となり、少しずつ標高を稼いでいく登りになる。暑くなり、半袖となる。やがて鞍部に到着するが、ここにくると北西の風が吹いていて、一気に体を冷やす。また慌てて一枚を羽織る。対馬の冬の山歩きは、尾根に出た途端、寒さが一変することがよくある。静かな鞍部でゆっくり息を吸って、さあ、右に折れて、白嶽三角点への稜線だ。

 
尾根に沿ってしばらく歩く、三角点に着いた。ここからの眺めは絶景である。遠くには白嶽西岩峰を望み、東と西には累々とした山並みが続き、近景には尖った岩が迫力ある姿で屹立している。

 
しばらく眺めを楽しんだ後は、白嶽を稜線伝いに目指すことにする。ここからはまったく道がなくなる。ところどころに出てくる大岩を巻きながら、慎重に進んでいく。ここで、万が一事故を起こしても、誰も通らない稜線なので発見されない。慎重に慎重を重ねて歩く、まったく自己責任の世界である。

 
しかし、この道が楽しい。岩があり、林があり、藪があり、やせ尾根がある。この稜線はそれまであまり聞かれなかった鳥たちの声もたくさん聞くことができた。自然のまっただ中に自分がいることがうれしくてたまらなくなる稜線なのだ。そんな歩きを楽しんでいるうちに白嶽の西岩峰が近づいてきた。岩は概ね右側を巻いて進むといいようだ。ただ、どの岩にぶつかるかはルートの取り方によるため、その都度、行ける方を選択するしかない。片方を見て無理そうなから、反対側という風な選択となる。

 
突然に視界が開け、西岩峰の岩塊が眼前にそびえ立ち、その迫力に圧倒される。いつも登る西岩峰は頂上付近のこぶのようなものであることがよくわかる。ほどなく右の山腹を下りだし、岩塊を巻くようにしながら、道を進む。ここは岩塊に近づきすぎない程度に、岩塊が確かめられる位置で降りていくとよい。岩塊の切れ目が見えてくると、その下を進めば正規の登山道に出る。登山道に出ると藪道の終わりとなり、ちょっとほっとする。

 
その後は西岩峰に登り、今日歩いた道をたどってみる。これが楽しくうれしいひとときである。ちょっとした藪道の苦労を忘れる瞬間でもある。その後は、テラスで昼食をとり、登山道をたどって、日見に折り返した。

 ちょっとした藪道と未知の道歩き。この楽しさは毎年冬のみの密かな楽しみである。しかし、楽しくても未知のルートは毎年少しずつ果たしていくようにしている。楽しみは一気に使わず、少しずつ。これが島で長く山登りを続けるための密かな鉄則でもある。

 
 
佐須側から鶏知方面に行く道からは、形のよい岩塊が見える。実は白嶽と間違われることもあるのだが、穴ノ壇山の岩峰である。
 
 
林道日見鶏知線のこの位置から山に入る。この看板が私をずっと誘っていたのである。
 
 
舗装されていない林道を歩く。しっかり車に踏み固められていて、きれいな道である。
 道の左右は自然林から植林帯に変わっていく。

 
 
途中、小さな滝があったり、小川を越えたりと、ちょっとした変化が楽しい。
 上流に行くに連れて、水はとても澄んでいて美しい。
 

道は少しずつ山奥に入っていく感じになる。ここでも白嶽への表示がしっかりあった。
遙か遠くに白嶽の西岩峰が見えた。倍率を高くしてとっているので、近そうに見えるが、まだまだはるか遠くである。
 
 

広場に出た。一番奥に白嶽三角点がある峰が見える。
 いつもの山を違う方向から見ていることが楽しくてたまらない。

 
 
やがて、しっかりした道は消え、涸れた谷を詰めていく。
よく見ると、人の歩いた跡があるので、谷にそって歩けばよい。

 
 
植林を駆け上がると、三角点分岐から上見坂に向かう標識のところに出てくる。
 

 
三角点への分岐地点に到着。
しばし休憩し、ここからは道がない山に突入することになる。

 
 
植林帯を登って標高を稼いでいく。そして鞍部に着く。
 
 
鞍部から風が冷たい稜線を歩いていくと、白嶽三角点に到着する。
 眺めがよい岩場である。
 
 


この岩はいつ見ても、「年老いた鬼」の横顔に見える。
マウスのカーソルをのせると、輪郭が・・・
三角点からは迫力ある岩峰を楽しむことができる。
ここまで来るのでも十分楽しいのだが、やっぱり藪も歩きたい。
 
 
 
白嶽の西岩峰が遠くに見える。ここからあと1時間程度。
道なき道を歩く楽しい山旅が始まる。
 
 

白嶽三角点をあとにして、稜線沿いに白嶽を目指す。
林になったり、やせ尾根になったりと、楽しい道。
が、ときおり藪で枝に叩かれるのはつらい。 

 
 
岩を見ては巻き、岩にぶつかったは巻きをくり返す。巻きすぎて、自分の位置を見失わないように歩くことがポイントとなる。
 
 
突然現れる西岩峰と西側の眺め。絶景である。
 
 
いつも登る西岩峰は、上にちょこんとのっている感じである。
 人間はいかに小さいかを感じ取らせてくれる眺めである。
 
 

その後は、岸壁に沿うように降りていく。
岩のテラスが見えて、正規の登山道に戻れそうなので、
ここまで来るとちょっとほっとする。
 

 
白嶽山頂に登り、さっきまで歩いてきた稜線を眺める。
そんなに距離はないように見えるが、やはり1時間はかかった。

 
 その後は岩のテラスで昼食を食べ、正規の登山道を歩いて、日見に戻った。
 途中一箇所だけ、白嶽の岩峰が見える場所がある。
この位置からだと、また違った様相の岩峰となる。
 それが下の写真である。
白嶽の稜線は奥が深く、魅力的である。
見る角度によって、形が違って見えるおもしろさが、たくさん味わえた今日のルートだった。
冬は藪道が、また楽しい。
 

 
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