黒岳(くろだけ) (男池〜天狗岩〜高塚山〜前岳〜白水鉱泉〜男池)
1人で登る 2004.7.19 |
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場所 |
大分県久住町
大分県庄内町 |
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標高 |
高塚山1587m
前岳1334m
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歩く標高差 |
.累積1100m |
歩行距離 |
約11Km |
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所要時間 |
大人
約8時間 |
男池園地駐車場〜45分〜ソババッケ〜50分〜風穴〜50分〜天狗岩分岐〜15分〜天狗岩〜10分〜天狗岩分岐〜15分〜高塚山〜1時間40分〜前岳〜1時間5分〜白水鉱泉分岐〜20分〜白水鉱泉〜50分(車道歩)〜男池園地駐車場 |
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駐車場 |
男池園地に100台ほど(そのくらいいっぱい)駐車可能。きれいなトイレが駐車場前にあり。
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データ |
夏は暑い!長崎は,もう数日真夏日が続いている。
こんなに暑い時は,高い山で涼しい風にあたりたい。やっぱ久住だ。でも,天気がよさそうな今日は,日照りにやられそうだ。そこで,かねてから一度行きたかった久住山系の中でも緑豊かな黒岳を目指すことにした。黒岳なら木陰を歩くことができ,快適な山歩きができるかも。期待をふくらまして,いつものように夜中に大村を出発した。
男池園地に着くと,車は数台。早朝の風も心地よい。目の前にそびえる平治岳,黒岳の緑がまぶしい。途中長者原に寄ったら,駐車場の車の数がすごかった。車中泊の人でごったがえしていた。一方ここ黒岳は静かな山歩きができそうだ。
男池入り口で清掃協力金100円を箱に収め出発。自然歩道の先の橋を渡ると道が分岐している。「男池」と「黒岳・大船山」と書いてある。もちろん,「黒岳・大船山」を選んで出発。緑が美しい。しかし,緑の林にみとれて歩いていると,なんだか道がよくわからなくなった。踏み跡を確かめつつ行くと,男池からの自然歩道と合流。ちょっとほっとした。だって,ほとんど人がいない今日の黒岳のようなので。
登山道を少し進むと,かくし水に着く。標識があり,ちろちろと水が流れている。そして,ミズナラの緑豊かな登山道が続く。緑が美しいなあと見とれ見とれ歩くうちに,窪地のソババッケに到着。ここで視界が開ける。すぐ横に平治岳がそびえたっている。枯死したマユミの木が美しいという印象があったが,あれれ,枯れ木は一本横たわっているが,他にはないぞ。秋を過ぎて葉が落ちたときがいいのかもしれない。しばし休憩し,風穴をめざす。
このあとはしばらく行くと,石ごろごろの道になる。ときには動く石もあり慎重に進む。確かに長崎よりは涼しいだろうが,やっぱ夏だ。汗は噴き出てくる。暑いなあと思っていると,右からクーラーのような風が吹いてきた。びっくりして見ると,岩の間だから冷気があふれている。風穴だ。あんまり涼しくて,しばしクーラーの風に当たる気分を味わわせてもらった。極楽,極楽。
風穴を過ぎ,いよいよ急登が始まる。土の上に小石が並んだようなこの道は,なかなかの坂道だ。石は落としたくないが,落ちてしまう。人が多いとこりゃ大変だと思いながら登りつめると,高塚山と天狗岩の分岐に着く。
まずは天狗岩を目指した。途中,天狗岩が見えると,もううれしくなった。
「おおっ,あの岩を登って,てっぺんに立てるのだ」
いやあ絶景だ。平治岳に大船山,遠くに由布岳がきれいに見える。祖母山へ続く青垣の美しさ。今日は,この天狗岩を独り占めだ。しかし,落ちたら最後,命はない。誰かくるかなあと思いつつ。岩を渡って遊んだ。あまりにうれしくて,天狗岩にたたずむ自分をセルフタイマーで撮ろうとも思ったが,カメラを置く岩から,天狗岩まで10秒で渡ろうとすると,落ちかねないのでやめといた。眺めを堪能して,天狗岩を後にする。下りが道をさがすのにちょっと迷った。結局,登りとは違う岩を降りていた。登るときによく位置確認をした方がよかったかもしれない。
天狗岩の分岐に戻って,高塚山へ。登る途中,天狗岩の全景がまた美しい。高塚山の頂上にほどなく到着。さて,暑い暑い。この先,前岳までいくべきか,それとも今来た気持ちよい道を引き返すか,座って考えようとしたその時,すぐ後ろ,後頭部のあたりでいやな音が聞こえた。
「ヴィーン〜〜」
うっ,その音はスズメバチ!まずい!こんな誰とも会わない山で刺されたら最後だ!
しまった!私のリュックは黒!おまけにポシェットも黒!
黒はスズメバチの攻撃色だ。
あわてて動くと刺激するとは知っていたが,じっとなんかしてられるか!
逃げろ!
あわてて,前岳方面の道に走り出す。
ええっ,この道,草がいっぱいだあ。道はちゃんとあるのか。
10mほど走って躊躇すると,またまた背後で
「ヴィーン〜〜」
げっ,逃げろ!
「ヴィーン〜〜」
しゃれにならん,こわいよぉ〜!
「ヴィーン〜〜」
もう,一人パニックだ。
結局30mほど走ってやっと,「ヴィーン〜〜」の音はしなくなった。
げげっ,もう引き返せない。
だってあいつがいるところに戻るのはいやだ。
前岳に進もう。
前岳をめざしながら,ふと,そういえばスズメバチの姿は確認していないことに気づく。判断材料は音だけだ。もしからしたら,アブだったかも。人はこうやって遭難するのかもしれない。刺されても針を取り出すポイズンリムーバーを本気で買おうかと思った。
前岳への道はなかなか険しかった。特に下りが急で,さっきのあいつのせいで物音に非常に敏感になってしまい,どきどきしながら歩いた。山が本当に深いという感じがした。しかし,暑くて,山深さを味わう余裕がない。久しぶりに山で一人でいることの怖さをちょっと感じた。道がときどき消える。ちょっと戻って探す。テープがたよりだ。前岳に着くと今下ってきた山が見える。こりゃきついはずだと実感した。
前岳からの下りは少し道幅も広くなり,さっき下った急坂よりは下りやすくなった。しかし,道は岩の乗り越え,沢を渡り,木の根を掴みと,変化ありすぎ。これでもかとさまざまな道が続く。
前岳から白水鉱泉へ。白水鉱泉に着く頃は,結構足にきていた。白水鉱泉に着くとほっとした。やっぱ,単独は怖いなあと思った今日だった。白水鉱泉からは車道を50分日に照らされて歩く。結構暑い。男池に着くと,もう駐車場が満杯状態。水を汲みに来たり,男池を訪れる人でごった返していた。
水は3リットル持っていっていたが,ほとんど飲み干した。
いやいや夏はどこもやっぱり暑い。気持ちよい林の道と,美しい岩と,どこまでも広がる青垣と,ちょっとした恐怖と疲労を味わえた今日だった。
夏の黒岳は静かな山歩きでできそうだ。また,涼しくなって来てみたいなあと思った。
そう,スズメバチさんがいなくなる頃に。
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男池駐車場に車を停め,男池入り口へ。
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男池橋を渡って,右に行ってみた。なんと,美しい緑の道。
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もう,緑と道が美し過ぎて,道迷い気味。
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かくし水に到着。緑の美しさで腹いっぱいで,水は口にしなかった。
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なんとも歩くのが楽しい道が続く。
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ソババッケに着く。そびえ立つ平治岳
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ここからは石ごろごろの道が続く。
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ひんやりと涼しい風。風穴に着く。
もうこの風,極楽だあ!
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小石で滑りやすい急坂の登り詰めると,天狗別れへ。
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見えた!天狗岩だ!もう,うれしくて,岩をよじ登っていく。
だけど,一人。用心のおこたるなかれ!
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天狗岩と天狗岩の山頂の様子
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誰も撮ってくれる人はいない。タイマーで撮ると滑落しかねない。
しょうがないので,足と手をとる。(なにやってんだ俺と思う瞬間)
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天狗岩山頂からの眺め。向こうに祖母に続く青垣が美しい。
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平治岳と大船山が威風堂々のたたずまい
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これから,向かう高塚山
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天狗岩をあとにし,高塚山を目指す
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高塚山に登る途中から見た天狗岩の勇姿
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高塚山山頂を撮ったその瞬間。
そいつの羽音が「ブィーン〜〜」 |
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逃げろや逃げろ!
もう,引き返せない!くぅ〜〜!
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前岳までは変化にとんだ道が続く。
下りがなかなか急だった。
狭い道が続くとちょっと心細くなる。がらでもないけど。
(そこで,うなずいちゃいかんよ。あなた。)
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前岳付近から,今来た山を振り返る。なかなか急な下りを実感する。
遠くにはきれいに由布岳が見えた。
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前岳からの下りがまたまた変化に富んでいる。
そして,分岐に到着。 |
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やっと,白水鉱泉に着く。あとは車道を歩くのみ。
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もどった男池駐車場はたくさんの車でごったがえしていた。
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緑が深い黒岳。いい山だった。
また涼しくなったころ来てみたい。
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