傾山(かたむきやま・かたむきさん)
九折登山口〜九折越(テント泊)〜傾山〜九折越〜九折登山口
  
 一人で登る
  2008.05.17〜18
場所 大分県緒方町
地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 傾山 1605m
歩く標高差 .1日目累積 900m
2日目累積1300m
歩行距離 1日目3Km
2日目8km
所要時間 1日目
2時間50分
九折登山口駐車場〜60分〜カンカケ谷〜45分〜林道出合〜60分〜九折越
2日目
4時間40分
九折越〜1時間20分〜傾山〜1時間〜九折越〜35分〜林道〜25分〜カンカケ谷〜1時間〜九折登山口駐車場
駐車場 九折登山口(豊栄鉱山作業所跡地)の駐車場があり、10数台ほど駐車できる。
データ  春になったら憧れの傾山へ・・・と、ずっと思っていた。しかし、土曜日に島から傾山に行ってきたとすると、島に帰るフェリーが日曜日を越して:月曜日の朝5時着となる。そして、そのまま一週間に突入するということになり、その過酷な旅を享受できる余裕がなかなか持てない。
 そこて、なんとか実現できないものかと苦慮した結果、土曜日のジェットフォイルで10時に福岡に着いて、そのまま一路九折登山口へ向かう。そして日の入り前に九折越まで行きテント泊。翌日日曜日は早朝から傾山に登り、そのまま下山し、すぐに一路福岡へ。そして、16時過ぎのジェットフォイルで島に帰るという全く余裕のない旅をやってみることにした。

 とにかく時間との勝負である。福岡でレンタカーを借りて休憩する間もなく走り、九折登山口に着いたのが14時過ぎ。
 
身支度をして、すぐに歩き出す。何度も本やHPで見た登山口である。その地に降り立つと体に力がみなぎってくる。

 
新しくできた九折川横の舗装路をしばらく歩き、三尾との分岐点に。分岐点からは、さほど急さはない道が続き、勢いのよい沢音を耳にしながら歩いていく。自然の豊かさににんまりするが、3時を過ぎると夕暮れの気配。初めての道、早くつかなきゃと気はあせり、ふんばりながら歩く。明るいうちに着かない場合は九折越から5分下った水場にも行けない可能性もあったため、備えの水を余分に担いでいるものだから荷が重い。傾斜がきつい道ではどっと汗が噴き出してくる。下山途中の方に何人か会うが、こんな時間から登る人間を見て、ちょっと驚いた様子。まあ、こちとら好きでこんな時間に登ってるんじゃないのだが、傾山登山を実現するにはこの時間は私には不可欠だった。

 
カンカケ谷を過ぎて45分ほど、急な登り坂が続く。ここがこのコースの山場だと書物には書いてある。木の根やロープを掴みながら登っていく。傾斜が少し緩くなってくると、やっと林道に出た。ここまでほとんど無風状態で、とても暑い。林道から80mほど下った水場に行って、顔を洗う。ひんやりとした岩清水が体を冷やして生き返るような気持ちになった。

 
林道からはひたすら標高を稼いで歩く道となる。大きなツガの木が目を癒す。木々の間からは西に傾いた日が射している。祖母・傾に整備してある標高の標識が、自分の現在位置の目安となる。荷の重さが結構体に堪えて来た頃、突然視界が開けた広場に出た。九折越だ。

 
九折越はヘリポートにもなる、山の中に突然現れる草地である。到着時間は5時20分。まだ明るい。よかった。急いでテントを張り、見立方面に5分ほど下った場所にある水場に向かう。水場で水を汲み、タオルで体を拭いた。暑い汗だくの一日だったので、生き返るような心地がした。

 
テントの中を整え、外で夕食とする。静かな夜に時折すぐ近くを徘徊するシカたち。シカは見飽きるくらい見ているが、ツシマジカよりちょっと小型のようだ。ランタンの光の中で、夜の九折越の雰囲気を楽しもうと思ったが、体が疲れていて眠い。7時半にはテントに入っていた。木々の向こうには霞んだ月が見える。なんとも素敵な山の夜だ。うつらうつらするが、どうも寝付けない。まどろんだ感じで夜を過ごしていく。外からは夜の闇の中に溶けるような鳥の声が聞こえてくる。その心地よさ。ぐっすり寝付かれなかったおかげで、九折の自然の音に溢れた長く素敵な夜を過ごすことができた。

 
朝は4時半に起床。片付けをあらたか済ませ、5時半には傾山に向けて登り始める。ゼンゲン尾根の道は新緑が美しく、時折見せる傾山の威容に心を踊らせながら歩く。後傾の登りにさしかかると、ピンクの花が見えた。アケボノツツジだ。いつかは目にしてみたいと思っていた花だ。もう5月中旬なので残っていないと思っていたが、後傾、本傾にはたくさんのアケボノツツジが咲いていた。

 
眺めを楽しみながら登ると後傾に着く。向かいに見える本傾が迫力満点だ。いったん降りて、本傾に登り返す。山頂からは祖母・傾の縦走ルートが見え、胸が熱くなる。坊主方面の眺めも迫力満点である。誰もいない山頂でゆっくりしたかったが、4時までに福岡まで戻らないといけない身。山頂も早々に引き上げる。

 
九折越でテントを撤収し、下山する。行きはあんなに長かった3時間近くの道だったが、下ってみると2時間だった。何度も何度も振り返り、また来るよと話しかけて、傾山を後にした。

 憧れの山は、憧れを裏切ることなく、心から酔わせてくれた。数日間、余韻が残る山行だった。
 歩行時間7時間半。山で過ごした時間20時間。移動時間12時間の旅が無事終わった。

 
 
豊栄鉱山作業所跡地の駐車場。幸い空きスペースがあり、余裕で駐車できた。
まっすぐ歩いて、新しい舗装路を登っていく。

 
 
三つ尾コースと九折越コースの分岐点から、九折越コースへ。
「クマに注意!」の看板が目をひく。

 
 
ゆるやかな登山道を歩くこと1時間。芥神ノ滝が見えるところに来た。
ごうごうと流れる音が大迫力。
 カンカケ谷はすぐそこだ。
 

 
 
カンカケ谷に出る。石に赤いビニールテープが巻き付けてあり、目印として確認しながら歩いた。
谷の石の中をしばらく歩いたあと、右側の山腹をぬうようにして歩き、もう一度カンカケ谷に出て、
沢を渡ることとなる。向こう岸に取り付きがある。
 
 
急な坂道を登っていく。暑い日のこの日、息を切らし、汗を噴き出てくる。
 
 
林道に出る。林道を下に80mほど下って岩清水で顔を洗った。
冷たい水に生き返った気がした。
また戻って、はしごを登って九折越をめざしていく。
 
 

ここからの登りも延々と続く感じがする。
標高を表す標識に励まされながら、とつとつと登る。
日が西に傾いて、木々の葉の間から弱い陽射しが入ってくる。
 
 
 
5時20分に九折越に到着。急いでテントを立てる。先客の方が一人おられた。
 なんとも心地よい広場である。
 

 
見立方面の水場に行って、水を汲み、体を拭く。ちょっとした小袋があると、重宝する。
夜は、山の中の静寂を楽しんだ。
今宵は月夜。空ににじませたようなぼんやりとした月が九折越をやさしく照らしていた。
夜な夜なシカが近くに来たり、鳥の鳴き声がする。
それは、決してうるさい音ではなく、夜を夜たらしめるための最高の演出だった。

 
 
夜明け前に起床して、身支度。5時半に傾山に向けて歩き出す。
 
 
朝日が昇る傾山。双耳峰が迫力ある姿を見せる。
  
  
後傾を登り出す。登山道脇にはアケボノツツジが見えだした。
 
 
アケボノツツジは一度この目で見たかった花なので、目の前にあるととてもうれしくなった。
 桃色の花びらがとてもかわいい。
 
  
後傾から見た本傾。アケボノツツジが咲いた岩場が美しい。
 
 
後傾を経て、本傾へ。誰もいない一人だけの山頂。
朝の光に美しい景色が広がっていた。
 

 
祖母・傾の縦走路が見える。長い道のりを目でたどってみる。
 
 
坊主方面の眺め。切り立った迫力ある風貌に、しびれっぱなしだった。
 
 
ゆっくりしたいのはやまやまだが、こんな早朝なのに時間がおしている。山頂の景色を目に焼き付けて、下山開始。
 
 
九折越に戻り、テントを撤収する。
見立側からたくさんの方が登ってこられた。
頭に「多良岳・経ヶ岳」のバンダナを巻いた方が、こちらに来て、テントの話になる。
傾山で「経ヶ岳」の話もできるとは、なんだか二度おいしい気がした。
 
九折小屋を見学し、駐車場に向けて下山開始。
 

 
 
帰り道、カンカケ谷の新緑が美しかった。
 
 
2年前に祖母山に来て、その帰りに見え、威風堂々の姿にぐっときた傾山。
上の写真はそのときのものである。
初めての山中ソロ泊でもあり、一生心に残る山行となった。

 
 
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