岩屋山(いわややま)家族編 親子(息子7歳,娘4歳)で登る  2004.03.20

 
場所 長崎県長崎市 ←地形図はここをクリック
標高 475m 歩く標高差 約300m 歩行距離 約2km
所要時間
(往復)
大人(120分) 虹ヶ丘小学校前〜50分〜岩屋山〜40分〜虹ヶ丘小学校前
娘 (200分) 虹ヶ丘小学校前〜90分〜岩屋山〜90分〜虹ヶ丘小学校前
データ  雪も去り,山も里も春の彩りを増すこの頃。やっと,家族で登れる季節になってきた。
 長崎市に所要もあり,長崎市ではこよなく愛されている岩屋山に登ってみることにした。

 
天気は曇りで今にも降り出しそう。長崎バイパスを走っていると,フロントガラスに雨粒がちらほら。やばい。まあ,登山口まで行って考えるか。今日の岩屋山はパラパラの雨ならしのげそうだ。みんなの合羽も一応ある。

 
虹ヶ丘小学校前に着くと,5台くらいの車が駐車していた。思ったりより今日は少なそうだ。だって,パラパラと降り出した。着いて,しばらく考えるが,久しぶりの家族登山。途中で引き返してもいいかと決行することにした。

 
虹ヶ丘小学校前から,岩屋神社に舗装路,階段を登る。はりきっている娘は一人でどんどん歩いていく。ぶつぶつ言っていた息子も,いざ歩くとなるとはりきり出す。岩屋神社からは,子ども達にはなかなか手強い山道が待っていた。

 
山道に入ると,市内の山ながら,深山幽谷の趣がある。いくつもの大きな杉の木を両側に従えた道,竹林の道を進む。とてもよい雰囲気だ。この山深さが長崎の山のよさだと感じる。

 
最初は,石ごろごろの山道が続く。妻と子ども達は久しぶりなので,休憩を多めにとりながら行く。みんなで座って水を飲み,チョコを口にし,一休みしていると,いつしか娘は一人で登りだしている。そうだ,娘,君の休憩のとりかたは正しい。あんまり長く休んでいると,せっかくかかりかけたエンジンを冷やして,やりなおしの連続だ。娘にひっぱられるようにみんな歩き出す。いつも,「今度は大きなお山がいい」と口癖にように言う娘だ。たいしたやつだ。(ちょっと親バカが入っています。)

 
と,調子にのって歩き出した頃,傾斜がだんだんきつくなってきた。娘の自力では登れない段差や傾斜が連続して出てくる。この道を娘と下ると思うとぞっとしてくる。こいつ,今日は寝るなよ・・・・

 
さすがに人気の岩屋山。たくさんの方々とすれ違う。すれ違う度に子ども達に声をかけていただく。子ども達もその声に元気を取り戻す。

 
傾斜はどんどんきつくなり,まだかまだか。以外なことに息子は元気だ。この息子,単調な登りがとにかく苦手だ。しかし,木の根がむき出しで,岩をつかんで登るようなこんな道は,冒険心をくすぐるのか,ぐいぐいと妻をしたがえて,前に進んでいる。久しぶりな上,花粉症で外出自粛気味の妻が,いちばんばてている。

 
我が家では子どもがばててきたときは,気をそらす作戦に出る。なぞなぞ,クイズ,テレビ問題,歌,なんでもありだ。とにかく,歩くきつさから気をそらす。今日もそろそろその手がいるようだ。クイズを繰り返しながら,「もうすくだ!」と話しているうち,あれっ,明るい空が見えて来たぞ。

 
突然視界が開け,草台地の頂上に到着した。頂上は広く,子ども達がかけまわる広さが十分にある。他のルートから登ってこられた方々も休憩していた。

 
長崎市内が一望できる眺めが素晴らしい。よく眺めてみると,坂の多い長崎。そりゃそうだ。山の斜面に家がびっしりある。八郎岳,金比羅山,唐八景,稲佐山など,長崎の山々も一望できる。伊王島もはっきり見えて,これぞ長崎市内を堪能できる景色だ。

 いつものようにカップヌードルを食べいると,
すぐ上をとんびが飛び出す。とんびはなめてはいけない。対馬にいる頃,知り合いの子が手に持って食べているパンをとんびにとられることがあった。あいつは,すきをついて,このおにぎりをとりにくるかもしれない。息子は必死に「こらぁ」ととんびに叫んでいる。彼にとっては,何よりの宝物のおにぎりだ。

 
昼食を終え,今日は鬼ごっこが始まった。ちょっと待て,登山靴で走りたくないぞ。しかし,始めれば我を忘れる。子どももきつさを忘れる。みんな夢中になって駆け回るこの時間,いいものだ。夢中になって,ふと気づいた。ここで,娘の体力を使いきると,下山時にこいつは寝てしまう。

 
1時間ほど遊んで,さて,下山開始。あの道を降りるのか。
 下りが得意の息子は滑るように降りて,姿が見えなくなる。下りが苦手の娘は,ストップをかけ,父が抱っこして降ろし,ストップをかけ,抱っこして降ろしの繰り返しが続く。
登りはなんとかなるが,このルートは下りが4歳の娘には結構大変だ。親が足でも滑らせたら道連れになってしまう。岩山を下るように慎重に一歩一歩足をおろしていった。結局,登りと全く同じ時間を下りに費やした。

 
この日,登りの時に,また下りに時に,何回もすれ違う方がおられた。いったい何回登られるのか聞いてびっくり。今日は10回だという。息もほとんどきれていない。10回というと,3000m登って降りたことになる。いやあ,すごい。どの山にも超人的な方がいるものだと驚いた。

 長崎市民に愛される岩屋山。すぐ下は,もう市内の雑踏だ。手軽に楽しめる山として長崎市民に親しまれるわけがわかる気がした。

 
息子も娘もずいぶんたくましくなった。今日の様子を見て,息子は長崎の山向きだと思った。木の根をつかんで登る山は楽しいようだ。草地を延々と登るような道は,いくら眺めが素晴らしくても,彼にはきついのみのようである。息子よ,お前も多良岳に行ける日が近いぞ。その時は座禅岩であのお前の果て無き夢を叫ぶのだ。そう,

「マンモスがぁ〜〜,くいてぇ〜〜〜」

息子の最大の夢である。

駐車場 虹ヶ丘小学校前に駐車場があり,10台近く停められる。駐車場がいっぱいでも,小学校で行き止まりの道なので,小学校横の道路に駐車が可能である。たぶん,運動会の日以外は大丈夫。
 
 
小学校前に駐車できる。校門の前にだけは停めないように。
 
 
  
娘はとんとん歩き出す。岩屋神社に到着。さあ,山道に入るぞ。
 
 
 
神木の杉の木。雰囲気がとてもいい。市内の山なのに,この深さ。

 
 
山道に入る。この荒れた道は息子の冒険心をくすぐった。
 
 
 
休憩をしていたかと思うと,娘はリュックを背負って,一人でとっとと歩き出す。
山登りのセオリー通りの行動だ。
休憩のなんたるかを心得ている。
 
 
よよよ,道が険しくなってきたぞ。木の根をつかみながら進んでいく。
 
 
 
いちだんと険しくなり,クライマックスへ。
 
 
 
頂上にもうすぐの合図のロープ場あり。しかし,子どもはうれしそうだ。親はひやひや。
  
  
 
前が急に明るくなる。おおっ,頂上だ。子ども達は駆けだした。
  
  
 
頂上からの眺めは,長崎市内を一望できる。
 
  
 
伊王島もきれいに見える。そして,広いこの草台地が,なんといっても子連れには魅力。
 
  
 
 
カップヌードルタイムを,今日はとんびがねらう。
 
 
 
 
 山の頂上で駆け回る。家族での楽しい時間。
しかし,ほどほどにしないと娘は山で歩いている途中も平気で寝る女。

 
 
 
思ったより,険しかった岩屋山。
でも,子ども達がたくましくなったのを感じた今日だった。

息子は急登の道が好きだ。
娘は山登りというだけで楽しみにしている。

いつか息子と久住をと思っていたが,
案外,経ヶ岳の方が彼ははりきるかもしれない。

さあ,あったかくなってきた。
またまた,みんな,お父さんにつきあってね。