幼児の社会性の発達
幼児にとってのキャンプの意味
幼児にとってのキャンプはどんな意味があるのだろう。花に触れ,虫に触れ,木々に触れ,その五感を総動員しての体験は,幼児の情緒を豊かにしてくれることはこの上ないものであろう。そのことは,キャンプ前から想像できることであり,その通りの体験を子ども達は繰り返していると思う。

 キャンプを続けながらふと感じたことは,子ども社会がそこにできることである。特にアスレチックはその姿が顕著にみられ,アスレチックの中で子ども達の遊びが発展し,それぞれが役割を持って動き出す。見ず知らずの子ども達が集まり,年上がリードし,ときには妥協しながら,作り上げていく小さな社会は,見ていてとても微笑ましい。昔の子ども達はどこでも繰り広げていただろう上下の社会である。

 親からなかなか離れられない幼児にとって,アスレチックがサイト近くにあれば子どもの様子に大きな変化が見られることとなる。キャンプのテントは子ども達にとってすればまさしく家である。そこに親がどしんと構えてくれている安心感が,子ども達をいつもより積極的に子ども同士の交流を促してくれる。

 我が家の息子はなかなか親離れができない。公園に行っても,親と一緒でなければなかなか思い切った遊びができなかった。が,キャンプに行くとみるみる友達を作っていく。自分から声をかけ,遊びに誘い,上手に主張し,相手の要求を聞き入れ,さまざまな遊びを繰り広げる。テントには必ず親がいるという安心感。キャンプ場という限られた閉鎖空間があるからこそ,息子は安心して,親の居場所を確かめながら,冒険ができるのだろう。

 そんなことを考えながら妻に言った。
 「このテントが息子の冒険を支える港だ。もし,これがテントだけだったら,ここまで息子は離れられないかもしれない。テントがあり,タープがあり,その下のテーブルを囲み,家族が根を据えて待っている。この安心感があるからこそ,息子はあんなに成長した姿を見せている。ねえ,タープ買ってよかったね。こんな効果があるなんて。」
 妻もうんうんとうなずいた・・・・・

 よし,これでタープが壊れても,もっといいのを買ってもらえそうだ。いや,次はたき火台が欲しい。「このテント近くにたき火があったら,夜も息子は安心して旅立つよ。」と言おうしたがさすがにやめといた。
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