マスタードの産地と工場視察

                                           

 

 日  程  平成26年7月1日(月)~7月7日(火)

 参加者  

  1、 甘利香辛食品株式会社      常務取締役     甘利  毅

  2、 チヨダ株式会社         取締役生産本部長  関本 義行

  3、 株式会社 平郡商店       執行役員総務部長  平郡 良太

  4、 株式会社 美ノ久        代表取締役会長   加藤  勉 

  5、 株式会社 山 清        代表取締役社長   山下 清次郎

  6、 株式会社 山 清        営業部       山下 清一郎

  7、 平和食品工業株式会社      監査役       河野 善福

  8、 事務局 日本食糧新聞社               高木 義徳

 

     ( カナダ合流 )

9、     株式会社ヴォークス・トレーデイング 油脂香辛料2部 中村 俊浩

10、 株式会社ヴォークス・トレーデイング USA      矢崎  学            

                                                

                                                

             【  カ ナ ダ 視  察  記  】                    
                                                   

   【 7月1日 】  バンクーバーからリジャイナへ

 

成田空港に14時30集合。チエックインの後、AIR CANADA  AC004便に搭乗。

定刻17:00成田空港を出発。夜食が出発直後の18:00と午前01:00に出て、9時間後バンクーバーに着きました。成田からカナダのバンクーバーまでは行きは9時間、帰りは10時間です。

バンクーバーと日本の時差が16時間あるので、カナダに到着した日本時間の1日の夜中の2時は、現地バンクーバー時間は、出発から9時間たっても7月1日の朝まだ10時です。ここで4時間待たされて、トランジット(空港の外には出られません)現地午後2時(日本時間朝6時)にまた飛行機に乗って3時間、リジャイナ着は現地の17時(日本時間は朝9時、夕食終わってホテルに入っても、日が暮れるのは現地時間の、夜10時半ですから12時ころに寝たのですが、日本時間では2日の午後4時前でした。
 日本時間でいえば、1日の朝6時から2日の午後4時まで、飛行機の中で1時間半位ウトウトはしましたが、約34時間寝ていなかったことになります。その夜も3時間くらい寝むれただけでした。

 

    

                     バンクーバー空港

 

北米大陸は何億年もの間に氷河に覆われては溶けることを繰り返したために、著しい浸食作用により山間盆地が比較的平坦な地形に変わったのですが、後に太平洋プレートが北米大陸を押し上あげ、押されて

出来たシワがロッキー山脈だそうです。道も畑も見えない、人間の生活感がない雪山の連続です。

バンクーバーのすぐ後ろにもあるこのロッキー山脈は、北はアラスカからアメリカまで、南北4,800km位ある山脈で、バンクーバーから東に山脈を横切って超えるだけでも、3,000mクラスの雪山を約1000km超えねばなりません。一番高い山で3,900mくらいです。これを超えると大西洋までの5,000km位はほとんど山のない平らな土地です。ロッキー山脈を超えた山裾のいくらか丘もある高地の町がカルガリーで標高1,000m、目的地のリジャイナはカナダのほぼ中心で標高500mです。太平洋側のロッキー山脈の雪解け水が2本の川になって湖に流入し、再び川になって西の先の大西洋まで流れ込んでいるそうですから、どこまで平らな土地が続いているのか想像ができません。途中に山があったら大西洋までは流れないのですから・・・。

      

バンクーバーは入江の多い海岸の町           郊外からすぐ雪山になる               未開の雪山が100km続く

 

  ロッキー山脈を超えると、広大な平野が眼下に見えました。広く区画された農地があるだけで、人家は全く見えません。今年は近来希な大雨が降ったということで、点々とまだ水没地域が見られました。穀物の被害も想定されるということでした。                              

    

                      未開発の平野もまだある広大な農地

     

リジャイナ郊外の住宅地             遠くにビルが集まっているのがダウンタウン

 

【 Regina(リジャイナ)の町 】

 

カナダの国土は日本の26倍ほどあり。ロシアに次いで大きい国で、国内に6つの時間帯があります。

地球全体が昔は氷に覆われていて、カナダの台地も2億年前には海の中でした。台地の隆起後も氷河が1,000m2,000mも積もって、これが溶けることと積もることを繰り返したので、高いところが侵食されて、平らな台地になったと考えられるそうです。今でも氷に乗って流されたとされる岩が各地に残っているそうです。
 アメリカとの国境線は49度線で、世界の淡水湖の7分の1はカナダにあります。1平方キロメートルに住む人口は日本人33人に対し、カナダ人は3人だそうです。

歴史的には先住民族が居住する中で、外からやってきた英仏両国の植民地連合体として始まった国で、7月1日が建国記念日です。オンタリオ州とケベック州に二つの植民地を加えて、カナダ連邦が186771日に誕生したことを記念しています。

日本の警察は110番ですが、カナダの警察は911番です。赤い制服が美しいカナダ王立騎馬警察は、もともとはロッキーの山の中で、無知な原住民を騙して毛皮の取引をする者がいて、それを取り締まるために連邦警察から正式に派遣されて、騎馬警察の称号を貰った組織で、最高レベルの連邦警察であり、カナダ最大の警察組織です。赤い制服(チュニック)と鍔の広い尖がり帽子(キャンペーン・ハット)で有名ですが、これは式典向けの正装で、通常は他の警察と同じような一般的な制服を着用しているそうです。

カナダのお土産はメイプルシロップとスモークサーモンが代表的なお土産です。ただし、メイプルシロップも100ccを超えると機内持ち込みはできません。(100mlを超える容器は中身が100ml以下でも機内持ち込みはできません、また、100ml以下の液体でも10個を越えての機内持ち込みはできません)
 カナダでは、大型のキャンピングカーで旅行する家族がよく見られ、そのような旅行者専用のモーテルや専用駐車場が沢山有ります。

ここサスカチュワン州の人は海を見たことのない人が多く、水遊びは湖水で行います。近くにビーチと名のつく湖があるそうです。タンパク源は肉系の食べ物が主です。魚は冷凍品がほとんどです。この地方の牛肉は肉質が違うので焼きすぎると固くなります。油身の多い日本の肉は好まれません。白米はステームドライスと呼ばれて食べられています。

   

                       リジャイナ空港でのカナダ視察参加者一同

 

この地方の電柱はコンクリート製だと冬の寒さで割れるので木製の電柱が使われています。

Regina(リジャイナ)はカナダ西部の広大な大平原地帯の中央に位置し、サスカチュワン州にある州都です。人口は約19万人、土地は肥沃で穀物生産が盛んな土地です。空港はリジャイナの西約7kmのところに有ります。気候は大陸性気候で、夏は暑く30度を超す一方、冬は酷寒で-45度に達することもあります。夏の日中は痛いくらいに陽射しが強く、この日は25くらいだったのに、強い光にサングラスを外すと目が痛くなりました。湿度は35%くらいでした。町の標高は約500mくらいです。

 カナダに着いた日(7月1日)はカナダの建国記念日。リジャイナに着いた日にはカーボーイハットで

ジーンズ上下の人が街にもホテルにも溢れていました。聞けば明日2日はこのリジャイナの中心街で西部開拓時代を再現するパレードがあるとのことで、町の中心街に観客席やテレビ中継の準備がなされていました。

 明日は朝9時からVITERRA本社を訪ね、祭りが始まる前に、Moose Jawの工場視察に出かけます。祭り会場に急ぐカーボーイハットの男女子供を横目に見て、農村の工場視察に行くのです。業務視察とは言え、今回の出張には観光がほとんど組まれていないので、祭りの当日にこの街に居たのだから、少しは祭りを見たかったというのも本心です。

日没は10時半で、2日目も睡眠は2・3時間でした。
 7月1日、2日とも宿泊は下記でした。

  DOUBLE TREE BY HILTON HOTEL & CONFERENCE CENTRE REGINA

 

 

【 7月2日 】  リジャイナでVITERRA本社を訪問し、Moose Jaw工場へ

 

    朝9時ホテルを出て、徒歩10分程度の場所にあるVITERRA本社を訪問。

    Jeff Vipond, CMA  (ジェフ・バイポンド氏)と面談しました。 

   

Jeff Vipond, CMA  との面談                玄関で記念写真   

Jeff Vipond,氏は、「本日は遠いところからようこそ、日本のユーザーをご招待することで、次につながれば嬉しい。私は入社7年目で、マスタードビジネスのマスターです。」と挨拶をして私たちを迎えてくださった。そばにいたジェイソンは、「私は農家の出身でこの業界に興味があって入社した。入社後5ヶ月、新卒の新入社員です。」と自己紹介をしました。

続いて我々が、自己紹介をしました。

Jeff Vipond,氏は、「VITERRAは、エレベーター60基を所有し、年間1,200万~1,500万トンの穀物を取り扱っており、主に、小麦、春小麦、キノーラ(菜種)、豆類(レンズ豆など)、マスタードなどを取り扱い、12の加工工場を持っている。商品の加工は豆、マスタード、グリンピースなどを行い、袋詰め、コンテナ出荷を行っている。」と説明した。

続いて、概要次のように述べた。「カナダには、二つの大きな穀物商社がある。リチャードソンとVITERRAである。VITERRAはさらなる事業拡大とお互いの相乗効果を期待して、スイスの資源商社グレンコアの傘下に入ることを決定した。今回の合併によりバイテラ社の一員として一層のメリットを追求していく。VITERRAはカナダのマスタード市場の55%~60%のシェアを持っており、マスタードの専門工場が3ヶ所にある。この3工場は他の穀物が混ざらないようマスタード専門工場とし、イエロー、ブラウン、オリエンタルを扱っている。

Warner Alberta(ワーナー工場)は西海岸に近く利便性が良いので、日本向け商品を主にアジア向け商品を作っている。ここはエレベーターロードと呼ばれており、五つのサイロがある。うち一つはクリーニング商品を貯蔵し、他の四つはクリーニング前のものを貯蔵している。袋詰めとコンテナ向けの機能があり、トラックでカナダ国内に輸送するほか、鉄道が通じているので東側の国への出荷も取り扱っている。

二つ目の工場は、今日見てもらうMoose Jaw(ムースジョウ工場)で、ワーナー工場と同じくイエロー、ブラウン、オリエンタルの袋詰めとコンテナ出荷をしている。国内向けとヨーロッパ向けに使っている。この工場は一番古く、補修拡張させながら使っている。

三つ目の工場はミネアポリス工場で、Moose Jawと似ている。ミネソタ州(Minneapolis)のペンスという町に有り、巨大なエレベーターを所有している。ここではホールとパウダーを製造し、そこを拠点にアメリカ向けのイエローとブラウンを出荷している。主にこの三つの工場で作業しているが、皮を取ったり、油を絞ることは一切やっていない。

 自社商品のケーズウイ(クラフトフード)という商品は、イエローを原料とした商品でクラッカーに付けて食べる。ワーナー工場の正面の工場で熱を加えた肉用の商品を作っている。保存がよくなるので、増量剤としてハンバーグやソーセージに使っている。ただし、マスタードは熱を加えると味は良くないので、味に寄与しない。肉に水を加える(加水作業)とき、これを用いると水が多く入る。

 マスタードは、年間7万トンを各々の工場で22,00025,000tほぼ均等に取り扱っている。

 2014年のクロップ予測は2013年より30%作付けが増えている。統計局の発表では、45万エーカー作付けとされているが、最近の雨で作付けが減っているかもしれない。作付け割合は、イエロー45%、ブラウン35%オリエンタル20%である。オリエンタルは旧種がタイトであるが、作付けも多く先行きは明るいと思う。ここ数年の平均収量は850ポンド/エーカーです。

注、(1ポンドは0.4536kg)(1エーカーは1,224坪(4,046㎡)、1ヘクタールは3,025(10,000㎡))  4,000㎡の土地で平均385kgの収穫です。

収量は降雨のために今年は若干落ちて、850Pounds/Ecreくらいではないかと思う。作付シーズンに雨が多かったのですべての作物が収量減となるだろう。(資料9)のマスタードの作付地(緑色部分)に(資料6)の雨(水色)は少なく、これからの天気によるがキャノーラ、小麦がダメージ大きい。

 昨年はどの作物も豊作で価格安だった。今年マスタードの作付けが30%増えているのは、昨年農家がキャノーラを多く作ったので、在庫過多のためにキャノーラの価格が安く、12月~2月の今回の事前契約時に、農家はマスタードに切り替えた。現在は1日に50万トン運べるようになって問題は解決しているが、物流の問題もあった。」

     

VITERRA社の社標                 VITERRA 本社     

 

【 続いて、Jeff Vipond,氏に次のような質問を行ない、その場で回答を得た。 】

1、グレンコアの子会社になってもオリエンタルマスタードは今後とも提供してもらえるの?。

   日本へは継続的に供給し100%これを約束する。現状の各工場の取扱量を維持するためにも日本の市場は重要だ。これからもマスタードには力を入れていく。ワーナー工場には3か月以内に50万ドルの投資を行い、近代化および設備強化を図る。

2、今年のからしの品質はどうか?。また今後の品質予想は如何か?。

   高品質のマスタード作りに今後も全力を尽くす。選別工場で働く社員も優秀です。
カナダの生産農家は品質力が高い、収穫時の乾燥による粉塵、ダストの混入問題など懸念はあるが、工場投資、工員教育などで継続的に高品質のものを供給していく。2012年のものに粉塵が入っていたが今は良くなっている。しかし、根本的な解決策は見つかっていない。
オリエンタルは10年前とあまり変わっていない、栽培面では大きな問題はないので、なぜこうなるかを研究させている。

3、我々はカナダの研究機関や大学で、マスタードシードの品質改善の研究がなされていると理解している。どのような改良改善がなされているのか。

   カナダ・マスタード組合が6つの品種で研究開発を依頼しており、消費者により近い意見交換をしている。オリエンタルの品種改良は難しい面もあり、今後も努力が必要な分野だ。

アグリチャードカナダに属する研究機関が、遺伝子組み換えはしないで、良い品質のものを作る研究をしている。研究はイエローマスタードに力を入れており、虫害防止、米国が求める粘度の高いものを作る研究をしている。
日本のオリエンタルには何を求めるのかを、皆さんから聞かせて欲しい。

4、オリエンタルシードについては、どんな研究がされているか?。

より収量の多いもの、虫害に強いものを開発している。マスタードはイエロー、ブラウン、オリエンタル、ブラックに大別されるが、イエローに一番力を入れている。

 

    

オリエンタルシード                イエローシード

 

5、今後のマスタード価格はどのように推移すると考えているか?。

   これは答えるのが難しい問題だ。収穫量が多くなれば当然価格は下がる。800ポンド/エーカー以下の収量になると高くなり、900ポンド以上になれば下がる。価格は競合するキャノーラ、麦に引っ張られることもある。

6、以前はキャノーラに比べて、1.5倍のやや上だったのに最近の価格は2倍になっているのはなぜか?。

   オリエンタルマスタードは3035万エーカーの作付に対し、キャノーラは2,000万エーカーと約50倍の作付がなされている。従ってキャノーラには莫大な研究費用が投入されており、キャノーラの収量は向上している。マスタードは30年~40年前と変わらない。

7、マスタードの一般的な播種時期の気温は何度くらいか。

   外気温も要素の一つですが土壌の温度が重要だ。ベストは15度くらいだが、この時期まではなかなか待てないので5度以上で播種する。5度以下だと種が腐ってしまう可能性があり、今年は6月中旬に播種を完了した。

8、収穫時の水分値はどのように決めているか。

 8~9%がベストだ。しかし12年は乾燥の影響で5・5~7%で収穫した。この水分値だと品質に影響が出る。CGC(CANADIAN GRAIN COMMISSION(規格認定機関))のNO1規格での上限は9・5%とされており、この数字が上限といえる。

9、カナダでオリエンタルマスタードの品種は、現在何種類栽培されているか。またその品種の特徴は。

   現在、カトラス、フォージ、バルカンの3種がある。もう1種あるが、この品種は農家が所有しており種苗会社で購入することはできないため、考慮に入れる必要はないだろう。カトラスはフォージと比して収量が高く、油分も多い。バルカンは現在取扱量が少ない。カトラスへの回帰が主流となりつつある。現在はフォージ、カトラスが主流でフォージは昔からの農家が栽培している。新しい農家が栽培する時はその収量の多さ、手間のかからなさなどからカトラスを希望する場合が多い。今後、フォージにはプレミアムがつく可能性がある。ただし、現在はプレミアムはついていない。

10、オリエンタルシードの在庫率がここ数年少ないが、安定した在庫とするにはどうしたらよいか?。

イエロー、ブラウンは農家が他地域の不作を見越して栽培することがある。このため、在庫率も高くなる。しかしオリエンタルは需要が少ないため、過剰生産となりにくい。今すぐにオリエンタルの在庫率を改善することは率直に言って難しい。14年はマスタードの総収穫量を15万tとするとオリエンタルが20%で約3万t、実需は2万tほどなので約1万tが在庫となると思われる。

11、カナダでのマスタード生産の歴史はどのくらいあるのか。農家の播種時期はいつか?。

 1936年にアルバータ州で栽培が始まった。2016年に80周年記念行事がアルバータで行なわれる。

 1951年に4万エーカーの作付で8,000トンの収穫が有ったと記録されている。商業的に栽培が始まったのは1960年以降で、サスカチュワンを中心に11万エーカーで栽培されていたようだ。

 播種は5月前半で、6月に花が咲き7月の乾燥期に成長し、9月に収穫する。成長期に気温が35℃を超えると良くない。
2007
年には8月に霜が降りて収穫量が少なく、595ポンド/エーカーだった。

                                           

 

          【 サスカチュワン州Regina(リジャイナ)地方 】

 VITERRA本社を11時に出発して、バスにてVITERRAMoose Jaw工場の視察に向かいました。

  地名のMoose Jawは大型の野生鹿のヘラジカのことで、近隣には今もかなりの数いるらしいです。標高は500mほどあります。サマータイムは採用していなくて、リジャイナとカルガリーは日本との時差が15時間、バンクーバーは 16時間です。今年はこの地方に雨が多く、洪水被害もあって今も避難生活者がいるとのことでした。

Regina(リジャイナ)の町はポプラの花の綿毛が雪がふるように舞っており、外に出ると花粉で鼻がムズムズしました。郊外の住宅はほとんどの家に半地下室があります。半地下の部屋は貸して家主は上に住むのだといいます。郵便屋さんは通常はカバンを抱えて歩いて配達するそうで、ちょうど配達者を見ました。

この町は北緯51度で緯度が高いので陽が永く、今は日没が10時過ぎ、日の出は5時です。白夜にはなりません。昨夜はカナダの建国記念日で、花火は日が暮れてからの11時に打ち上げられました。雪の量は少ないが、マイナス40℃くらいになるそうです。

自動車のナンバープレートは前方にはありません。スピード違反車両の写真は後方から撮るから人物は映らないので、罰金は車に対してかかります。従って、身代わり出頭がよくあるといいます。

ガソリンの価格は現在130カナダドル、安かった頃に比べると3倍になっていると言い、燃費の良いアメ車を避けて日本車を求めていたのですが、最近は韓国車が多いと言います。

カナダは乗用車を生産していません。カナダでもここリジャイナ地方はピックアップ・トラックが多いようです。車には車検がないし、自動車税もないので自動車の解体屋に行って部品を買い、自分で取り替える人も多く、ドアの色が左右違うなんてことは、よくあることだと言っていました。

ここを通っているトランスカナダハイウエー(国道1号線)は太平洋側から大西洋岸まで7,821kmがつながっており、日本とバンクーバーの間より永い距離の道路だそうです。通常は車で走ると8日間掛ります。北側に大陸横断道路(国道16号線・イエローハイウエー)があります。大陸横断道路は、どこまで行っても平野で景色の変化もないので眠くなるし疲れると言います。山も湖もない平野なので、いくらでも直線で道路が作れますが、居眠り防止のためにところどころ道を曲げているそうで、国道なのに防音壁も外灯もありません。夜道で大型動物と衝突して死亡事故になることもあると言い、「鹿注意」の看板がありました。でも山道の方が変化もあり苦にならないといいます。今回の洪水の影響は大きく、この大陸横断道路も一時通行止めとなったそうです。
 米国製の車はマイル表示(1マイル=1.6km)で、カナダの国内販売車はkm表示になっています。温度表示もカナダは摂氏表示で米国は華氏表示となっています。重量はカナダもkgもポンドも使います。

カナダ製の車は、エンジンをかければライトが点くようになっています。田舎道には永い直線の分離帯のない道路もあり、対向車なのか同方向走行車なのかが分かるように前方にライトを付けることになっています。テールランプは点かないようにしてあります。
 このあたりを走っているトレーラーは3輌編成のものが多く、主にライ麦などの穀物を運搬しています。サスカチュワン州の車のナンバープレートは麦の絵が書いてあり、アルバータ州の車は週の花が書いてあります。

Regina(リジャイナ)の街を出ると、すぐに大陸横断道路に乗って西西南に走りました。大陸横断道路は通行料無料でこのあたりは、片側3車線、間に20m位の緩衝緑地帯があります。道路の両側は見渡す限りの平野で一本の樹もありません。通訳の乗務員は「町には人口に合わせた大きさのスーパーができる。

各州ごとに地ビールがあり、どんな小さい街にもギリシャ料理の店がある」と言いました。
 高速道路の途中にサービスエリアはないので、途中にあった小さい町の高速の出口には、ガソリンスタンド、コンビニ、自動車修理などこの町にあるサービスの品名表示がしてありました。30km50km走るとこのような小さな街がありますが、あとは全く変わらない1本の樹もない平らな大地があるだけでした。

カナダの台地は2億年前には海の中で、台地の隆起後も氷河が積もることと、溶けることを繰り返したので、高いところが侵食されて、平らな台地になったと考えられるそうです。

 

   

どこまでも続く平らな台地 畑

 

ところどころ色の違う畑だとわかるところもありました。小麦やとうもろこしの畑かも知れませんが、まだ20cm位なので草原なのか畑なのかの見分けもつきませんでした。でも、この青い草原風景は今だけで、まもなく「秋茶色」と言われる黄金色の風景に変わるそうです。紫外線が強く、サングラスが必要でした。

ここは乾燥地帯でこれからの3ヶ月位は雨が降らないといい、湿度は35%くらいで、喉が乾きます。

これから行く、Moose Jawには地下道が残っており、禁酒法の時代にアル・カポネがここで密造し鉄道で運んだと言われています。
 大陸横断道路と並行して走る貨車に何度も出会いました。平均して100輌連結で気動車が前に3輌、中程に1輌、最後に1輌の5輌で引っ張っているということでした。

パブリック・ゴルフ場がありました。だだっ広い平らなコースで、ところどころに木が植えてありましたが、区切りの樹列はなく、OB杭はないということでした。18ホール4,000円位で遊べるらしいです。

ほとんどの駐車場には「プラグイン」装置が設定されています。冬季マイナス40℃になると車のエンジンが起動しないので、車の後部と駐車場の電源とを接続して、保温しておくためだと言います。

消費税は、                     国  税   州 税   合 計

バンクーバーがあるBRITISH COLUMBIA州    5%     7%          12%

  カルガリーがある ALBERTA 州          5%     0%     5%

  リジャイナがある SASKATCHEWAN 州      5%          5%         10%

この州での喫煙は、室内では禁煙、外に吸殻入れがあれば建物のそばでも喫煙できるのですが、吸殻入れのないところでは、建物のひさしから5m以上離れた場所でないと喫煙できない決まりです。公共の場所と屋外では酒を飲んではいけないし、酒はリカーストアで販売され、コンビニには売っていません。商店は土曜・日曜・祝日はほとんどの店が休みです。従前はリジャイナの駅があったところが、今はカジノになっています。

今は、学生アルバイトがいるが、9月になると学生が新学期のためいなくなります。政府は移民制限中のため、人手不足が深刻になります。移民の認可は5年以内に半分以上カナダに在住することが条件になっています。アルバイトの時給は24ドル、1日2万円くらいになりますが、7~8月に働いて、9月からの4ヶ月は学校授業のため働きません。

硬貨は一番小さい5セント(カナダの国の動物を表すビーバーの図案)、10セント(帆船の図案)25セント(トナカイの図案、バンクーバーオリンピック記念硬貨)、1ドル(金色の鳥、ルーニーの図案)

ルーニー?と言えば、1ドル持っているか?という意味になり、ツーニー(2色)といえば、2ドルのことになるそうです。お札は、5、10、20、100、500、1000ドル札があります。
 カナダでは92~97セントは95セントになり、98~101セントは1ドルで扱います。現在のお札は、全てプラスチック製でメープルの匂いが付けられています。
 カナダには米国ドルも市場に出回っており、最近の為替では1米ドル101円、1カナダドル95円位ですが、同価値で扱われています。米国に紙幣は男性の顔が、カナダの紙幣は英国女王の顔が印刷されています。

                       【 VITERRAMoose Jaw工場の視察 】 

 

 Moose Jawは人口3万人、サスカチュワン州中央部の町。

 VITERRAMoose Jaw工場は1920年代に建てられたトールプラント。マスタードシードを農家から受け入れて、挟殺物を選別している工場で、建物は13階建て、原料を40mの高さまで運び、風力選別、インデントシリンダー、ふるい選別、スパイラル選別、色彩選別機の組み合わせで挟殺物を取り除き、原料をクリーニングして選別を終えた商品をエレベーター(保管瓶)に保管している。年間25,000tの加工を目標に運営されています。
 原料と商品の入出庫施設と、原料の保管瓶3,000t・選別済製品の保管瓶400tの保管施設があり、敷地の中に鉄道線路が何本も入っていて、すぐ貨車に積み込み出荷できるようになっています。

   

VITERRAMoose Jaw工場               工場敷地に乗り入れている貨車

種子の受け入れ検査

   

受け入れ品(サンプル)の保管箱              受け入れ判定の湿度測定

      

    受け入れ判定器具               穴に残った種子を広げて不良品を数える。

 

受け入れ検査は、CGC(Canadian Grain Commission)基準が定める品質を順守するための品質管理室で、品質評価シートにのっとり水分、緑色・熱損種子、異物などの評価が行われていました。まず、湿度を測定してから、長方形の羽子板のような板に小穴があいた検査器に種子を載せて定規で引っ張ると、1穴に1個の種子が残り、これを粘着紙に貼り付けて、不良品の数を数えて良否の判定を行っていました。

 

       夾雑物の選別装置

   

 振動、風力等を利用した夾雑物の除去作業。

 

   

選別作業完了品の保管瓶への搬送装置             袋詰め製品のミシン掛け機 

 

選別機はダブルスパイラルを使用しています。種子を20トントラックに積み込むのに、通常は一時間かかるが、選別機の上で2.5トンずつ計量を終えているので短時間で積み込みできると言っていました。

受け入れ瓶は第1工場に40本あり、原料マスタードが8090t入る、第2工場は瓶が64本で、そのうち、32本を原料、20本を製品用にしている。瓶のサイズはいろいろあるとのことでした。

出荷はトラックを工場内に入れて、天井から落下したマスタードをコンベアで受けて、コンテナトラックへ送ります。階段を登って瓶の上部を見学しました。

袋詰めは1袋45kgを人手で計量し、ミシンをかけてコンベアで保管場所に搬出していました。

 

  

      草原を走る大陸横断鉄道の貨車             VITERRA社幹部との夜食会

 

 

【 7月 3日 】  リジャイナから カルガリーへ (Calgary, Alberta

8時半にホテルを出て、リジャイナの空港に向かいました。最近はバスの運転手も女性が多いのですが、スーツケースのバスへの積み込みや荷降ろしは運転手の仕事となっているということで、通訳者は一切手伝わない決まりだそうです。仕事の担当区分がはっきりしています。
 空港からは、双発のプロペラ機に乗って1時間でカルガリーへ着きました。明日4日からはカルガリーのお祭りで、通行止めになるところが多いということでした。

ALBERTA(アルバータ)州の州都はエドモントンで人口365万人、州の面積はおよそ日本の1.75倍、南はアメリカに接しています。石油産出のおかげで財貨はうるおい、消費税も安くなっています。
 2015年に行われる女子ワールドカップは、カナダ国内6ヶ所で開催され、決勝戦はバンクーバーに決定しています。

カルガリーでは、1988年に冬期オリンピックが開催されました。スケートでは黒岩彰が500mで銅メダル、トリプルアクセルの伊藤みどり、八木沼純子などが活躍しました。ここカルガリーではボブスレー、ジュール競技も行われました。

カルガリーの人口はオリンピック開催の頃は70万人くらいだったのですが、現在は110万人、カナダ全体の人口は3,000万人くらいです。カルガリーの標高は1,050mほどで、空気が薄いのでゴルフボールはよく飛ぶし、酒には酔いやすいといいます。飛行機の滑走路は長く必要なのだそうです。

カルガリーの住宅価格は高く、中心街のダウンタウンまで車で30分のこの地域でも4,000万円です。住宅は2~3年経ったものの方が人気があるようです。問題箇所のわかっているものを購入して自分で修理するということでした。集合住宅地が多いのは、ガス、水道などを個別に新しい地域に敷設するのは大変なので、開発業者が住宅団地を新設するためで、どこも電柱は立てないで地下敷設にしています。

暖房はほとんどがガスで、夏でも朝は10℃くらいになる時があるので使用します。1軒の敷地は平均して100坪で、車を4台置くことが出来て、裏庭があるのが標準です。ロッキー山脈からの風対策としても、住宅集合は良いのだそうです。

 

   

カルガリー郊外の集合住宅

 

市民は誰でもライフルを購入出来ますが、弾は5発までです。ピストルは所持できません。

働く人たちは、朝6時~9時に出勤し、午後3時~6時に帰宅する人が多く、フレックスタイムによる勤務を行っています。

ヘルメットなしで自転車に乗った時と、歩道以外の道を横断したときは75ドルの罰金が課されます。

車は15年以上前のクラシックカーならば右ハンドルでも良いが、製造後15年以内の右ハンドル車は道路走行をすると違反になるそうです。


    

冬季カルガリー・オリンピックのジャンプ台        ジャンプ台から見たカルガリー市内


 カルガリーの町はロッキー山脈の裾野にあるので、低い丘がいくつもあります。この丘の斜面を使ってオリンピックのときのジャンプ台が作られていました。通常は山の斜面に作られるのでしょうが、山までは遠いので、丘の上に鉄塔を立てて、その塔の上からジャンプする構造になっていました。

ジャンプ台は使われていませんでしたが、塔の上から地上に向かってロープが貼られ、滑車にぶら下がって降りる遊具が営業中でした。

 オリンピックの時にスキーのジャンプ台に上がるために造られたロープウエーは、夏場はマウンテンバイクのための人と自転車を、丘の上まで搬送するために使われていました。

 

   

カルガリータワー「SKY360」の展望室          カルガリータワーから見たカルガリー市内 

 カルガリータワー「SKY360」に夕食に行きました。カルガリータワーは高さ190mですが、標高1,000mの町にありますので世界でも高い塔です。最上階のレストランは1時間に一回のスピードで回転しており、市内が一望できますが、空気が希薄なので気分が悪くなりやすいようです。

 

カルガリータワー「SKY360」の前で参加者一同。

 

「 この日大型ショッピングセンターを視察しました。 」

 

7月3日、4日の宿泊は下記です

 International Hotel Suites Calgary

 

 

 

【 7月 4日 】 Alberta 州 カルガリ(Calgary,)の Warner Mustard 工場へ

 

 アメリカ合衆国の独立記念日が7月4日で、今日4日からの10日間はカルガリーのお祭りです。9時ころから市内は通行止めになるところが多いということで、8時にホテルを出て、Warner Mustard 工場の見学に出かけました。祭りの参加者が三々五々ウエスタン・スタイルで中心街の会場に向かっていました。

パレードの入園料が16ドル、牛追い祭り(ロデオ会場)は入園料14ドルです。祭りは企業の補助会場もあり、入園時にバッグを貰える(日本の福袋のようなもので、中にいろいろ景品入り)のだそうです。町はすでに通行止めになっている道路もありましたが、迂回して高速道路に向かいました。
 今日走るのは国道2号線で、ロッキー山脈の裾野を走ります。

高速道路に乗ると2日にMoose Jawに向かった時と同じような、全く平らな平原をひたすら走りました。前方の風景も左右の風景もほとんど変わりません、緑の草原のような大地です。行先はアメリカとの国境に近いと聞きました。走行中30分置きくらいに小さい町がありました。町のところだけ防音壁がありました。

 先住民の居住地域と言うところも通りました。先住民はいろいろの権利を保護されて生活していると聞きました。新たに道を作る予定地も彼らが条件を飲まないので、工事止めになっている地区があるそうです。

先住民はバッファローを崖に追い込み落下させて獲っていましたが、白人が鉄砲と馬を持ち込んだので生活が変わったのです。先住民がバッファローの骨を捨てたたまり場が世界遺産になっています。

先住民のことをインデアンというのは、コロンブスが新大陸を発見し、着いたところをインドだと思ったので、そこにいた人たちをインデアンと呼んだからなのだそうです。先住民のお尻には日本人と同じ蒙古班があるそうです。

牧場の牛は、広いところで夜も夏・冬も外で放し飼いにし、絶えず動くので肉が硬くなって霜降り肉に

はならないのだそうです。

   

VITERRAのエレベーターがあった        高さ96m、100年前に造られた鉄橋

 

 レスブリッジはアルバータ州四番目の都市で、日本人が多い町です、ケント・デリカットの出身地で、彼はモルモン教の宣教師として日本に行ったのですが、今はユタ州に移っているそうです。

 町外れにある鉄道は、穀物輸送用に100年前に作られた鉄道で、鉄橋は高さ96mだそうです。

 今日は、片道3時間、昼食、農場見物、工場視察で往復600km位の走行ですが、全く変わらない平原の風景に疲れたのか、夕食後8時ころにホテルで解散したのですが、祭り会場に行ってみようという人は一人もいませんでした。

夕食の後テレビを見ると、カルガリーの町のパレードの様子や、暴れ牛や暴れ馬に乗るロデオ大会、馬上から投げ縄で牛を捕まえて足を縛る早さを競う競技などの映像がニュースで流れていました。

 

    VITERRAWarner Mustard 工場訪問」

 

 VITERRABlair Roth p,ag が我々をWarner Mustard工場へ案内してくださいました。Blair Roth氏は、親がマスタードを扱っている家庭に育ったので、マスタードビジネスに興味があり、12歳からこの仕事に関わり、研究開発を25年行っており、バイテラでは現在特殊作物担当取締役である。と紹介されました。

この近辺の農家は、1戸で3,500エーカー(1エーカーは1,224坪(4,046㎡))位の農地を持っています。この地区の農地は、2,500m×2,500mに区画されております。この1区画が640エーカーで、ひとりで5~6区画を所有しています。平均的には所有地の1割位をマスタード栽培に当てています。

マスタードは連作障害があるので、4年に1回しか作付けできません。一般的にはマスタード→小麦→レンズ豆→麦→マスタードの順に作付けしています。640エーカーの1区画に4分の1ずつ別の作物を植えることが多く、種は種苗会社から購入しています。
 マスタードは春4~5月に種を蒔き、その前後には雑草取りを行い、夏には成長が順調であるかどうかを調べて回ります。マスタードは虫害が少ないので農薬の使用が少なく手がかからない作物です。マスタードシードと競合するキャノーラは、雨が多い時には収量が多くなるのですが、マスタードは水量の影響が少ない作物なので、両者は雨量によって収量に差が出ます。今年はレスブリッジ近辺には雨が多く、マスタードの種まきも遅れました。従って、マスタードの成長は遅れています。

 マスタードとキャノーラは離れてみると見分けが付きません。マスタードは茎から枝が出て枝の先に葉がつくのですが、キャノーラは茎から枝分かれすることなく葉が出ます。同じマスタードでもイエローには茎に毛があり、オリエンタルには茎に毛がありません。

   

Warner地方のマスタード 畑

 

 サヤの中が乾きすぎると種子が落ちるので、8~9月の完熟前に刈り取りは行います。

 作付けは、直播きで、農地を耕運機の器具が切り込んで、種がエアシステムによって蒔かれて、すぐ後ろの車輪が土をかむせて行きます。じゃがいもの耕作者が土壌改良のためにマスタードを植えて、一定の高さになれば刈り込んで肥料にしています。小さい虫への殺菌効果もあり、ストロベリーの耕作者も同じように使っています。

 南アルバータの土壌は、窒素、リン、カリューム、硫黄を含み、農業には適しています。

 マスタードの収量は、イエローで6~8/エーカー、オリエンタルで10~12/エーカーです。種は4~5cmの深さに蒔きます。種は1フィート×1フィート(30cm×30cm)に対し、イエローは6~8株、オリエンタルは1012株蒔いています。

 

             Warner村の農地管理シート(一番小さい桝が2500m×2500m これが36個集まって1タウンシップ15km×15km

 このWarner地区の農地は上の写真のとおり、一番小さい桝が2500m×2500m 640エーカーで、これの縦6枚×横6枚の36枚が集まって1タウンシップ15km×15km と言います。この図一枚は8タウンシップ分の図で、これはNo5地区の図です。当然No1~No4もあり、全体で何タウンシップあるか聞き漏らしたが、この整然と区画された土地が1920年頃からあり、ずっとこの地区で管理されていると言います。

 最近は節税対策として法人化している農家が7~8割ありますが、法人化にメリットがないと考える人もおり、2~割が個人農地所有となっています。最近は小さい農家が法人に買われているので法人が増えています。
 カナダの若者も都会に出たがるので農家の後継問題もあります。大きい農家が買い取っても、広すぎて管理できずまた売却という話もあります。

VITERRAのカントリーエレベーターは、フレーリー地方に75ヶ所あり、ここで40,000トン保管できます。この地域では主に麦やレンズ豆をバンクーバー向けに出荷しています。

 

 

     「 ブライアン氏所有の農場を訪問 」

 

 ブライアン氏は42歳、3代目です。一人で4,000エーカーの土地を所有しています。それ以上は持つと一人では管理できないと言っていました。1912年ころ、このあたりがまだ農地でなかった頃に祖父がこの地を開拓したのだそうで、1914年に祖父が建てた家に現在も住んでいるのだそうです。

今年、マスタードは460エーカー作付したそうです。マスタード以外に大麦、春小麦、ヒマワリを作付しました。マスタードはイエローが主で、キャノーラは耕作をしていないそうです。

マスタードを作付する時には、連作障害だけでなく、交配の可能性もあるので4年以上空けて作付するし、近隣にマスタードの耕作者がいないことを確認して作付けするのだそうです。

 

   

VITERRABlair Roth氏とブライアン氏                参加者一同

   

マスタードの花                     マスタード畑での河野


 コンバインを見せてもらいました。これ1台で8月中旬から10月初旬にかけて、4,000エーカーの作物を大麦→レンズ豆→マスタード→ヒマワリの順に収穫するそうです。基本的には一人でやっているのですが、忙しい時には息子が収穫の手伝いに来ると言っていました。

 コンバインは、畑の中ではコンピューターでGPSに接続し自動操縦されています。人間の背丈より高いタイヤが付いていて、運転席も2階から操縦しているようなものでした。横幅8m、高さ1m位の口が開いており、下側には一列にハサミが並んでいます。このコンバインが前進して作物を刈り取ると、茎は5cmくらいに粉砕されて後方の畑に落ちて行き、種はコンバインの中央に集められた後に、ダクトを通じて、横を並走するトラックに送られる。というものでした。

   

正面から見たコンバイン               タイヤが私の背丈より大きい

   

コンバインの機械装置

   

横から見たコンバイン                      運転席の私

 次に種播き機を見学しました。種播き機は本体の後方に接続します。横に10m位の鉄で骨組みされた部分がついています。種蒔き機自体は自走できず、トラクターで引っ張るものでした。骨組みされた部分には直径6cm、長さ20cm位の先端が尖った鉄歯が50cm間隔くらいに並んでおり、その鉄歯と鉄歯の中間で30cm位前方にも同じ鉄歯が並んでいました。したがって、種播きの畝の幅は25cm間隔くらいとなります。すべての鉄歯の後方には、本体から伸びた直径3cm位の透明なビニールパイプが取り付けられていて、種播き機本体から種が空気で圧送されるようになっていました。さらにすべての鉄歯の後方に小型の車輪がついており、播種後の種に土をかむせて行くように設計されていました。

   

種播き機 後方から見た全体写真            種播き機 本体からビニール管で種を送る

種播き機の本体上部には前方四割位のタンクに種を、後方6割位のタンクに肥料が積載されていて、走行中に種1に対して肥料25の割合で散布するそうで、肥料は窒素60、リン20の割合のものを250ポンド/エーカー使うということでした。

   

種播き機 正面から トラクターで引っ張る         種播き機 本体部 種子と肥料のタンク 

   

種子と肥料を本体に送り込む器具

「 Warner  Mustard 工場 」

 

Warnerの町の人口は400人くらいで、Blair Roth氏は地区の人は全員顔を知っていると言っていました。工場には14人が勤務しており、月曜から金曜日の7時30分から5時が勤務時間で、残業もあるとのことでした。

 

   

Warner  Mustard 工場

 

 受け入れ管理室の壁には、入荷予定品のリストが日別に記入されてあり、入荷予定がひと目でわかるようになっていました。トラックが着くと係員が室内からダクトを操作して、サンプル種子を500g位容器に吸入します。

受け入れリスト票には輸送会社名、トラック業者名、運転手名、このトラックが直前に何を積んだか、出荷した農家の名前、などが記入されていました。吸入した種子を計量器で測定して250gを容器に取ります。次に水分計(係数比較表)で水分を測定します。次に温度計で温度を測定します。

 

      

受け入れ検査(250g を抜き取る)   受け入れ検査(水分測定)       受け入れ検査票

 

      

温度測定              水分測定            3段重ねのフルイ

 

続いて、250gの種子を三段重ねのフルイに入れます。一番上の目の大きいフルイで挟殺物が取れ、中間のフルイに正常品が残り、一番下のフルイに小さくて適さない種子や異物が落ちていきます。中間のフルイの正常品から測量して150gを取り、残りの100gを検査紙の上に広げて、緑色の物、未熟の物を目視検査していました。検査は不良品1%以内を合格品として、合格品をどのサイロに入れるかを決めて白板に記録し、保管サイロを記入した合格書を運転手に渡していました。

 

    

 2段目のフルイの正常品                3段目のフルイの異物              100gを広げて目視検査

 

 受け入れ時に3%くらいの不合格が出るそうです。事前に収穫品のサンプルを入手しているので、受け入れ時の不合格は少ないと言いました。不合格品は、農家が独自に選別したり、安い原料として他社に転売したり、水分値が問題の場合は、持ち帰って、適正値になるまで待つことになる、と説明されました。

商品化する際には各サイロの品質をみて、混ぜ合わせて商品化しているそうです。

 

 

原料マスタードを積載したトラックは、受け入れ管理室に来ると通路脇にある計量器に車体を載せて総重量を測定し、荷下ろし後に再度重量測定を行って差し引きマスタード重量を決定していました。

合格品を積載しているトラックは、事務所裏のコンクリート製の穴(従業員が入って掃除できる)にマスタードを投入し、投入されたマスタードはコンベアで原料保管瓶に移されていました。
 受け入れ後の正常マスタードと挟殺物との選別は、選別機の上にマスタードを運び少量ずつ上から落下させていました。選別機の中では下方から空気が吹き込まれていて、吹き上げられて横の穴に吹き込まれるものは不良品で、正常種子は落下していました。(スカルパーという)

次にフルイ機にかけられます。インテンドシリンダー(ドラムが回り、サイズの異なる種子を除去する。昨年まで6本であったシリンダーを、3本増設して9本にした)。ふるい選別(大きさの違うふるいを五つ通す)。スパイラル選別がありました。選別によって、排除された不良品マスタード種子は、飼料用に出荷されているそうです。

この工場の現在の作業能力は、1時間に15トンの原料クリーニングが標準で、よい品質のものにするのには時間が掛る。と、説明されました。

作業中には各工程ごとにサンプリングして検査をしており、不合格時には再加工をしているそうです。
 選別前と袋詰め時にも11,000ガウスのマグネットを通していますが、出荷時のコンテナへのバラ積み前にも、4,500ガウスのマグネットを通して異物除去をしているそうです。

このWarner Mustard工場は1920年に新設された設備で、1999年に改築追加されて現在も稼働している設備です。この工場には、原料保管用マスタード瓶と加工中のマスタードの移動瓶が1万2,000トンと、製品用保管瓶が1,500トン、合わせて13,500トン保管できます。(現在日本の総輸入量は7,000トン位)総数175本の保管瓶がある、と説明されました。

現在の商品別保管量は、ブラウン10%、イエロー45%、オリエンタル45%で、オリエンタルマスタードは主に日本向けで、その他のアジアにも出荷しています。最近のこの工場への投資は貨車関係がメインになっている。と説明されました。
 

 

7月3日、4日の宿泊は下記です

 International Hotel Suites Calgary

 

                                           

 

【 7月 5日 】  カルガリーからバンクーバー(Vancouver)へ

 

 カルガリー空港からロッキー山脈を越えて再びバンクーバーへ入りました。飛行時間は1時間30分ですが、時差が1時間あるので時刻は30分経過です。

 バンクーバーはBritish Columbia州にあるカナダ第6位の都市で、人口は都市圏に212万人、市域に58万人の町です。

3方向を海に囲まれた海岸の街で、背後すぐにロッキー山脈の雪山が壁のように切り立っています。海の暖かい空気で、冬でもたまに雪がチラチラする位でほとんど雪は積もりません。冬でも5℃~10℃で東京くらいの気温です。それでも車で30分以内で行ける所にゲレンデが6本あります。ウエスラーにはゲレンデが200本あると言います。

    

カナダオリンピックのメーン競技場跡                夕食会  

アイスホッケーはカナダの国技です。2010年に開催された冬季バンクーバー・オリンピックでは、カナダはアメリカとの決勝戦で2-1で勝っていましたが、終了28秒前に同点にされ、それでも延長戦で優勝しています。

このバンクーバー冬の大会では、日本女子のカーリングが注目されました。

スカイトレインという電車がひっきりなしに動いていますので、市民は電車の利用が多いそうです。

ダウンタウンのロブソンストリートは、木金は全店9時に閉店し、土日は7割が7時に3割が九時の閉店になります。バンクーバーは世界の住みやすい町ランキングで、7年連続トップで安全度の高い街です。

バンクーバー市内には日本人向けの食料品店が多く、日本食品の入手には困らないと言っていました。

バンクーバーの町は上空から見ても木が多い街で、家の周りもきちんと植樹されていました。ここバンクーバーも大雨の被害が大きく、市内の動物園も一部が水没したので、動物を一時刑務所に移したそうです。

バンクーバー市長は、この街を世界一公害のない街にすると宣言し、現在市内を走っているタクシーの7割はハイブリット車です。

West Vancouverは、高級住宅街です。 事業で成功したトーマス・ショーネシー氏が8,000坪の土地を購入し、自宅とその取り巻き役員を、1戸300坪程度の土地に住まわせたので、高級住宅が続いています。今はこの地域をショーネシー・ハイツと呼びます。

 

   

港が見える丘公園内のレストランで               北極航路の遊覧船

港が見える丘公園内にある、グランデラ・アイランドホテルで昼食を摂りました。停泊中の豪華客船は、カナダ最大、世界第3位の客船で、113,000トン、3,800人乗りで、毎週月曜日に出て土曜日までの6日間、アラスカに氷河見物に行く船だそうで、費用は40万円くらいだそうです。

このあたりは昔は工場地帯であったものを移転させたのだそうですが、今もセメント工場が営業中で、後方に予備タイヤを取り付けたコンクリート・ミキサー車が沢山止まっていたし、この公園内には鉄道の線路がまだ残ったままになっていました。

この地域をパブリット・マーケットにし、新鮮食品を販売しているので、年間100万人くらいがここに買い物に来るそうです。シェフの練習中という安いレストランもありました。

ダウンタウンとの間に見える、深く入り込んでいる入江は、川だと思う人が多くフォールズ・クリーク(偽物の小川)と呼ばれています。

シルクド・ソレイユは、カナダのモントリオールに本部のある曲技団で、6万人収容の会場で明日まで公演とありました。20チームくらいに分かれて世界中で公演しているのだそうです。

スタンレー公園は、皇居の3倍位の広さで1938年に完成し、ジョージ6世を迎えて開園しました。

ライオンズ・ゲートブリッジは、フォールズ・クリークを渡り、ダウンタウンに行くための橋で、3車線、1,600mの橋です。

 

5日の宿泊は下記です。

  Century Plaza Hotel

【 カナダ出国時の注意 】

 

 荷物は一人23kgまで、これを超えると超過金を取られます。

 一個、1万円以上のものを20万円以上購入した場合は、日本への入国時に申告が必要です。。

 肉製品(コンビーフ。ジャーキーなど)魚(サーモンジャーキー)は日本への持ち込み禁止です。

 酒・ワインは760ml×3本まで、アイスワインは別に375ml×6本まで持ち帰りできます。

 外国タバコと日本タバコは各々1カートンまで持ち帰りできます。

 メイプルシロップは加熱されているので問題ありません。

 機内への持ち込みは100ml以内の液体が持ち込めます。ジェル状の物は10個以内を透明な袋に入れれば持ち込めます。

 ライターは1個のみ機内に持ち込みできます、ハサミ・カミソリ・先の尖ったものは持ち込みできません。