今年読んだ本(2007)


最近、映画とか行きつらいので楽しみの大きな部分になってます。

音楽をまとう若者/小泉恭子/著/勁草書房NEW
魔法の庭/イタロ・カルヴィーノ/著 和田忠彦/訳 /ちくま文庫NEW
虫瞰の風景 きのうきょうあす/小林史明/東興通信社 NEW
僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放 火事件の真実/ 草薙厚子/講談社 NEW
木のぼり男爵/イタロ・カルヴィーノ/著 米川良夫/訳 /白水Uブックス NEW
くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる 寓話/イタロ・カルヴィーノ/著 米川良夫/訳/ちくま文庫 NEW
サザンな大人たち/クラウディウス・ザイドル/著 畔 上司/訳/主婦の友社 NEW
宙飛ぶ教室/小倉千加子/朝日新聞社
百年の孤独/ G.ガルシア=マルケス/著 鼓直/訳/新潮社
伊豆の踊り子/川端康成/著/新潮文庫
車輪の下/ヘルマン・ヘッセ/著/新潮文庫
友情/武者小路実篤/著/新潮文庫
ほとんど無害/ダグラス・アダムス/著 安原 和見/訳/河出文庫
さようなら、いままで魚をありがとう/ダグラス・アダム ス/著 安原 和見/訳/河出文庫
銀河クリケット大戦争/ダグラス・アダムス/著 安原 和見/訳/河出文庫
宇宙の果てのレストラン/ダグラス・アダムス/著 安原 和見/訳/河出文庫
銀河ヒッチハイク・ガイド/ダグラス・アダムス/著 安原 和見/訳/河出文庫
家庭の医学/レベッカ・ブラウン/柴田元幸訳/朝日文庫
湯けむり台湾紀行 名湯・秘湯ガイド/鈴木浩大/まどか出版
台湾新幹線で行く台南・高尾の旅/片倉佳史/まどか出版
台湾 好吃(フォーチャァ)大全/平野久美子/とんぼの本  新潮社
In search of the Pleasure Palace - Disreputable Travels/Marc Almond/Panmacmillan
ロマンチックウイルス ときめき感染症の女たち/島村 麻里/集英社
翻訳教室/柴田元幸/新書館
グーグル Google 既存のビジネスを破壊する/ 佐々木俊尚/文春新書
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる/ 梅田望夫/ちくま新書
世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白/ 斉藤寅/草思社
下流喰い 消費者金融の実態/ /須田慎一郎/ちくま新書
性と暴力のアメリカ 理念先行国家の矛盾と苦悶/ 鈴木透/中公新書
三国志/北方謙三/ハルキ文庫

音楽をまとう若者/小泉恭子/著/勁草書房>


現代の高校生の音楽嗜好をフィールド・ワークを通して分析している。 これを見る限りでは私の環境はかなり特殊なようだ。 通常はやはり、相手に合わせる場合も多いようで、J-POPのあり方の一旦を見た 気がした。

魔法の庭/イタロ・カルヴィーノ/著 和田忠 彦/訳 /ちくま文庫


訳者がいつもと違うのですね。短編で少し前に読んだくも の巣の小道と背景も似ていたのでスラスラっと読めると思っていたが なぜか時間がかかった。面白くはあったのだけど、こういうこともあるというこ とで。

虫瞰の風景 きのうきょうあす/小林史明/東 興通信社


以前読んだひばりが丘団地に住んでいるクレームじいさんと似ている。が、 怒り方ののりが合わないためかなかなか進まなかった。とはいいつつ私も年を 取ったので同じような怒りを感じることもままある。(^^;;

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート 少年自宅放火事件の真実/ 草薙厚子/講談社


同じ年頃の親として大変興味深くスラスラと読めてしまった。 この本のあり方は現在問題になっていると思うが、あのような事件がどうして 起きてしまったのか、そこまでの事実を知ることは大事なことだと思うし 今後も考えていく必要がある事柄だと思う。

木のぼり男爵/イタロ・カルヴィーノ/著 米 川良夫/訳/白水Uブックス


最初とっつきにくいかなと思ったが、やはりカルヴィーノ。面白いので進んだ。 姉の作ったかたつむり料理をたべへたくなくて、反抗して木に登り、一生を 木の上で過ごしたというお話。食べ物、洋服、お風呂、トイレなどもフォロー されており、面白い。

くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者た ちをめぐる寓話/イタロ・カルヴィーノ/著 米川良夫/訳/ちくま文庫


文庫であの厚さで819円は高いぞ....。だが内容は相変わらずいい。 パルチザンの話で、そこにいる普通の庶民を描いていて暗さはない。 どういう結末にするのか興味があったが、いい感じの終わり方でよかった。

サザンな大人たち/クラウディウス・ザイド ル/著 畔 上司/訳/主婦の友社


自分も含めて、最近「なんか、年相応ではないのでは?」という30代、40代が 増えている気がしていたが、これは日本だけではなく世界的な現象らしい。 ドイツでのその現象と原因を考察したのが本書だ。 ・人間は他の生物に比べて成長が遅い。(母親の胎内にいる期間、性的に成熟す る年月など) ・ここ数十年は西側諸国は大きな戦争などなく平和で大人になる必要がない? ・今でもアフリカやアジアの一部などの紛争地域は大人になるのが早い。 遊んで暮せることは大きな影響があるようだ。一種の平和ボケ? 生物的には繁殖が大事なのはわかっているが、どうもその本能が弱まっているよ うだ。

宙飛ぶ教室/小倉千加子/朝日新聞社


「日本一芸のあるフェミニスト」の小倉センセのエッセイ。日々の暮らしと ともに今回の目玉は宝塚。先生はやはり関西の人だったんですね〜。 私はヅカに熱中したことはないのだが、そういう人がいるのは理解できる。 これも一種の腐女子なのかも。

百年の孤独/ G.ガルシア=マルケス/著 鼓直/訳/新潮社


私にとってはレア焼酎の品名でもあるが、 柴田先生が薦めていれば読まざるを得ないなあという ことで探したが文庫がない。仕方なくハードカバーで購入。かなりの長編で、内戦時代のコロンビアが舞台で ブレンディア一家の数代100年の歴史がつらつらと描かれている。 話的に大きな山があるような話ではないが、その没落の歴史と日々の生命力は なんか圧巻で、日々の家事や行いの大切さが染み入る作品。

伊豆の踊り子/川端康成/著/新潮文庫


短編だったんですね。他の短編も伊豆の温泉が舞台。 今とかなり違うのに改めて驚く。 この頃の方が男と女がもっと自然だったかも...と思う反面 やはりそれなりに悩んでいた女も沢山いたんだろうなと思う。

車輪の下/ヘルマン・ヘッセ/著/新潮文庫


夏休みを感じさせる一冊第二段です。今読むと腐女子的にも楽しめるかも。 ストイックな気分に浸りたいときに。

友情/武者小路実篤/著/新潮文庫


夏休みをかんじさせる一冊です。多分一回読んだことあるような気がしたけど 山本有三と勘違いしていたような...ということはもしや始めてか? 今読むと、妄想狂の男の話と思える感じも大ですが、友情と恋愛という よくあるテーマを古典らしく描いていてこれはこれでいいんじゃないでしょうか。

銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ/ダグラス・アダムス/著 安原和見/訳/河出文庫


映画化もされたSFの名作(らしい)。BBCで放送されたものが元とのこと。 イギリス特有のブラックジョークやモンティ・パイソン風のバカらしさ が満載だが、結構事の本質をついていたりするところがいい。 映像はオースティンズ・パワーズに近いものを想像しているが果たして? 5巻読む価値があるかと言われるとやや疑問だが、この世界が気に入ったので あれば読んでもいいように思う。イギリスについて少し知識がある方が 余計楽しめることはうけあいである。

家庭の医学/レベッカ・ブラウン/柴田元幸訳/朝日文庫


病気もの。と行っても癌で死ぬ親を描いたノンフィクションだが、 淡々とした中に優しさと柴田訳のやすらぎがある。...と同時に「死」という ものに対して改めて思わせてくれる鋭さも持ち合わせた作品。小説のようだ。

湯けむり台湾紀行 名湯・秘湯ガイド

鈴木浩大/まどか出版
台湾シリーズ、第三弾。出ました温泉!!!。台北からすぐ行ける北投温泉 には行ったことがあるが、首都からの近さとその泉質の良さに驚いたが 他にもまだまだ名湯がいろいろあるようだ。最近は日本と状況が似ていて 豪華な作りの施設が人気のようだが、相変わらず昔ながらの温泉もあるようだ。 北投温泉らは来年和倉温泉の有名旅館「加賀屋」も出店するようで、 「海外旅行はいいけど温泉がないのが寂しい」という日本人にもっと アピールすべきと思っているのだが、如何だろうか。

台湾新幹線で行く台南・高雄の旅

片倉佳史/まどか出版
...で続けて台湾本。これは最近開通した新幹線で行ける台南・高雄のローカル 観光本だ。私も台北しか行ったことはないが、この本を読むとつくづく 日本の影響とそれも歴史として大切にしてくれている台湾の人の感情を 読み取ることができる。霹靂絡みでいつか雲林には行ってみたい。 (何もないようだが。(^^;;)

台湾 好吃(フォーチャァ)大全

平野久美子/とんぼの本 新潮社
台湾の郷土の味を紹介したもの。所謂グルメ本とは異なる。とんぼの本なので 図版も多いのだが、以前読み始めたときはいまいちピンとこなかったのだが 最近の霹靂布袋劇への傾倒のおかげ(^^;;で、ピンときまくりで大変楽しく 読めた。中華料理の中でも台湾料理が日本人に会う理由がわかった気がする。

In search of the Pleasure Palace - Disreputable Travels

Marc Almond/Panmacmillan
タレント本だが、ほぼ初めて読みきった英語の本。まあ、英語を 眺めていたページの方が多かったとは思うが ということからなんとかなった。以下はざっと内容を イギリスのベテラン男性VoのMarc Almondの自伝。 midlife crisisから始まり(中年の危機というより更年期障害?^^;;) 鼻の整形そして、地名別の各章で今までの暮らしを述べている。 Southport時代の美少年との出会い。(「ベニスに死す」の少年のような(^^;;) ロンドンのフェテッシュ系クラブでの日々、2000年くらいのSoft Cellの再結 成。自分は新曲も出し、新たな姿勢だったがテレビ局は常に「Tainted Love」 (彼らの最大のヒット曲)を要求しこれのみは"No"と言ったこと、 ふとしたきっかけでモスクワでロシアン・ロマンスソング界の人々と アルバム作成したこと、ロスの80年代とディズニーランドが嫌いなこと。 (素晴らしい!!)ロスでジョージ・マイケルの例の事件に思いを馳せたことなど。 この本の後で彼はバイクで事故を起こし一時はかなり危ない状態だったようだが 最近素敵な新譜を出してくれてファンとしては嬉しい限りである。

ロマンチックウイルス ときめき感染症の女 たち

島村麻里/集英社
次の本に行く前に、軽く読めそうだったのでトライした。筆者は昔からマニアな 趣味をもった女性。その人でさえ、昨今の韓流ブームで大勢の女性が騒いだ のには驚いて、「これは一種のウィルスではないか」ということで分析してみた 本。確かに、同様にマニア街道一直線の私にはこの騒ぎはやや異常だった。 今まで絶対にTOWER RECORDなんてこなかったような「おばさん」がこのせいで 大型外資系CD店でも見られるようになったのは驚きだ。 家族に呆れられたり、いろいろとお騒がせなウィルスだが、たいした被害もない し、逆に元気になれるということで上手く活用するよう勧められている。 昔から一部の方はこの手のことが上手だったが、万人に受けたのがある意味 凄かったかも。

翻訳教室

柴田元幸/新書館
さすがに内容が「英語の翻訳」だけあって、読むのに「やや」力がいるけど、 その力は思ったほどではなく、面白い方がかなり優先するし、読んだ後に 賢くなれたような気にさせられる、楽しく為になる(かもしれない)本

グーグル Google 既存のビジネスを破壊する/ 佐々木俊尚/文春新書


↓の続編みたいな本でGoogleに特化している。↓より、庶民的に書かれていて 親しみやすいか。Googleレポートみたいな感じで初心者が軽く読むにはいいかも。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

梅田望夫/ちくま新書
インターネットのそこそこ初期から参加している自分だが、 確かに今でもまわりで、中高年以上だとネットを使えない奴も多いと思う。 で、若い世代は確かに違う。きっと我々が我々の親と違うように 違う感覚なんだろう。 確かにこの分野は日本はダメかも。その点ではアメリカに負けそうである。 著作権など今だガチガチだ。 まあ、アメリカもかなり格差社会で二極化しているのでダメな部分もあるが 一部の優秀な人間とその影響力はかなりのものなので手ごわい。 仕事の仕方というか生き方も含めて今後ゆっくりではあるが いろいろ変わっていくんだろうなと思わせてくれる本書だが 「それって第三の波?」と思った瞬間やや萎えた。(^^;;

世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白

斉藤寅/草思社
「世田谷一家殺人事件の犯人を突き止めた!」と衝撃の本だが、犯人は 捕まっていないし、いまいち説得力に欠ける本。 しかし、筆者が調べたアジア人のクリミナル・グループというものが 本当なら怖い。 しかし、この作者の書き方はなんかいまいちでそんなに警察と仲いいの 自慢したいん?という感じで読後感が悪い。

下流喰い 消費者金融の実態

須田慎一郎/ちくま新書
TVコマーシャルで見て謎だった「@ローン」の意味がわかった。 (「何故、三井住友銀行がサラ金?」と不思議でした。) しかし、そんなにサラ金借りてる人いるんですね。確かにキャッシングは 若い人も気楽にやっていそう。この世界の実態がわかったのは収穫。

性と暴力のアメリカ 理念先行国家の矛 盾と苦悶

鈴木透/中公新書
性は人と人との結びつき。暴力は問題解決方法。 人為的に作られた国アメリカならではの問題点。 性はヴィクトリアイズムに対して、性解放とフェミニズムの立場から 三すくみ状態になっている。 暴力は開拓時代の自警団などから発し、リンチが「邪魔ものを排除する」 儀式であったことと深い関係がある。 我々はアメリカがこのようなかなり特異な国であることと、その国と運命を 共にしようとしている現実も認識すべきである。

三国志

北方謙三/ハルキ文庫
三国志の中でも「熱い」と評判の北方三国志。ハードボイルド作家ならではの 男と男の熱いふれあいが描かれている。とはいえ、三国志はかなり 各キャラクターの色が世間的に広まってしまっているで個性を出すのは なかなか辛いところか。 呂布の書き方が今までとやや違っていたのが印象的。読み物としては面白く読め る。男性目線だが...(時代的にも仕方ないが...) 一応、全13巻あるので、今年の書評が遅れた...ということにして下さい。(^^::