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パソコン要約筆記とは

 ろう者や難聴者、中途失聴者など、聞こえの不自由な人(聴覚障害)が人の話を理解するためには、主に2つの手段があります。

  • 聴覚による理解  補聴システム
  • 視覚による理解手話や指文字、文字による通訳

 パソコン要約筆記は後者の文字による通訳の一つで、パーソナルコンピュータ等の電子機器を用いて聴覚障害者への文字通訳を行う手段です。


パソコン要約筆記の歴史

 〜 では、簡単にパソコン要約筆記の歴史を振り返ることにしましょう。 〜

前史

・手話以外の聴覚障害者のコミュニケーション手段

 手話を第一言語としているろう者や、聴者を含む手話を獲得した人を交えてのコミュニケーション手段として、手話は現在も有効で、独自の魅力も備えています。

 しかしながら、人生の途上で聴力を失った中途失聴者は、手話を習うのに大きな困難があります。手話表現の1つひとつが、文字を通して理解する必要があるからです。

 そうした事情もあり、中途失聴者にとっては筆談は不可欠のコミュニケーション手段です。中途失聴者の作曲家、ベートーヴェンが膨大な量の筆談帳を残したことは有名です。
 これが、筆談であり、代筆する形を「ノートテイク」といいます。ノートテイクは、聴覚障害者の隣に座った筆記者が音性を聞き取り、ノートに書き取り、隣に座った聴覚障害者がノートをみて話を理解する方法でした。

 1960年代から1970年代にかけて、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)の出現によって、筆談を応用した中途失聴者・難聴者への文字による情報保障が始まりました。要約筆記の登場です。

 人が話したことを透明なフィルムに油性ペンで書いてスクリーンに映し出します。OHPには透明なフィルムシートを置くのが一般的ですが、要約筆記では長く巻いたロールフィルムを使用し、要約筆記者が油性ペンで書いて、2人の補助者がロールを巻き上げるて行く方法です。

 しかしながら、人が文字を書くスピードは、話し手の言葉には追いつきません。
 そこで、「要約」という手法がとにれました。
 要約にも
  「賛成の方は手をあげてください」→「賛成は挙手」  ・・・・・ 
  「バックには、財布、ハンカチ、ティッシュが入っています。」 ・・・・バックには財布など入っています。
  「聴覚障害者と手話通訳者あわせて5人」・・・ (ち)(手)(通)計5人。



OHP
(オーバーヘッドプロジェクタ)

パソコン要約筆記の登場

・ワープロや、電子機器を使った文字表示の登場

 1987年頃、(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の大阪大会で、パソコンによる要約筆記とパソコン通信を紹介しました。しかし、本番で使用はせず、デモとして行いました。このときは「花子」で辞書機能をフルに活用してのものでしたが、当時はまだPC9801でしたので、変換スピードが話者のスピードについて行くことが、困難でした。
 1990年頃、国立リハビリテーションセンターにおいて、速記タイプライタを入力装置として用いた、「ステノプコン」を開発。
 入力機、修正機とパソコンを2台用い、入力者と訂正送出者により、筆記通訳を可能にした。
 1991年7月5日〜11日に行われた、第11回世界ろう者会議では、一台で処理できる改良された「ステノプコン」で情報保障を行った。ただし、これは、速記タイプライタの修得が必要でした。
 1994年7月9日に@niftyのFHAND(パソコン通信サービスNIFTY SERVEにある「障害者フォーラム」のこと。)の人々が集まり字幕シンポジウムin名古屋)に字幕を付けたのが実質の始まりという証言もありますが、パソコンによって要約筆記を実現する活動は、本格的になったのは、Windows95が発売された1995年と言っていいでしょう。

 その後、Windows95によって、ワープロを始めとする日本語入力が、文字の大きさや形、色などを画面上でも自由に設定できるようになったからです。

 ただし、一部の手話サークルでは、MS-DOSノートパソコンにスキャンコンバーターを接続し、TVに一太郎の倍角文字ロ画面を表示し、会議の進行を表示していたところもありました。(埼玉県旧岩槻市1989年頃)

1人入力の時代

・ノートテイクとスクリーン投影

 パソコン要約筆記の草創期は、ワープロやテキストエディタによる一人入力が主流でした。現在でも、人数に制約のある、教育現場での情報保障や会議の場などで、こうした形態を採ることがあります。

 画面の表示形態としては、教育現場や会議での情報保障のように、利用者の隣に入力者が座って入力し、直接画面を見てもらう「ノートテイク」方式と、各種団体の大会や講演会、シンポジウムなど、大勢が集まる場で大型テレビ画面やスクリーンに投影する方式に大別できます。この形態は基本的に現在も変わっておりません。

 ノートテイク方式は入力者の画面を直接見てもらいますので、入力者が持参するマシン以外に特に必要な機材はありません。それに対して、大勢が画面を見る方式では、長時間入力しますので、10分とか15分が経過すると別の入力者に交代する必要があります。そのために、画面切り換え機と画像出力ケーブルを用意し、交代する人は1分ぐらい前になると前任者と同時に入力を始めて、交代時間になったら前任者が画面切り換え機のスイッチを操作して画面を切り換えました。同時入力することで、画面を切り換えても違和感を低くする工夫です。

 入力用のソフトは、WordやWordPad、各種テキストエディタなど、文字の大きさや形、色が変えられるものでしたら特に決まりはありません。自らパソコン要約筆記に参加している秀まるおさん作成の「秀丸エディタ」というシェアウェアを使う人が多かったようです。

LANによる連係入力

・RS232Cから、LANへ

 連係入力については、草創期のころからULACS(ユーラックス)という機器とパソコン通信の通信ソフトのチャット機能を組み合わせた方式がありました。

 ところがULACSは開発者が手製で製造しており、値段もそれなりのものである上、動作に不安定な要素があったため、これを持っている人がいる場合には連係入力をしてもいいけど、動作の不安定はつきまとう、という状態であったため、パソコン要約筆記の主流になることはありませんでした。

 1999年、IPtalk(アイピートーク)、tach(タッチ)、ともにLANによる連係入力を目的としたパソコン要約筆記用のフリーウェアが発表されました。

 これによって、RS232Cという通信方式のULACSに代わって、LANによる連係入力が可能になりました。

 どちらのソフトも、利用者が見る表示用と入力者の入力用では画面設定を変えることができます。連係の仕組みは次のようになります。

 「連係の仕組みは次のようになります。」を例にしますと、入力者は2人1組になります。どちらが先に入力を始めるかは、双方で打ち合わせておきます。慣れてくると、必ずしも打ち合わせが必要というわけでもありません。最初の入力者が「連係の仕組みは」と入力したら、互いに相手の入力の様子を確認できる仕組みになっていますので、次の入力者は「次のようになります。」と入力します。これで表示画面には「連係の仕組みは次のようになります。」という文が表示されることになります。

 現在主流な方式は、以上の2人の連係を10分とか15分担当し、時間になったら次の2人が交代、という4人制です。

インターネットによる連係入力

・IRCによる字幕補助  2000年代に入って、インターネットが急速に普及し、いままで、一部のボランティアが行っていた、IRC(Internet Relay Chat)を用いた、テレビ番組の同時通訳を行う様になりました。
 しかし、送信するためにはその都度著作権者の許諾を得なければなりませんでした。
 その後、2001年1月1日の著作権方改訂の実施により、「専ら聴覚障害者の用に供する目的」として、政令で指定された事業者であれば特別の許諾を得ずに行うことができるようになりました。
 現在、社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 、財団法人 日本障害者リハビリテーション協会が許可を得て、業務を担っています。
遠隔地による文字通訳  2000年代後半から、ブロードバンドもWiFiによる公衆化や、イーモバイル、WIMAX等のモバイル型高速インターネット接続が可能になり、情報保障の現場と入力者が離れた場所で通信を行い、入力・表示することができるようになりました。
 また、スマートホンやPSPなどの携帯端末を利用した表示も実用期に入ってきました。
 現在、NCK 日本遠隔コミュニケーション支援協会が実用を始めています。

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