ウォータークライミング(丹波川本谷)(東京マタギの山岳渓流ガイド

 沢登りで、滝を登るだけでなく、淵を泳ぐ、激流を渡る、技術があることは知っていた。昨年、都岳連の沢講習に出たが、そういったことはほとんど教わらなかった。いわゆる一般的な滝の登攀技術では越せないところを、簡単に越してしまうという技術が「泳ぐ、渡る」技術だそうだ。リーダーに聞いたところによると、この講習は「釣りからの人半分、登山からの人半分」だそうです。今回GPSのトラックログはありません、濡れに行くようなものですし、丹波川を遡行するのでなく、丹波川で講習をするだけなので

C.L:深瀬信夫さん、S.L:YHさん、参加者7名

6月5日 机上講習、秋葉原「ルノアール」PM7:00−9:00

教わったこと
装備編
 (1)ネオプレーン上下、必要
 本格的な沢遡行では、暑いのでネオプレーンは使われることはあまりなく、今回のようなトレーニングか、春先、秋の沢登りに使われるそうです(下に自分の購入した装備を載せました)。
 (2)ザックは、水抜き用の穴を四隅に開ける。
 (3)ザックより20リットル大きいスタッフバッグで、全ての荷物を包み、さらに厚手のゴミ袋で包む。
 (4)スリングは5mmを3m(120cm+180cm)と、6mmを10m(3m+2m×2+1.5m×2)
 (5)スリング携行用の大き目のカラビナを一つ+小さいのを4つ
 (6)ジップロックも持って行く。

水抜き用の穴を開けたザック これは正確にはネオプレーンではないですが 左腿の部分にWater climbの文字です

技術編
 (1)ザックピストン法:ザックを外して、スリングをショルダーベルトにブルージック結びで巻き、ザックの前にも結ぶ
 (2)スリングの携行として、チェーンノット
 (3)半マスト結び
 (4)エイトノット
 (5)テープ結び

6月8日
 パッキングが上手く行かない!! 荷物をスタッフバッグで包み、さらに厚手のゴミ袋で包むのであるが、全然上手く行かない、ゴミ袋で包むとザックの中に入らない。普段は装備を小分けにして入れるのだが、さっぱり分からない。仕方がないので、「駅から目的地まで車で(車で行けば余分な荷物は置いていける)行く」というので時間もないので、とりあえずザックに詰め込み、入らない分はスキーの靴を入れる袋に入れる。
 そして、めがねは流されないように、めがねストラップを付けるのであるが、これがあると思っていたら無い!! 近くの眼鏡屋に行ったら注文で2−3日かかるという。そうだ、ダイビング用のゴーグルを使えば(これが失敗の原因)…
21:18 青梅駅発→21:57 奥多摩駅着
            22:20 奥多摩駅発→20:40 東屋(峰谷橋バス停)

あずまやで宴会 あずまや

宴会は、「食材の饗宴」といった感じで、感嘆するしかなかった。

6月9日
天気:雨のち曇り
7:50 東屋(バス停)出発
8:20 三条新橋着(ここで沢装備に)

沢装備に

 家では全く上手く行かなかったパッキングであるが、最初にザックにゴミ袋とスタッフバッグをセットしてそれからつめれば良いことを教わる。考えてみれば、確かにこうすれば上手く行く。これでパッキングは解決したが、ダイビング用のゴーグルが曇って全く使えない、曇り止めを使えばよかったのですが、ドタバタしているうちに忘れてしまった。結局、今回ダイビング用ゴーグルは、全く使い物にならず。
 その他、スリングは購入したが、テープ結びしていなく、チェーンノットもしていなかったので、現場で教わろうと思ったら、周りの人から遅れを取ってしまう。家できちんと対処してくれば良かった。
8:50 三条新橋発
 近く(数分)の斜面(堰堤のような人工物)で懸垂下降の練習(ウォータークライミングの講習なので普段ならやらないそうですが、今回は特別とのこと)
 ロープを支点にセットし、カラビナを掛け、懸垂下降ーこれを全員がしました(今シーズン初の懸垂下降です)。
9:30 懸垂の練習終了、数分歩いた場所でザックをつけたまま淵を進むということを体感
 さていよいよ水の中に入ります、まずはウエストベルトを外した状態で、思っていた以上に水は冷たい。その後、ウエストベルトをつけた状態で水の中に入る、ということをする。
ラッコ泳法

ラッコ泳法 スクラム徒渉(相対)写真1

 しばらく行った所で、ラッコ泳法です。ザックを背負った状態で仰向けになり、足は自転車をこぐように動かし、手は広げてバランスをとる。足が立てる所まで来たら、勢いをつけて立ち上がる。これを流れのあるところと、流れのない緩流帯で2度ほどしました。流れのないところはあまり進みませんでした、ですけどラッコ泳法は特に難しくなく簡単な泳ぎ方だと思います(講習だから難しいところでやらないということもあるかもしれない)。
スクラム徒渉(相対、横列)
 さらに川を上ったところでスクラム徒渉を、このスクラム徒渉には相対と横列という2つのパターンがあり、二人でするのが相対で、3人でするのが横列です。相対につきましては、まず最初に上流側の人と下流側の人が互いに向き合い、ザックのショルダーベルトをつかみます。上流側の人が川の流れをもろに受け、下流側の人は上流側の人により流れの弱い部分に入ります。なので、下流側の人が上流側の人をしっかり支えるということをします。この時上流側の人は、腰をひねると水圧をもろに受けることが少なくなります。左岸から右岸へ上流側で徒渉し、その次は右岸から左岸へ下流側で渡渉するとの様に両方やりました。
 横列は横一列になり、互いのショルダーベルトをつかみ流れに向き合った状態で徒渉をします。右岸から左岸へ真ん中の位置で徒渉を、次に左岸から右岸へトップの位置で徒渉を、さらにもう一度右岸から左岸へラストの位置で徒渉をしました。

スクラム徒渉(相対)写真2 ストック徒渉

ストック徒渉
 ストック徒渉は木の枝などをストックにして、川の上流にストックをつきながら渡渉する方法です。左岸から右岸へ、右岸から左岸へ、両方ともやりました。

図1 図2

・ロープを使った徒渉
 写真が撮れなかったので、相変わらずの大まかな絵で説明します(参考文献:登山技術全書C沢登り、山と渓谷社)。図1のように3人の組を作り、一人が上流でビレイをし(A)、もう一人が下流でビレイをし(C)、Bが川を渡ります、赤の線はロープです。この時、Aはロープの末端から5−6m部分で、カラビナに半マスト結びでロープを結び、腰を下ろします。Bも半マスト結びでロープを自分のカラビナに結び、川を渡っていきます。Aはビレイと言っても、ロープを繰り出したりしません、繰り出して進むのはBです、何かことがあってロープを緩めなければいけない時のみAはロープを繰り出します。CはBが流された時など、ロープで止め、下流に流されないようにします。
 Bが川を渡りきった次に、ロープにヌンチャク(ハ-ネスからとった)をかけた状態で、Cが川を渡ります(図2)。Cはロープをたぐりながら進みます、仮に手が離れたとしても、ヌンチャクがロープと、Cのハーネスと結びついているので流されません。Cが渡り終わった後、Aがロープをたぐりながら川を渡ります(もっといろんなことを教わったのですが、こんな概略しか覚えていません、1回ではとても理解できません)。これを全員がA、B、Cの役になって川を徒渉しました。スクラム徒渉や、ストック徒渉では渡れない急流でもこの方法を使えば川を徒渉できます。
 次は、ザックピストンですが、何度も川を渡渉したせいか、体の震えが止まりません、寒くてしょうがないです。リーダーから雨具を着るように言われましたが、今回雨具は水が入らないように2重に縛ったパッキングの中、「待ってやるから雨具を出せ」、ついでに昼食にちょうどいい時間、ということで昼食です。リーダーが、雨の中焚き火を作ってくれました、こんな状況の中でもきちんと火をつけるところはさすがです。

寒くてしょうがないので、焚き火

昼食
・ザックピストン法
 泳ぎが苦手な人でも川を泳ぐできる方法。ザックのショルダーベルトにブルージック結びでシュリンゲを結びます(下の写真:ザックピストン法(ザックの後))、ザックの前にもシュリンゲを結び前と後をカラビナで連結させます(下の写真:ザックピストン法(ザックの前))。トップの人が川を泳ぎきった後、トップの人からのロープに8の字結びを2つ作り、一つはザックピストンのカラビナに掛け、もう一つは自分のハーネスに装着してあるカラビナに掛けます。泳ぎ手は手をまっすぐ伸ばした状態で、手はザックをつかみ、バタ足で進みます。同時に泳ぎ手だけでなく、トップの人はロープを引っ張って、泳ぎ手の労力を少しでも減らせるようにします。今回教わった方法の中でも一番楽に川が渡れました。参加者全員が、泳ぎ手と「ロープを引っ張る」ことをしました。この時の泳ぎでカメラが濡れてしまい、カメラがおかしなことになっており、今回ザックピストンで泳いだ後の写真はありません。
 この後、ブーリン結びやセルフビレイについての説明がありました。

ザックピストン法(ザックの前は、このように結ぶ) ザックピストン法(ザックの後は、このように結ぶ)

・スカイフックを体験
 「畳替えし」のようなカギ爪を両手に持ち、岩に引っ掛けてゴルジュを通過する。この頃、徒渉による寒さと、ゴーグルが全く使えなかったことにより前がよく見えないなど、ちょっと弱気になっていて、自分はきちんとスカイフックの威力を試せませんでした。
 講習終了、来た道をラッコ泳ぎなどを時々しながら戻る。
14:50 先ほどの斜面で、懸垂下降の練習
 単なる懸垂下降ではなく、懸垂下降の仮固定や、エイト管がないとき半マストで下りる方法、ごぼうで登る方法、セルレスキュー(振り分け救助だと思います)、など懸垂下降の応用(ごぼうで登るを除く)をしました。
16:00 三条新橋着
 沢装備を外し、普段着に
16:30 三条新橋発
16:50 めんこい湯・解散

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