谷川西黒雪洞堀

3月3、4日
C.L:W林さん、参加者:自分

10年位前になるだろうか、自分は一度、雪洞を掘ったことがある。山スキーをしているメンバーで掘ってみようという事で、天神平スキー場の近くで掘ったのだ。あの時は、朝起きたら、雪面が顔の10cm位上にあった。寝ている間に、雪が重みで沈んできたのだ。それ以来、何かといろいろあって掘れなかった雪洞、谷川岳に掘りに行ってきました。

3月3日
天気:曇り時々晴
6:58 西国分寺駅発→7:27 南浦和駅着
               7:33 南浦和駅発→7:35 浦和駅着
                            7:39 浦和駅発→9:41 水上駅着
9:55 水上駅発(バス)→10:20 谷川岳ロープウエイ(バス停)着

谷川岳ロープウエイからの景色

 バス停を下りると、雪景色なのですが、全てが白く覆われているのではなく、所々茶色い部分があります。例年ならありえないそうで、やっぱり今年は暖冬、今年は仕方ないが、来年はこんな事にはなってほしくない。今回の雪洞もそうだが、雪がなければできないスタイルというのはある。とは言っても自然のことだから受け入れるしかない、リーダーからピッケルを借りて、出発です。
 自分、現在重登山靴を持ってなくて、雪山ということで、軽登山靴は避けたい。あるのはテレマークブーツのみか、仕方ない、テレマークブーツで登ろうということで、テレマークブーツで登ってきました(リーダーに確認したら濡れなければ良いといわれた)。今年の積雪がこんなこともあり、テレマークブーツでも登れました。ただ、登れた(お話にはなった)というだけで、他人には勧めません、仕方なくやっただけです。重登山靴の歩行が100だとすると、テレマークブーツの歩行は80ぐらいです。機会を探して、重登山靴を買おう(昨日、改めて山と渓谷社から出ている「登山技術全書雪山登山」を見たら、最近は雪山=重登山靴ということではないようだ。それは一昔前のことらしい。)。
 登っている最中も、雪は少ない。「雪洞は掘れないのでは?」と思う。しかし、1時間ほど登ったくらいから、新雪が降った跡が見えるようになってきました。「これより下だと雨だったんだ」と思う。
12:00 西黒尾根・雪洞堀予定場所に到着

雪洞の場所を探すリーダー ここが適地だ、ここを掘ろう

 あまりにも例年と風景が違うので、一度は雪洞予定場所を通り過ぎてしまいましたが、引き返し、予定場所に12時に到着しました。基本的には他の場所と同様、積雪は少ないのですが、雪庇が発達している部分があり、そこなら雪洞が掘れるとのことです。予定場所の中でも、適地を探すこと2、30分、雪洞を掘る場所が決定し、雪洞堀り開始です。

空いていた空間 大雑把な雪洞、概念図

 高さ1m幅1mで、掘り進めて行きます。上の大雑把な概念図に示したように、真ん中に柱を残し、リーダーは左側、自分は右側を掘り進めて行きます。最初はスコップで簡単に掘れる雪がほとんどでしたが、途中から氷の部分が出てきました。そして、さらに掘り進めて行くと、雪のない空間が空いていました。その空間から、ひんやりとした、空気がこっちへ流れ込んできます。空いた空間は高さはあまりないですが幅がありました(リーダーの掘っていたほうには、高さもあったものもあったようです)。氷の部分はスコップでなくピッケルで掘りました。途中から、ピッケルで掘り、その雪をスコップでかき出すといった感じです。

掘り出してからおよそ100分が経過(リーダー) 掘り出してからおよそ100分が経過(自分)

 「気温が高い」雪がどんどん融けていきます。そのためか、手袋がすぐに中まで濡れてしまいました。雪洞をスコップで掘ることによる疲れはほとんどなかったのですが、濡れた状態で作業するのが怖くて、一つ一つ確認しながら掘っていたらだいぶ時間がたってしまいました。「暖かいから、中のインナーを外しても大丈夫」ということをリーダーから指摘され、意を決してやったらインナーを外しても大丈夫でした。概念図にあるように、途中から手前に柱を残して、横に掘り進んで行き、リーダーと自分の掘った部分が一つにつながり3時過ぎに雪洞の概略ができました。残りの時間で雪洞の中を整地して、リーダーの掘った方を雪のブロックで入り口を閉めて、自分の方はツエルトで出入りできるようにして、雪洞のできあがりです。
16:00 雪洞堀完了
 雪洞の中は、リーダーも話していたように「寒くもなく、暖かくもない」です。例えばテントの中だと、コンロで火をたけば暖かくなりますが、雪洞の中でそんなことをしても雪が融けるだけで、暖かくなりません。それから、濡れたものはテントの中だと火をたけばだいぶ乾きますが、雪洞の中はそれほど乾かないです。雪洞の良いところ、(1)静か:雪という非常に防音効果のあるものに囲まれているため、静かです。普段だと、歌を歌ったりすることに気が引けることもありますが、雪洞だとそんなことはありません。(2)物置場所などを自由に拡大できる:テントの中では空間が制限されているため、少し居住空間を広げようと思っても広げられません、しかし雪洞は掘れば居住空間は広がります。居住空間を自分らの好きなように、改造できる(3)いざというときに:道に迷って、雪の量が多くて、ビバークしなければいけないなどの時でも、雪洞を掘る経験をしておけば、経験のないより楽に作れる。(4)雪に出会える:今回、こんなとこに空間があるという発見がありましたが、普段なら出会うことのない、雪に出会えます。 

雪洞の中から見える風景(ツエルトで塞ぐ前) 雪のブロックで入り口を閉めて


3月4日
天気:曇り時々晴
7:00 起床
 朝起きると、前回の様に雪面が下がっていたということはありませんでした。快適そのままです。
8:40 出発(空身)
9:20 森林限界(参:下の図)のあたりまで来て引き返す

朝日岳、白毛門 木の間から、谷川岳

 登って行く時に、「登るのはいいがここを下るのはだいぶ怖いだろうな」と思いました。リーダーからまず、下る時はつま先を上げてかかとから踏み込むというのを教わりました。それでだいたいの斜面は通過できました。それ以上の斜面は、滑落停止の方法を教わって、ピッケルを使って滑落停止の練習をしているうちに、無事通過できました。滑落停止は(うろ覚えのままを書きました。この滑落停止の部分は信用しないでください)、ピッケルの石突きの方を持っている手の反対側(右手で持っていたら、左側)に突き刺す。それでも止まらないようなら、起き上がる反動を利用して回転し、うつぶせになり、全体重をピッケルのピックにかけて雪面に突き刺し、ひざを曲げる。これを素早くする。
9:50 雪洞堀の場所に戻る
10:00 出発
10:30 谷川岳ロープウエイ(バス停)着

自分のミスでトラックログが一部しか取れませんでした
 赤い線:3日の登り(一部)、赤丸:雪洞を作った場所(推測)、黄丸:4日9時20に引き返した地点(推測)

11:00 バス出発→11:20 水上駅着
             11:36 水上駅発→12:40 高崎駅着
                         12:58 高崎駅発→14:35 赤羽駅着
                                      14:42 赤羽駅発→14:58 新宿駅着

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