利尻山(日本百名山・標高:1719m)(単独行)
 利尻山:百名山のうちで一番北にある山。四方を海に囲まれた、離島の山。

8月14−18日

利尻山

 鹿児島の開門岳に登った時、案外「海の見える山」が面白かった。そして、もう一つの海の見える山である、利尻山にも行きたくなった。開聞岳は一部が陸とつながっているが、利尻山は完全に海に囲まれた山です。日程的にも、予算的にも、行けそうだったので、利尻山に行ってきました。その他、最近北海道に行っていないので、行けるのなら久しぶりに行ってみたかったというのもあります。

Google Earthにて作成、利尻山のある利尻島(左は礼文島)


8月14日
8:40 東京駅発→8:45 浜松町駅着
            8:50 浜松町駅発→9:14 羽田空港第2ビル着

飛行機は久しぶりなので、舞い上がってこんなものまで撮ってきました(1)
 搭乗手続きです。自分の場合、代金支払い方法がクレジットカードだったので、クレジットカードを忘れずに持って行き、カードを機械に差し込んで、1、2、の3で搭乗手続き終了です。
飛行機は久しぶりなので、舞い上がってこんなものまで撮ってきました(2)
 お荷物受け付けです。これも難なく終了
飛行機は久しぶりなので、舞い上がってこんなものまで撮ってきました(3)
 羽田空港第2ビルはとても広かったです。壮観です。
飛行機は久しぶりなので、舞い上がってこんなものまで撮ってきました(4)
 
飛行機は久しぶりなので、舞い上がってこんなものまで撮ってきました(5)
 いよいよ、搭乗です。


9:45 羽田空港発→11:40 稚内空港着
(正確には、9時50分に飛行機が動き出して、10時4分に離陸、11時25分に着陸態勢に入って、11時35分に着陸)

窓側に座れました 手荷物を受け取る


        空港展望台からの利尻山

 飛行機を降りると、ひんやりするかと思っていたら、半袖でちょうどよいくらいでした。実はこんなことは稚内では珍しく、この日は特別に暑い日でした。それにしても、飛行機というのは、遠くに来た感じがあまりわかない。電車や車なら、風景がどんどん変わっていき、遠くに来た感じが実感できるが、飛行機(小型飛行機を除く)は風景自体はゆっくりとしか変化しないうえに、高度も高く飛んでいるので、どこを飛んでいるかもあまりよくわからない。今、東北の上を飛んでいるといわれても実感がない。
 空港の4階に展望台があり、そこから利尻山が見えました。「距離的には空港よりもフェリー乗り場の方が利尻山に近いので、フェリー乗り場に行けば、もっと大きくてはっきりした利尻山が見えるかもしれない。」と思い、とにもかくにも、フェリー乗り場へ
11:55 稚内空港発→12:15 稚内・フェリー乗り場着

近くにある稚内公園(高い塔が展望台)
防波堤
せっかく海の街に来たのだから
海のものを食べよう
ゲストハウス氷雪(稚内公園)

 フェリーが出発するまで時間があるので、(大きくて、くっきり見えるはずの)利尻山を探して散策です。しかし、利尻山は見えません、稚内港からは山をひとつ越えなければ利尻山は見えないようです。稚内公園には展望台があり、「そこまで行けば、利尻山は見えるはず、進め」ということで展望台に向かいますが、時間が微妙に足りませんでした。仕方がないので、稚内公園の中にあるゲストハウス氷雪とかいうところで、海をバックにした写真を撮って、散策終了です。
15:30 稚内港フェリー乗り場発→17:15 鴛泊港着

フェリーです
こっちの方角に利尻山は見えるはずなのだが
16:46 ぼやーっと見えてきました、利尻山です 16:53 ついにくっきりと見えてきました、利尻山です

 稚内から利尻島に向かうのだから船の進行方向に利尻山が見えるはず、と思って利尻山が見えるのを待つが方角的には合っているはずなのに利尻山の「り」の字も見えません。「なんだこの船は、利尻島に向かっているのではなくて、北方領土とか北朝鮮とか、別の場所に向かっているのか?」とかも思いますが、可能性的にそのようなことはほとんどありえず、見えるのを待っていると、一カ所、雲の出方が変なところがあります。そこをよくよく見ていると、山のような輪郭が徐々に見えてきました。方角的には合っていたのですが、本日は「視界が悪く、遠くの山まで見える日ではない」ようです。山頂に雲がかかっていたのは残念ですが、利尻山は登る山だけでなく、眺める山でもあります。こういう、船からの写真を撮ってみたかったので、目標が達成できてうれしいです。

利尻山です

17:20 鴛泊港発(民宿の人の車に乗せてもらい、民宿へ)→17:55 民宿着(泊まったのは仙法志の近く(利尻島の南側))

8月15日
天気:風強し、曇りときどき晴れ、雨
4:35 民宿出発(宿の人に送ってもらう)→5:00 鴛泊登山口着
 朝食をとって、出発です(5:10)。

登山口から見た、朝のペシ岬
宿の人に、「利尻山は0mから登れる山だから、0mから登りたい」というと、「0mより標高はあるが、ここからでも十分ではないか」ということで紹介されたのが、鴛泊登山口でした。

6:00 利尻北麓野営場着
6:10 利尻北麓夜営場発
 考えてみれば、車に乗っている時から、風は強かった。利尻山の近くに異様な形の雲が浮かんでいた。宿の人は「気流が違う」などと話していた。この時は、「この風は朝のうちで、しばらくすれば止むだろう」と思っていた。後から知ったことであるが、この時、北海道の天気図は等圧線が密になるようなことはなかったが、付近を前線が通過していた。雨になることは予想していたが、風のことはほとんど頭になかった。予報は、朝のうちは曇りでしだいに雨になるだろうとのことだった。雨ならなんとかなるだろうと、山に行くことにしたのだった。

甘露泉水 4合目 野鳥の森

6:17 甘露泉水(3合目)
 ここで水をくむことはできますが、水の出ている所が低いので水はくみずらかった。水の味に関しては、「まずくはなかったですが、わかりません」まずい水はわかるが美味しい水というのは、自分はあまりわからない。
7:20 5合目
8:05 7合目
 この頃から、収まらない風にさすがに弱気になって、撤退を考えるようになる。もう、自分の身の丈よりも高い木は無くなる。風をさえぎる植物がないと、風を直接に受ける。それに加えて、ガスが出て霧雨が混じって視界が悪い。なんとか行けるところまで行こうと思うが、もうすぐ8合目のあたりで、木や草のない場所に出て、「こんなこともあろうかと思って明日もあさっても用意しておいた、このまま進んでも良いことない。今日1日しかないのではないから帰ろう、それに単独行なのだ、単独行でこんなに長い間風の影響を受けたのはたぶん初めてだ。一人でこんなに長い間、風が続くのは初めてだ」
8:40 強風のため引き返す

風の強さと、海の青さと(1)
風の強さと、海の青さと(2)
海の見える山(1) 海の見える山(2)

 その後、風は強いままでしたが、ガスと霧雨は下に降りてくるうちに消え失せました。そのため海の見えるきれいな写真を撮ることができました。不幸中の幸い。
9:10 7合目

携帯トイレブース 利尻富士温泉

 利尻山は、入山条件として携帯トイレを持っていくことが義務付けられています。登山道の脇に上の写真のように「携帯トイレブース」があり、ドアを開けると中に椅子が一つ置いてあり、そこで携帯トイレを使用することができます(あくまでも携帯トイレを使う場所であり、トイレとしては使えません)。
10:15 4合目
11:00 利尻北麓野営場
11:45 利尻富士温泉着
 入浴料500円、露天風呂はぬるかったです。
12:30 利尻富士温泉発
12:40 鴛泊登山口

この日のトラックログ(黄:5時40分以前のデータがどこかへいってしまったため手書き)

 その後はペシ岬に登ったり、時間があったので沓形まで歩いたりしました。なお、宿に帰って天気予報を聞くと、利尻地方は強風注意報が出ていたとのことです。

ペシ岬
ペシ岬展望台
ペシ岬


8月16日
天気:曇り
 前日と同様、風が強そうなので、礼文島散策に変更
10:07 鴛泊港発→10:53 礼文島着
 実は、この時期利尻島から礼文島へ行く便は日に4便しかありません。4便のうち一番早いのが10:07です。そして、礼文島から利尻島に行く便も4便しかなく、そのうち2便は礼文島→沓形です。礼文島から鴛泊までの最終便は13時45分でした。礼文島散策といっても、礼文島を散策している時間はなく、「礼文島から見た利尻山」を撮りに行っただけです。フェリーの中から見た利尻山です。そして、その目論見は成功しました。以下がそれです。

フェリーから見たペシ岬
最初は利尻山もこんなに雲に覆われていましたが
しだいに晴れてきてくれました
ここまで晴れてくれれば目的達成です
せっかく海の街に来たのだから
海のものを食べよう(その2)
ウミネコは観察すると面白いです
この写真、なんか好きです さようなら、礼文島

13:45 礼文島発→14:25 鴛泊港着
 この日泊まったのは、「旅館●りた」という鴛泊の旅館でした。この旅館が、どうも登山者が大嫌いのようでした(でも、泊まった客は5人中登山者4人、登山をしない残りの一人は旦那さんが登山)。どっちが悪いのだろうか? おそらく登山者にも問題はあるだろう。登山者も「旅館の人が、登山口まで送迎して当たり前」という口調で話している人いるし、こういった形で宿をとるのに慣れていない自分は????でした。世間的に登山者は汚いというイメージがあるからか知らないが、ザックを部屋の中に入れるのにわざわざビニールシート持ってきて、「この上に置くように」と言うし、「お風呂はうちにする? それとも温泉(利尻富士温泉のこと)にする?」と聞いてくるし、自分もこの旅館のお風呂には入りたくなかったので温泉まで歩いて500円出して温泉に入りました。電話で申し込む時、目的は登山です、というと「登山だってお父さん」みたいなことを話していた。携帯トイレを持っているかと聞かれたとき、自分は持ってきていたので「あります」と答えた。その後よくよく調べたら携帯トイレの一部しかなくそれだけでは役に立たなかった。下に携帯トイレがまとめて置いてあったのを思い出し、そのケースをみると「ご自由にお取りください」とのようなことが書かれていた。のちほど「携帯トイレが不十分だったので、こちらから持って行きました」とこっちから申請すると「この泥棒が」みたいな口調になり…。
 旅館の主人が明日は4時出発、他の人もそれで行くというので、初めは送迎を断るつもりでしたが、せっかくなので「行き」だけ乗せてもらいました。この旅館、料金は安かったから、たちの悪い登山者に利用されやすいのかな? 迷惑な登山者も多いだろうし、登山というのは単なる旅行よりも危険な行為であるし、それなりに旅館の方もつらいかもしれない。

8月17日
天気:曇りのち晴れ
4:00 旅館出発→4:10 利尻北麓野営場着(ここまで宿の人に送迎してもらう)
4:30 利尻北麓野営場発
 本日の天気予報は、朝のうちは曇って風の強い時もあるが、昼には風も収まり晴れてくるとのこと。たまに風が吹くことはあるが前回のような風はほとんどない、行ける。
 4時45分 甘露泉水、5時5分 4合目、5時40分 5合目

5:50 あの上まで登れば8合目

 6時0分 6合目、6時20分 7合目
7:10 8合目 この手前かもしれないが、前回ここら辺りまで来ました。これから上は経験していない世界です。そしてついに、8合目からは、本日登っている最中には見えなかった頂上が見えました。山頂は、とてもかっこいいです、来て良かった。8合目から、しばらくは穏やかな道が続きます。前回、この上にはもう背の高い草木はないと思ってあきらめたが、案外あるし、道が削られていて風の影響はそれほど受けない。今から考えれば、この前はもう少し上まで登れたかもしれない。

8合目から 頂上が見える
7:35 避難小屋 海が見える

8:00 9合目
 9合目からは道が「ガレ場」になります、ところどころロープが張ってあって、通過が困難なことはないですが、落石をしてしまいそうでとても怖いです。9合目までは、風が強かった前日もこれたと思います、しかし9合目からの道は「あきらめて正解だった」です。

9合目 ここからが正念場 雲と海
ミヤマアズマギク

8:55 利尻山山頂着
 いろいろありましたがなんとか来れました。正直言って、こんなにきつい山だとは思っていませんでした。最北端の、離島にそびえる山というのは、なんと困難なことか。それでも晴れてくれたし、来て良かったです。

ピーク写真です、山頂です この道を登ってきた
南峰とローソク岩(右)

9:10 利尻山山頂発
 下るのは登るよりも怖いです、登るときはロープをあまり使いませんでしたが、下りはロープを使わないとやってられません。「そこの登山者、ここ危険なんだから早く通過してくれ、写真撮っている場合か」(自分にも心当たりはあるが、それでも止めて欲しい)

ガレガレで、写真で見るより実際は怖いですー

9:35 沓形への分岐
 実は、元来た道を戻るか、沓形コースを行くか迷ってました。「2日前は登れなかった山が、登れたのだ、無理せず来た道を帰ろう」という思いですね。しかし、下から登ってくる人がロープ使いまくりでなんか白けちゃって、あんまり初心者ばかりいるコースを下ってもしょうがないと、鴛泊よりレベルの高い沓形コースを下ることにしました。
 実際下ってみた感想としては、ものすごい危険な場所というのはありません。ただ、登りの人と下りの人が行き交う時などは、怖いです(そもそも3−4パーティーくらいしか会わなかった)。基本的に通過しずらい場所はロープが張ってあります。あと、気が休まる場所がない、常に気を張っていないと通過できない所が多い。「安心して休めるー」という場所はほとんどありません。初心者は来てはいけません。
 このコースの良いのは静かなところ、そして時折とんでもない風景に出会えること。例えば

三眺山手前で見えた風景(日本の風景ですか? 海外のどこかの国の風景みたい)

など、天気が悪くなければ出会えます。
10:35 三眺山着(昼食)

三眺山山頂から見た利尻山頂
三眺山山頂

10:50 三眺山発
 三眺山までの道は一気に急降下、それから先は傾斜がなくなって楽になるように見えたのですけど、三眺山以降は道がぬかるんでいます、いわゆる整備されていません、道ははっきりしていますが、いちいちごろごろした石が多いです。最後まで集中力を切らさないようにしましょう。前日睡眠が取れないとだいぶまいります。
11:25 8合目
12:20 避難小屋

沓形の港が見える 三眺山と利尻山山頂
本日は風も穏やか 見返台登山入口

13:20 見返台登山入口(5合目)
 登山道終了、ここから車道です。近くに展望台があったようですが、気分的に疲れていたので行きませんでした。ここでゴールとする人も多いですが、「利尻山は0mから登れる山、0mまで下りれる山」なので、海まで下ります。

ついさっきまで、あの頂上にいたのだ もうすぐ、海岸だ

14:55 沓形市街登山口着
 さて、目的達成、鴛泊までタクシー、もしくはバスで帰ろう。ということで、タクシー会社に連絡です、ところが連絡してみると、「みんな外出て行ってしまっていないよ、予約していないのなら何時に戻るかもわからない」とのこと。山で予約はナンセンスだと思うので、予約はしていません。何時になるかわからないって、帰りのフェリーに間に合わないかもしれないではないか? タクシーがだめならバスだ、ということでバス停に向うも時刻表がありません。何時にバスが来るかもわかりません。その時、「おととい歩いたことだし、歩いて鴛泊まで行ってしまえばいい」と思うようになり、鴛泊に向かって歩くことにしました。
 タクシーがなくても大丈夫なのは、宿の人たちがきちんと送迎しているからだろう。宿の人に連絡して送迎してもらうという手もあったが(時間的に絶対間に合わないならそうしていたかもしれない)、時間的にがんばれば間に合う時間なので、あの宿の人に会いたくなかったので、宿の人に送迎は頼みませんでした。その他、利尻でタクシーが利用されるのは今の時期くらいで、冬場などほとんど利用する人はいないらしい。

沓形市街登山口(撮ったのは前日ですが…) 礼文島

この日のトラックログ(黄はデータが取れなかったため、手書きしたもの)

17:10 鴛泊着
 計画通りというべきか、フェリーの出発に間に合う。お土産を買う余裕もあった。
17:30 鴛泊発→19:10 稚内港
 フェリーの中では、自分、さすがに疲れて風景を見る余裕はほとんどなく、横になる。それにしても、風景を見ずに横になっている人が多い。
19:30 宿に着く

8月18日
 宗谷岬を時間があったら見に行くつもりだったが、宗谷岬まで行くのにだいぶ時間がかかる上に交通費がかかる。「別の機会で来れないこともない」と思うので、宗谷岬には行くのをやめる。宿の周辺(海がある、それだけで時間がつぶせる)を散策して時間を潰す。
8:50 宿を出発
9:00 稚内空港着
 空港は開いていて搭乗手続きはできたがそれ以外のこと(手荷物受け付けなど)は10時30分からでした。

稚内空港の中

12:10 稚内空港発→14:05 羽田空港
(12時20分離陸、13時40分着陸態勢へ、13時53分着陸)
14:32 羽田空港第2ビル駅発→14:54 浜松町駅着
                     15:01 浜松町駅発→15:25 新宿駅着

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