ヒツゴー沢(谷川岳)(山岳同人わたぐも)

8月5日(前夜発)
天気:晴れ、のち曇りときどき雨
リーダー:SYさん、参加者:W邉さん、S村さん、自分

総合力:(自分の場合)技術的に言って完全に登れないという滝はなかったと思う、でもなんか「アッパーは打たれなかったけど、細かいボディブローを数多く打たれて、それがじわじわと効いてきて、疲れてしまった」というのはある。これ!というよりは、「沢の総合力」みたいのが自分にはまだ足りなくて、落ちはしなかったけど時間がかかってしまった。読図能力もなんかきちんとできておらず、その結果ペース配分が上手くいかなかったというのもある。
 そんな自分のことはさておいて、沢自体は非常に明るくてきれいな、大きな滝、小さな滝、ナメ、淵、草付き、凹角、面白い沢でした。

8月4日
20:35 新宿駅発→21:03 大宮駅着
            21:25 大宮駅発→22:25 高崎駅着(特急)
案内していたのは新幹線だった、乗換案内には「21時30分大宮駅発 あさま551号」としか書かれておらずてっきり特急だと思って、乗ったら30分で高崎駅に着くはずが、1時間かかってしまった。SYさんに「1本前の電車で行く」と言っておいたのに、同じ電車になってしまった。高崎行くのに新幹線という感覚はなかったもので…
23:02 高崎駅発→24:05 水上駅着
 待合室は夜中、使えませんでしたが、駅の入り口の部分が利用できました。この時期は屋根さえあればいいかもしれない。

8月5日
4:40 起床
 朝早すぎて、タクシーの運転手さんが来ていない。仕方なく、連絡先に電話を入れる。電車もまだ来ていないし、こんな時間にタクシーを乗る人は普通ならいない。前日、タクシーの運転手さんにちゃんと伝えておけばよかった。
5:40 水上駅発→5:50 谷川温泉着・発

ヒルチェック・その1(6:31) 目指す谷川岳は雲の中

 谷川温泉から登山道に入るところに、「ヒル避け用食塩水」が置いてあった。ヒルがいるらしい、「本当にいるのかな?」と半信半疑で進むと、出てくる出てくる、蚊のようにヒルがいます。なんだか知らないけど自分はそれほど被害は受けませんでしたが、くるぶしの辺についてきます(取りつかれたのは5匹くらいで、実際に血を吸われたのは1匹のみ)。S村さんはかなりやられていたようで3−4匹に血を吸われたとか? ヒルには目の粗い靴下ではだめで、女性用のストッキングが効果的なそうだ。なお、ヒルが出たのは二俣くらいまでで、それ以降はいなくなったと記憶しています。

ヒルチエック。その2(7:10)

7:20 二俣
7:40 入渓地点、沢装備に
8:05 出発

出発 F1-7m

 F1-7mと次のF2-20m逆くの字はすぐ近くで、F1を登って一呼吸してF2という感じではなかったです。以前もありましたが、F1ってずいぶん長い滝だなと思ったら、いつの間にかF2を通り過ぎていた(自分の場合)。この滝はザイルを出してもらい、自分はプルージックで通過しました。でもシュリンゲがなんかキンクしていて(変な癖がついていて)、こういう細かいミスをするから時間がかかってしまう、最初から「石橋を叩いて…」になってしまった。難しいというより、「ぬめった岩あり、もろい岩あり」、いやらしい滝です、こういうのって総合力がないと…、予定時間を大幅にオーバーしてしまった。
8:50 第1ゴルジュ通過

きれいだったナメ滝 沢が明るい

 ゴルジュを通過した後は、小滝が連続します、一部ナメ滝もありました。小滝といってもロープを出さないだけで、難しいところは難しいです。ここヒツゴー沢は丹沢などと違って沢がとても明るいです、ゴルジュの中でもそんなに暗くないです。明るければ写真がきれいになるし、GPSも衛星を補足しやすくなります。来てよかったー

小滝の連続 9:07
小滝の連続 9:24
小滝の連続 9:32 小滝の連続 9:44

9:50 2段20mの滝
 2段20mの滝では、滝の下部においてトップで行ったW邉さんに続いて全員シャワークライミングです。見ている分には面白そうだし、涼しそうであるが、水の中に突っ込む時はとても勇気が要ります。でも、この時期に沢に来たら、断然シャワークライミングです。水流の中の方が、岩がぬめっていないという事実もあります。案外、水流の中にホールドはあります。でも水流の中のホールドは落ち着かないと探しずらい。

2段20mの滝
水の中に突っ込む(1)
水の中に突っ込む(2)
 無事通過、お見事!
上段は凹角になってます。
20mくの字?
滝の脇にきれいな花
ここで休憩
休憩です 正面の山は、阿能川岳だと思います

11:55 第2ゴルジュの、10mトイ状の滝

10mトイ状の滝(下部) 10mトイ状の滝(中部、上部)

 なぜか自分は一番怖かった、10mトイ状の滝です。自分の進んだルートを「中部、上部」の写真に矢印で示しました。下から見るとそれほど難しそうもないんですけど、苦労しました。この時はプルージックで登り、シュリンゲも先ほどのようにはキンクしていなかったんですけど、どうもプルージックは「8の字」に比べたら怖くって、そうなると下から見るとたいしたことのない微妙な傾斜が怖く感じられてきて、ホールドも土砂が堆積して見えずらかったりして、この傾斜、このホールドを室内壁にそのまま持ってきたら案外簡単に登ってしまうかもしれないが、時間がかかってしまった。途中で雨も降ってきて、余計に焦りそうで平常心を保つのに精いっぱいだった。

12:52 小滝
 ホールドが微妙で、この滝は非常に面白かったです。
お天気雨(20mトイ状)
 音楽のように、雨が水面に当たり、すごいきれいでした。
20mトイ状(上部)
 上部でザイルを出してもらったが、それほど難しい場所でなかったと記憶。

 「ゴールはまだか?」20mトイ状を過ぎたあたりから、累積した疲れが出てきたと記憶している。そしてこの頃から、天気が晴れから「曇り時々雨、時々雷の音(光はほとんどしませんでした)」に
14:05 最後の10mの滝
 滝の左側を巻いたのがこの滝だったか、久しぶりの「巻き」、草付きの部分があり、通過にひと苦労。
 分け入っても分け入っても青い山(種田山頭火)「稜線が見える、あそこまで行けば」と思うが、進んでも進んでも、微妙に近づくだけでなかなか到着できない。大きな滝はもうないが、1−2mの小滝とも言えないような小さい滝が連続している。これでも、昔よりはうまくなったと思う。以前の自分だったら、登れないようなところが難なくこなせている。それでも、疲れてきて3つ登って1つ休むペースに、自分がなっている。15時35分ごろ一度沢の水枯れるが、また流れが出てくる。
15:50 沢の水枯れる

草付き及び雪渓用アイスバイル?(正式名称不明)
大きさの参考のため時計を置いてみました

 今回、ツメが草付きになるというので、上の写真にあるようにアイスバイル?を買ってみました。ヒツゴー沢のツメの部分は、草付き3、ガレ場1ぐらいの草付きで、草付きの部分は距離的にはそれほど長くありませんでした。アイスバイル?を使った感想は、草しか生えていなくホールドがない場所でも、突き刺すとかなり安定する。しかし、パイル?を抜こうとすると思ったよりも「すっと」抜けない(これは練習により解決するかもしれません、逆にいえば簡単に抜けすぎるのも困るのですが)。それなりに役に立つが、今回使った限りではあくまで非常用という感じ(もうちょっと使ってみれば、いろいろなことがわかってくるかもしれません)。
 あともう一息、でもだいぶバテている。2つ登って1つ休む感じである。こんな時に小さな虫がやってきて、ハアハア、ゼイゼイやっているところの口の中に入り込んでくる、つらい。
16:20 登山道
 ようやく、登山道である。ようやく、虫がいなくなったのはうれしいが、1つ登って1つ休むペースになっている。
16:30 肩の小屋着、沢装備を外す
 ようやく到着、なんとか到着。栄養補給、栄養補給、大豆製のソイビーンとかいうお菓子を2本食べる、だいぶ力が戻ってくる。暗くなる前に出発だ、この分だとカイデン行動もあり得るが、できるだけその時間は短くしたい。渓流シューズを履きかえるのは後にしよう(自分のみ)、ヘルメットを外して、ハーネスを外して、後は登山道だからGPSの電源を切っても大して問題もないので電源を切って、出発。

今回の沢登りのトラックログ(入渓地点は矢印で示したところだと思います)

16:45 出発
 さっきまでバテていたのがうそのように、自分でも信じられないくらい足が前に進みます。なんとかなりそう。
17:25 避難小屋
 雷のこともあり、早めに下りておきたかった(肩の小屋に着いた後はほとんど雷も雨もなし)、しかしずいぶん降りてきて周りに大きな木もある。ここで休憩。スパッツを外して、クライミング用手袋を外して、チョコレートを食べて、出発。当初予定では、いわお新道を下るはずでしたが、いわお新道を通ると、ヒルのいる道に戻ってしまうということで、天神尾根をそのまま進んで田尻尾根を下ります。
17:50 田尻尾根に入る
 「最近藪が刈られたようです」、ですが初心者やハイカーの通る道ではないです。道ははっきりしていますが、悪路です。再び疲れが出てくる。肩の小屋手前の時のように息を切らしていないので口の中に小虫は入り込んでこないが、耳の中に虫が入り込んでくる。つらいし、集中力が失せる。田尻尾根・最後の頃、渓流シューズに泥がついて、非常に滑りやすくなる。3、4回連続して滑ったころ、ようやく広い道に出る。
18:35 スキー場
 「もう渓流シューズ外す」、運動靴に履き替える。暗くなる前にここに着いてくれた。スキー場の広い道を下ります。
18:55 土合口着
 着いた頃あたりが暗くなる、とりあえずなんとかなりました。ここでタクシーを呼ぶ。結局、カイデン行動はなし。

今回の全行程のトラックログ
 赤:登り、黄:下り(肩の小屋でGPSの電源を切ってしまったので、タブレットにて手書き)

19:10 土合口発
19:30 水上駅着
19:54 水上駅発→20:55 高崎駅着
            21:05 高崎駅発→22:58 新宿駅着

そういえば今年沢で懸垂下降やっていない、以前のリーダーだったら滝が4つあったら1つくらいは高巻きがあった。高巻きがあると自然に懸垂下降をするが、高巻きがないと懸垂下降もない。

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