TAJバックカントリー初心者講習会 in 玉原

2007年12月22・23日

ガイド:S田さん、アシスタント:1名、参加者:自分を含めて3名

 久しぶりの12月雪山である、雪山というと言い方が悪いかもしれない、山スキー、バックカントリー、ツアースキーか? 学生のころは、12月に山スキーに行っていた。社会人になってからは、行った記憶がない。昨年の戸隠・飯縄山でアウトドアでテレマークターンができて、滑りは一段落した。今年はその飯縄で痛い思い(比喩ですが…)をした登りを中心に挑みたい。ゲレンデスキーよりもゲレンデの外に行きたい。ということで、TAJ(日本テレマークスキー協会)の会員になって、初めての外スキー玉原です。

12月22日
天気:曇り
6:32 東京駅発→7:32 高崎駅着
            7:44 高崎駅発→8:31 沼田駅着(タクシー)→9:10 たんばらスキーパーク
10:00 集合
10:30 ゲレンデで滑る

たんばらスキーパーク

 他の参加者二人を見ると、バリバリやっていますという二人。テレマークの滑りは、誰が見るともなく自分が一番下手でした。装備がテレマークスキー一式に、ビーコン、ゾンデ、スコップ、そしてシール(もちろんザックなど他にもあり)だから、いわゆる初心者ではないということ。自分は今年になってゾンデを買い、全てをそろえました。自分でも、全部持っている人間で、いわゆる初心者はおかしいと思う。バックカントリーの初心者の定義とは?
11:00 ゲレンデから少し外れたところでトレーニング
 ビーコンにスイッチを入れて、シールをつけて、シールにワックスを塗って、バックカントリーツアーの練習です。
やったこと:シール登行、スキーを背負った登行、ルートファインディング
教わったこと
(1)シールを板に付けた後、ストックできちっと伸ばすとよい。
(2)シール登行で、ストックを突く位置は体の後ろ、板のテールの部分に突くように。
(3)板をザックにつけてツボ足で登るときは、ザックのストラップに板のビンディングがかかるように(自分は頭では理解していましたが、位置が少し高かったです)高すぎても風圧を受ける、低すぎても歩きずらい、マジックテープなどで板の上部を固定すると安定。
・ビーコンの特性について

ビーコンの特性

 ビーコンの電波というのは、全ての位置に等しく広がっているのではなく、上の「ビーコンの特性」に示したように、「カボチャ型」のようになっています。そのために、Aからビーコンを探しに行った場合と、Bからビーコンを探しに行った場合では、ビーコンの距離の値は、出方が異なります。Bからビーコンを探しに行った場合、直線的にビーコンに向かうことができますが、Aからビーコンに向かった場合などは、ちょっと位置がずれただけで距離の値が大きく変わることがあります。
 逆に言うと、同じ場所から同じ場所に探索する時でさえ、ビーコンがどのような向き(上向き、横向きなど)で埋まったかにより、探索者のビーコンに示される値は全く異なったものになります。このことを全く理解していませんでした。え? という感じです。
 その他、ビーコンは探索する時でも、ストラップから外してはいけない、ことを再確認しました。
12:30 昼食
13:30 講習再開
・ピットチェック(積雪断面観察)

ピットチエック コンプレッションテスト(積雪量が少なくて…)

 雪を掘って、ピットチエック(積雪断面観察)です。層面をみると上の30-40cmの雪は一気に降り積もったもので、その下に2−3の層がありました。層の雪はザラメ雪です、雨が降ったか天気が良くて雪が融けるなどしてザラメ雪になったと思われます。触ってみると、上30-40cmの部分は指でへこみますが、ザラメの部分は指でへこみません。その他、雪の結晶を観察したりしました。コンプレッションテストもしましたが、積雪量が少なくて掘ったところに笹が出てきてしまい、「コンプレッションテストとはこういうことをするのだよ」ということです。
・ビーコン操作

2台になると、電波がこんな感じで干渉しあうのでは? ビーコンで絞り込んでいるところ

 40mくらい離れた所から、ガイドさんが埋めたビーコンを探します。2回ビーコン一台が埋まった場合で探査、その後2回をビーコン二台が埋まった状態で探査、をしました。ビーコン一台が埋まった時は自分は難なく探せましたが、二台が埋まると二つのビーコンが干渉しあうのか突然信じられない値が示されます。おそらくは、上のビーコンの特性で示した電波が、例えばC点当たりで干渉しあっているのではないかと
 作業としては、一台目を探すことができたら、一台目を発見した場所から3m同心円状に歩いて別に電波が強くなるところを探す。3mで見つからない場合は6m同心円状に歩いて探す、です。
 その後、ゾンデ―連をしました。ゾンデ―連というのは、ビーコンを使っても埋没者が見つからないとき、などに行う捜索方法です。ゾンデを持って、隣の人と30cmくらい開けて横一列になります。その状態でリーダーが声をかけます「左、真ん中、右」左と言われたら、自分の左の靴の手前をゾンデで突き刺します、右は右の靴の手前をゾンデで突き刺します。真ん中は左右の靴の真ん中を刺します。次のリーダーが声をかける「一歩前へ」で前進し、再度「左、真ん中、右」を繰り返して埋没者を捜索します。
15:20 講習終了、各自ゲレンデで滑る
16:00 リフト営業終了、ペンションに宿泊。
 夕食後、翌日登るであろう尼が禿山の説明+2万5千図の折り方、使い方など

12月23日
天気:曇り、最後の方で晴れ
7:30 朝食
8:30 ペンション出発
8:40 シールをつける

シールをつけて出発 今回の講習の顔ぶれ(自分を除く)

9:00 シールをつけて出発
 しばらくは平坦な林道歩きです。
10:10 林道から外れ、樹林帯の中へ
 というわけで、今回の課題である「シール登行」です。昨日言われたように、ストックの突く位置を体の位置の後ろにしたら、昨年はもがいていた斜面が楽に登れました。シールを新調したから、シールの効き目が良くなったということもありますが、何はともあれ、この日登りは絶好調♪〜。Unstoppableです。さらに急な斜面になったらどうなるかわかりませんが、少なくともストックの突く位置を変えただけで登りはずいぶん進歩できました。しかし、こんな簡単に解消してしまうとは、まだまだ初心者の証拠である。
 昨年よりは雪は多いと思うが、藪がずいぶん出ています。でも、登りの最中は、それほど藪が苦になりませんでした。12月にツアーとして形になるくらいは雪はありました。その他、尾根の右と左どっちに行くかという場でコンパスを使うことで、自分きちっと左と言い当てられました。行きは読図の面でも好調でした。

シール登行(1) シール登行(2)

11:30 頂上まで標高差60mの所から、ザックを置きスキーの板を外し、ツボ足で登る
 山頂まで標高差60mの所から斜面が急になり雪の量もそれほどないので、ザックを残してカメラ(+自分の場合はGPS、でもGPSは面が上を向いていなかったためほとんど衛星を捕捉できませんでした)だけ持って、ツボ足で登ります。山頂まで後20mくらいから視界がどーんと広がります。曇りで風景は期待できないかかな、と思っていただけに来て良かったです。
12:04 尼が禿山山頂

ピーク写真です(写っているのは自分) 山頂付近からの玉原湖

12:20 板を外した地点に戻る、シールを付けたまま下降開始
 登るにはそれほど邪魔にならない藪ですが、下るには藪がいちいち邪魔です。もう少し積雪量があればこの藪もなくなるのですが…。ということでシールをつけたまま滑ります、自分はこの藪の中で一度もテレマークターンができませんでした。今回の目標は滑ることではなかったし、12月に行けただけでも良しとしたい。
13:00 林道に合流した地点で、ビーコンの練習
 ビーコンを使ったレスキュートレです。分担を決めて二人がビーコン探査、一人がリーダーになり全体を見て指示をする。ということをしました。さて自分がビーコンで探査する番になりました。いきなり、サーチモードを押したつもりが押す時間が足りなくてサーチモードになっていなかったという基本的なミスを犯す自分。次にあり得ない方角に反応があります、これも携帯電話に反応してしまった(後になって考えると)という、ビーコンでは基本的なミス。5mくらいまでは絞り込めるも、それから先に進めず、もう一人の人が見つけたものをスコップで掘るという役に変わりました。それにしてもビーコンというものは、例えて一番近いのは「滑落停止」か? 滑落停止も実際にはほとんど使うことはないであろうがいざという時のために訓練は必要。滑落停止も訓練しておいたほうが良いが、どんなに訓練したとはいえ滑落したときにとっさに停止できるかどうかはわからない。ビーコンはどんなに訓練しても助けるのは他人だけで自分ではない、という点では「滑落停止」と異なるが
13:45 ビーコンの練習終了

ビーコンの練習をした地点 平原を進む

 林道に合流した後は林道を滑って行くだけと思っていたら、実は登りでした。行きはラッセルをしていたからあまり気がつくなかったがペンションから林道は微妙に下っている。登りになって初めて実感する。「そりゃ、水は低いところに集まるから、玉原湖の周囲が一番低いに決まっている」と、後になって思う。こういうのも地図からきちんと読めないと、言われてみればそうなのだが言われる前に気がつかないと
 たんばらスキーパークに着いたところでGPSの電源を切りました(黄色の右はじの点が玉原スキーパークの入り口です、赤の右はじの点がペンションの位置です)。車が通っているところのトラックログなんて別になくても良いので。
14:55 ペンションに戻る
 ガイドさんにバス停まで送ってもらいました。たんばらスキーパークは電車で来るところではありません。気がつくのが遅かったが、これはこれで良い経験を。

23日のトラックログ:行き・赤(線を太くしました)、帰り・黄

15:30 ペンション発→15:50 迦葉山・バス停着
              16:53 バス停発→17:30 沼田駅着
                          17:47 沼田駅発→18:33 高崎駅着
                                      18:50 高崎駅発→19:22 大宮駅着
19:53 大宮駅発→19:48 赤羽駅着
            19:58 赤羽駅発→20:13 新宿駅着

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