B00K
私の読書記録です。
容量の関係で、過去の読書記録はサイトから削除しました。

評価の見方

☆☆☆

・・・

おすすめします!

☆☆

・・・

料金の価値はあります。

・・・

暇ならお読みください。

・・・

おすすめしません。イマイチ。

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2011年1月16日(日)

書籍名

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

著者

岩崎 夏海

出版

ダイヤモンド社

定価

1,600円+税

評価

☆☆☆

感想

 前々から気になっていた書籍です。200万部を突破した、とのことでしたので、購入し、読んでみました。
 ざっくりとあらすじを書くと、高校2年生の女子高生が、ある日高校野球部のマネージャーになり、ドラッカーのマネジメントを駆使して、野球部に甲子園出場をもたらした、という感じです。
 要所要所にドラッカーの言葉を引用し、その言葉を野球部に適用するとどういうことになるのか、というような展開を繰り返しながら物語は進んでいきます。
 この小説には賛否両論があるようで、賛成派は「ストーリーはしっかりしていて、マネジメントの何たるかがわかり、感動してしまった。」と言い、否定派は「あまりにも語彙力がなく、文章は稚拙で物足りなかった。」と言っております。
 僕個人としては前者で、この本がかなり売れた理由がわかるような気がします。ドラッカーのマネジメントの解説本だとばかり思っておりましたが、ちゃんと物語になっております。そして、感動的なシーンも盛り込まれています。
 ドラッカーのマネジメントは、元々は企業経営のための教訓めいたものとの認識があり、なぜに高校野球と結びつくのか疑問に思っておりましたが、読んでこの疑問は解けました。
 賛否両論が渦巻くこの書籍、興味ある方はご一読ください。


2010年12月26日(日)

書籍名

ゲームの名は誘拐

著者

東野 圭吾

出版

光文社

定価

590円+税

評価

☆☆☆

感想

 この小説のあらすじを裏表紙から抜粋。
 =あらすじ=
 敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。「ゲームの達人」を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー!

 読み始めたらもう止まらない、というような感じで一気に読みました。最後の最後に大どんでん返しがあるのも良かった。さすが東野圭吾ってな感じでした。著者が「良い人が出てこない物語を作りたかった。」というだけあって、出てくるキャラクターの中に良い人がいないんです。この切り口も楽しめました。
 ちなみにこの小説、過去に映画化されたようで、今はレンタルビデオショップに置いてあるようです。映画のタイトルは「g@me」というらしく、藤木直人さんと仲間由紀恵さんが演じているようです。機会があればDVDも観てみたいです。


2010年11月14日(日)

書籍名

アリアドネの弾丸

著者

海堂 尊

出版

宝島社

定価

1429円(税込)

評価

☆☆☆

感想

 まずは、この小説のあらすじを帯から抜粋。
 =あらすじ=
 東城大学病院で再び殺人事件が!
「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ。」
東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!
 殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた・・・・・・。
不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む!

 読後、やっぱり海堂 尊氏の小説は面白い!と感じる1冊でした。これまで、氏の小説を読んできた読者にとってはたまらない、といった感があります。相変わらずのロジカルモンスター・白鳥圭輔の活躍に加え、豪華キャストがたまりません。面白すぎて、小説の中盤辺りから一気に読み進みました。たぶん、この本を読んで、著者の別の小説を読んでみたい、という読者も少なからずいるのではないかと思います。
 超オススメです!読んでみてください!


2010年10月11日(月)

書籍名

卒業

著者

東野 圭吾

出版

講談社文庫

定価

590円(税込)

評価

☆☆☆

感想

 東野圭吾と言えば、加賀恭一郎シリーズ。この作品は、刑事になる前の加賀恭一郎、初登場作品です。
 =あらすじ=
 卒業を控えた大学四年の秋、一人の女子大生が死にます。親友・相原沙都子(加賀恭一郎のガールフレンド)は、仲間とともに、残された日記帳から真相を探っていくことになります。鍵のかかった下宿先での死は自殺なのか、他殺なのか。彼女が抱えていた誰にも打ち明けられない秘密があり、、、。そして、第二の殺人事件が起こってしまいます、、、。

 加賀恭一郎が刑事になる前、大学生の設定での作品です。この作品では、加賀の友人である女子大生が二人相次いで亡くなるのですが、この二人とも自殺なのか他殺なのか、最初はまったくわかりません。そして、その動機の探求が、事件の解決に結びついていくことになります。
 もちろん、最終的に解決するのは加賀恭一郎ですが、ロジックが破たんすることなく徐々に謎解きしていく姿は、刑事になってからのものと変わりがないことを窺わせます。
 青春ミステリー的な本作品は、大学生としての清々しさをも兼ね備えています。オススメです!


2010年3月22日(月)

書籍名

博多学

著者

岩中 祥史

出版

新潮文庫

定価

580円(税込)

評価

☆☆☆

感想

 今博多に単身赴任して早や8か月。
 この本を読んで、「うんうん」とうなづいてしまうことだらけでした。
 この本、ガイドブック的に使えればいいかなと思って読んでみたのですが、博多についてかなり奥深いことが書かれております。「山笠」について書かれている部分では、「ふ〜ん、そうなんだ〜。そういうことなんだ〜。」と感心しきりでした。自分が実際に行ったことのある「柳橋連合市場」が登場したりすると、「おっ、やっぱり有名なんだ〜。」とかニンマリしてしまったりします。
 まだ博多に来たことのない人が読んでも、十分に博多の魅力を満喫できる1冊だと思います。
 「博多」、ほんとにいい町です。単身赴任者に人気ナンバー1の町であることがだんだんとわかってきました。


2009年7月5日(日)

書籍名

1Q84(Book1・Book2)

著者

村上 春樹

出版

新潮社

定価

3,600円+税

評価

☆☆☆

感想

 今流行りの書籍です。かなり売れているということです。ということで話題の本を購入して読んでみました。
 全体的な感想は、一言「おもしろい」ということです。売れているのがわかるような気もしました。ただ、人によっては(特に女性は)、「それほどでも、、、。」という感想をもつかもしれません。
 性描写がかなり露骨です。少なくとも未成年にはあまりオススメできません。
 さて、本小説ですが、「青豆(あおまめ)」という女性と「天吾(てんご)」という男性の物語が交互に登場する形態をとっております。最初のうちは別々の物語と思っていたものが、ちゃんと最後にはつながりをみせます。
 いつもであればあらすじを紹介するのですが、今回は、初の試みとして、小説の内容を把握できるようなキーワードを並べてみます(どこかのクイズ番組みたいですが)。

キーワード:首都高速、ばれない殺人,小説家、NHKの集金、空気さなぎ、リトルピープル、ねつ造、ふかえり、カルト集団、1984年、2つの月、SEX、乳房、SF、DV、ひとりぼっち、プラトニック

 いかがでしょう。イマイチ小説の内容はわからないものの、興味を感じた方もいるのではないかと推察します。興味を持った方、期待は裏切らないと思いますよ。Book1の後半あたりから一気に読み進むことになること請け合いです。


2009年6月14日(日)

書籍名

螺鈿迷宮(上・下巻)

著者

海堂 尊

出版

角川文庫

定価

952円+税

評価

☆☆☆

感想

 海堂 尊氏は「チーム・バチスタの栄光」で一躍時の人になりました。その後、医療ミステリーを続々と刊行しております。それらの書籍は、案外リンクしていたりするものですから、刊行された順番に読んでいかないと、登場人物のキャラクターがわからなかったりするかもしれません。
 この「螺鈿迷宮」もその部類ですが、これはこれで単独でも非常に楽しめると思います。

=あらすじ(Amazonより)=
 この病院は、あまりにも、人が死にすぎる――
日本の医療界を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」から一年半。その舞台となった東城大学に医学生として通う天馬は、留年を繰り返し既に医学の道をリタイア寸前だった。ある日、幼なじみの新聞記者・葉子から、碧翠院桜宮病院に潜入できないかと依頼を受ける。東城大学の近隣病院である桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末医療の最先端施設としてメディアの注目を集めていた。しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は葉子の依頼を受け、看護ボランティアとして桜宮病院に通い始める。そのうちに、奇妙な皮膚科医・白鳥と看護師・姫宮と出会うことになり……。

 ちなみに、作者の海堂 尊氏は現役の医師です。それゆえ、小説とはいうもののその内容にはかなりリアリティがあります。
 今回のテーマは、終末期医療。厚生労働省のロジカルモンスター白鳥VS桜宮病院の院長の場面は、何度も読み返したくなるほどおもしろいです。是非ともご一読を!


2009年5月31日(日)

書籍名

グロテスク(上・下巻)

著者

桐野 夏生

出版

文春文庫

定価

計1,276円+税

評価

☆☆☆

感想

 この書籍、読後はとてもブルーな気分になります。題名そのままに、その内容は非常にグロテスクなのですが、読み進めば読み進むほどもっと先を読みたくなる、というような感じに陥るのです。
 主な登場人物は、名前の出てこない「私」、妹の「ユリコ」、同級生の「ミツル」と「和恵」、そして中国人の「チャン」です。
 この小説、各人物の告白形式で進行します。ものすごい美形に生まれた妹の「ユリコ」は、15歳の頃から売春を始め、娼婦となり、最後には「チャン」に殺されるという生涯。同級生の「ミツル」は、学園では常にトップの成績を修め、東大医学部に進学しながらもカルト集団にはまってしまい、その人生が狂ってしまうという人生。同級生の「和恵」はブサイク・努力家・いじめられっ子という設定で、業界大手の建設会社に就職しつつも、夜は娼婦となる二重生活を続け、最後には殺されるという生涯。それらの人生をひねくれた視点で語る「私」。
 文章的にも、非常にグロテスクな性描写が多く、未成年にはオススメできない書籍といえるかもしれません。しかしながら、大人の方にはオススメです。嫌な内容ながらも、読み進めば読み進むほどもっと先を読みたくなる感覚、是非味わってみてください。


2009年5月24日(日)

書籍名

姉妹

著者

吉村 達也

出版

角川文庫

定価

743円+税

評価

☆☆☆

感想

 右側の画像を見てドン引きした方もおられるでしょう。
 しかしながら、この小説、読んでみると「ホラー」というよりも「ミステリー」という部類になろうかと思います。そして、おもしろいのが、この小説は、映画の後追いで書かれているという点です。映画(韓国映画です)の解説本的小説と言っても過言ではありません。
 よく、「本を読んでから観るか。」「映画を観てから読むか。」と言われますが、今回の作品、明らかに前者が良かろうと思います。映画を最初に観ると、何がなんだかわからないうちにエンディングになる感覚をもつことになること間違いありません。僕は、読んでから観ました(レンタルDVD)ので、非常に内容がわかりましたし楽しめました。ミステリーだと思って観ると、さほど恐怖感はありません。
 ちなみに映画の題名は、「箪笥(たんす)」です。小説名とは異なります。
 ミステリー好きの方は、どうぞ両方を堪能してみてください。オススメです!


2009年3月8日(日)

書籍名

告白

著者

湊 かなえ

出版

双葉社

定価

1,400円+税

評価

☆☆☆

感想

  「第29回小説推理新人賞受賞」という宣伝文句に惹かれて購入した本です。
 期待は裏切りませんでした。というより、それ以上でした。
 第1章に背筋も凍るような驚愕の文章が登場します。我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のホームルームで生徒達にこう言います。「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの中にいる生徒に殺されたのです。」と。このあたりから、ページをめくる手は止まることはありませんでした。
 この小説、ひとつの事件を、女性教師、生徒など事件に関わる人物の語り口調で展開するのですが、新しい文体だと思いました。
 そしてエンディング。予想もしなかったこれまた驚愕のラストシーンが・・・・。読む人によっては、虚無感だったり虚脱感を味わうかもしれません。でも、面白かったと感じる事間違いないと思います。
 単行本ではありますが、是非とも読んで頂きたいオススメ本です!


2009年3月1日(日)

書籍名

ゴールデンスランバー

著者

伊坂 幸太郎

出版

新潮社

定価

1,600円+税

評価

☆☆☆

感想

 杜の都・仙台を舞台に、仕組まれた首相暗殺事件の犯人に仕立てられた主人公青柳が、必死の逃亡者として逃げ切り、生き抜こうとする物語です。
 国家的な謀略者や警察、マスコミによって作り出された男のにせの姿が、男をよく知る親友たちと主人公が関わっていくなかで、真実の姿へと変わっていってしまいます。
 暗殺事件の真相は、事件当時のものとは違っていたことを明らかにした上で(事件から20年後の話を描いた後に)、黒い霧の中に葬られた事件を、カットバックを巧く使いながら描き出していく話の展開、伏線の生かし方も見事です。
 また、青柳雅春の必死の逃避行を描いていく中に、彼と親友、元恋人との思い出の光景が差し挟まれるところも良いです。容赦のない、冷酷無惨な謀略事件と比べると一層、彼らの脳裏に浮かぶ思い出の風景が、あたたかく輝いているように見えました。
 ハラハラドキドキです。一気に読みきりました。これは面白かった!


2009年2月22日(日)

書籍名

アキレスとカメ

著者

吉永 良正

出版

講談社

定価

1,429円+税

評価

☆☆☆

感想

 理数系であれば、必ずや聞いたことのあるパラドックス「アキレスとカメ」。
 俊足のアキレスといえどもカメには追いつけない、というあまりにも有名なこの論理の矛盾を説明している書籍です。ページ数は120頁ほどで、絵本的なところもありましたので、読み終わったら娘にでも貸そうと思っておりましたが、内容はなかなか難解で、自分自身が理解するのに苦労いたしました(たぶん、娘は理解できないと確信しております。)。等比級数とか漸近線とか、はるか昔に高校で習った言葉がこの書籍には飛び交っておりますが、何とか思い出しながら読み終えました。最後には、著者に言いくるめられた感も漂いますが、なかなかおもしろい本だと思います。
 理数系出身者諸君!是非読んでみてください。
 そういえば、この本を読んで思い出したパラドックスがありましたのでご紹介します。「人食いワニのジレンマ」というパラドックスです。
「人食いワニが子供を人質にとって、その母親に言います。「自分がこれから何をするか言い当てたら子供は食べないが、不正解なら食べる。」と。この人食いワニが絶対に嘘はつかない、という条件の下、母親がどのようにワニに答えると絶対に食べられないか?というものです。
 わかりますか?これもかなり有名なパラドックスです。


2009年1月18日(日)

書籍名

不撓不屈(上・下)

著者

高杉 良

出版

新潮文庫

定価

476円*2+税

評価

☆☆☆

感想

 権力は、抗う者には牙を剥く・・・。この小説の主人公は飯塚毅という税理士ですが、この税理士が国税当局のキャリア官僚と戦い、勝利するまでを描いた実話小説です。

=あらすじ=
 税理士・飯塚毅は、中小企業のためにとった税務手法(節税手法)を税務当局から否定され(税務当局は脱税との見解)、当局を相手に訴訟を起こします。しかしながら、横暴なキャリア官僚たちはこれを許しはせず、あらゆる圧力を飯塚にかけてきます。例えば、飯塚の顧客への執拗な税務調査や、検察を使っての事務所捜査など。そして、事件はついに国会にまで持ち込まれることとなります。
 
 この小説、実話であるとともに実名小説でもあります。ですから、文中には、かの渡辺美智雄国会議員も監督官庁長官を追求する質問者として登場します。このやりとりが当時の議事録を引用しているため、その迫力たるやものすごいものがあります。渡辺美智雄の息子である喜美議員もこの血を受け継いでいるのでしょう。上巻の後半は飯塚毅の回顧録的なものになっており、少々面白味に欠けますが、下巻に入ったら一気に読み進むことになること請け合いです。オススメです!


2008年12月7日(日)

書籍名

白夜行

著者

東野 圭吾

出版

集英社文庫

定価

1,000円+税

評価

☆☆☆

感想

 この小説、東野圭吾作品の中でも秀逸、との噂を聞き、購入して読んでみました。噂に違わず面白かったです。最初は、文庫本で約4cmの厚みはあろうかという長編だったため(854頁です)、戸惑いましたが、読み進むうちにのめり込んでゆく感覚がありました。
 さて、いつものように本書の概要を書きます。
 1973年、大阪の廃墟ビルで質屋の主人が殺されているのが見つかります。容疑者は浮かぶものの、結局事件は迷宮入りとなります。主人公は、桐原亮司(被害者の息子で事件当時は小学生)と西本雪穂(容疑者となった女性の娘で、事件当時は亮司と同様に小学生)の二人。この二人、事件後は全く別々の人生を送っていくことになります。亮司が陰で、雪穂が陽、というような・・・。そして、それぞれの人生の中でいくつもの犯罪が見え隠れします。そして19年が経過。最初の事件から、ずっとその事件を追い続ける刑事(事件を追っている間に時効が成立)。物語の最後には最大のクライマックスが待っている、というような構成になっています。
 いろいろな人物が登場するので、途中で、「あれ?これって誰だったっけ?」という感じにも陥ってしまいましたが、これは、一気に読まなかったせいかもしれません。ただ、中盤からは、その面白さゆえ一気に読み終わってしまいました。息をもつかせぬ展開に一気読み、というのが正しい表現かもしれません。オススメです!評判どおりです!是非、是非、読んでみてください。
 ちなみに、この小説、何年か前にドラマ化された、との情報を得ましたので、明日あたり会社帰りにビデオ屋さんによって探してみようと思います。果たして、小説通りなのかな〜と楽しみでなりません。


2008年11月24日(月)

書籍名

パワポで極める1枚企画書

著者

竹島 眞一郎

出版

ASCII

定価

1,800円+税

評価

☆☆☆

感想

 久しぶりにビジネス書のご紹介です。
 この書籍、分かりやすくインパクトのある企画書を、パワポ1枚で仕上げるためのハウツー本です。
 企画書作成という視点ではなく、第三者への説明資料作成という視点で捉えると、日々の仕事には非常に有効な書籍だと思います。
 この本には、多種多様な作成例が掲載されているばかりでなく、作成上のロジックや見せ方のポイントなども示されており、論理的な思考が苦手の方や図表のレイアウトが不得手の方にとって、とても参考になるはずです。
 なお、この本には、600例の企画書パターンが掲載されており、そのテンプレートを出版元のサイトからダウンロードできることになっています。
 私的には、「目からウロコ」と感じるビジネス書でした。ビジネスマンの必読書、と言っても過言ではないと思います。ご一読ください。


2008年11月9日(日)

書籍名

流星の絆

著者

東野 圭吾

出版

講談社

定価

1,700円+税

評価

☆☆☆

感想

 物語の主人公は、兄の功一と弟の泰輔と妹の静奈。3人が流星群を見ようと家を抜け出している間に、両親が殺されたところからこの物語が始まります。証拠もほとんどなく犯人が捕まらないまま時は過ぎていくのですが、この3人、詐欺でお金を稼ぎながら生活を送ります。そのような中、弟の泰輔が、両親が殺された夜、家から出てきた男と偶然にも出会ってしまい・・・・。といったところがこの小説のあらすじになります。
 頭脳を駆使する功一、演技力を発揮する泰輔、美貌にものをいわせる静奈。詐欺を行う場面もおもしろいのですが、犯人と思しき人間を追い詰めていく場面もハラハラドキドキします。
 本の帯にも書いてありますが、大誤算は妹静奈の恋心。詐欺のターゲットであり、かつ、犯人と思しき人間の息子を好きになってしまいます。ターゲットに本名を名乗ってしまう場面は、言葉も出ないほどびっくりしてしまいました。
 この小説、現在ドラマ化されており、視聴率も高いそうです。僕は観た事はありませんが、小説を読んだ人はドラマを観てもおもしろくないとの噂もあり、今後も観ないような気がします。
 久々のオススメです。ご一読ください。


2008年7月21日(月)

書籍名

迷走人事

著者

高杉 良

出版

角川文庫

定価

700円

評価

感想

 「迷走人事」という題名に惹かれて購入した本ですが、はっきり言って駄作です。途中で読むのを止めようかと思ったほどです。
 あらすじは、以下のとおり。
 大手アパレルメーカーで広報主任を務める竹中麻希という女性が主人公です。会社の後継者を、息子の専務にするか、片腕として支えてきた副社長にするか揉めながらも、専務は社長就任を固辞します。一方、なぜか専務と不倫関係となった麻希は、営業部の男性からの求愛に心ゆれ始めます。働く女性の視点から、会社組織や業界の問題点を浮き彫りにした作品と言えなくもありません。
 僕の感想としては、この小説に色恋ざたは不要だったかな〜、という気がしてなりません。この著者の作品はいくつか読んだことがありますが、経済社会や会社の裏事情等に切り込んでいくという、どちらかというとハード系の作家だというイメージがありました。それだけに、今回の作品はいただけません。久々の、★です。買って損した、という感は否めないものがあります。


2008年7月12日(土)

書籍名

うちのパパが言うことには

著者

重松 清

出版

角川文庫

定価

500円

評価

☆☆☆

感想

 この文庫本の表紙に使われているのは、幼い頃の著者が父親と共に写っているモノクロ写真です。2人が取っているポーズ、昭和30年代生まれにとっては、非常に懐かしさを感じる『おそ松くん』に出てくるイヤミの「シェー」のポーズ(懐かし過ぎて泣けてしまいそうになります)。
 さて、この本に書かれていることは、僕にとってほとんど、いや、すべてが懐かしく感じました。そして一番共感できたのは次の文章です。
 「ノストラダムスの大予言が唱えた地球滅亡の1999年7月まで、あと何年。21世紀まで、あと何年。 (中略) 『宇宙戦艦ヤマト』の各回の終わりに掲げられる「地球滅亡まであと○○日」のフレーズが好きで好きでたまらなかった。 (中略) カウントダウンのタネがなくなってから、初めて気づいた。ハッピーエンドかどうかはともかくとしても、「終わり」が見えている状態というのは、案外楽だったんじゃないか。 21世紀になって、子どもの頃に思い描いていたのよりずっとガキっぽい四十歳になろうとしているいま、目の前に茫洋と広がる「終わりまでの日々」の果てしなさに、ぼくはいささか困惑しているのだ。」 
 そして、このエッセイの最後の文章はこう結ばれます。「<何がほしいんだ>――その答えは、いまもまだ、わからない。」と。

 重松氏と同じく1963年生まれの僕には、この文章、感覚的によ〜くわかります。付け加えるなら(このエッセイの中にも登場するのですが)、僕達の世代は、社会人になって就職した時、何か知らないけれど周りから「新人類」みたいなことを言われました。今思えば懐かしい話です。昭和30年代後半に生まれた諸君!オススメです!


2008年7月6日(日)

書籍名

人質カノン

著者

宮部 みゆき

出版

文藝春秋

定価

514円+税

評価

☆☆☆

感想

 宮部みゆきという小説家、僕自身、書店で目にするたび表紙がアニメチックなこともあって中身もその程度だろう、と敬遠しておりました。ところが、同僚の奨めと、あの映画化された「模倣犯」の原作者である事を知るに至り読んでみることにいたしました。そして、その一冊目がこの「人質カノン」です。
 この小説は、「人質カノン」をはじめとする全7篇の短篇集です。
全体的な感想としては、宮部みゆきという小説家、深刻な内容でも、最後には救いの手が差し伸べられることが多いので、読んでいて安心だと思います。全7篇のうち3篇がイジメに関する小説ですが、最終的にはハッピーエンド的に終結します。
 なお、表題になっている「人質カノン」ですが、小説中、カノンという言葉は一切登場しません。読む前は、カノンという女性が人質になる物語!?と予想しておりましたが、主人公は逸子、全く関係ありません。個人的に調べたら、「カノン」というのは、信仰上の言葉らしく、正典(正しい姿)を意味するらしいです。ということでこの短編にフィードバックしてみると・・・・。主人公とともに人質になった少年(深夜のコンビニで事件は起きます。)が、事件解決後駅のホームで再開する場面があるのですが、お互いを意識しつつも言葉を交わすことなくそのまま別れます。コンビニ仲間はコンビニ仲間でいるほうが良い!?それがあるべき姿・正しい姿なのかも!?僕はそのように解釈しました。


2008年6月29日(日)

書籍名

孤高のメス 第6巻

著者

大鐘 稔彦

出版

幻冬舎文庫

定価

全巻 571円+税

評価

☆☆☆

感想

 「孤高のメス」の最終巻を読みました。主人公当麻医師は、日本初の脳死肝移植を成功させるのですが、秘密裡に行ったこともあり、周囲からの反発を受けることになります。目の前で苦しんでいる患者を救うのが医者の使命であることに間違いはありませんが、倫理という壁(肝臓提供者のどの状態を「死」とみなすのか。脳死はイコール人間の死なのか。)が立ちはだかった形と言えます。
 僕自身は、脳死は死んだも同然だと考えておりますが、ごく身近な人間がそのような状態になった時、ドナーとしての臓器提供に賛成できるか、と問われれば自信はありません。いや、できないような気がします。この小説にはそれを考えさせられました。
 さて、エンディングですが、少々、僕の想像していたものとは違っておりました。ここでは書きません。是非、読んで、そして考えてみてください。人間の死とは・・・・・・・。


2008年6月15日(日)

書籍名

孤高のメス 第3巻〜第5巻

著者

大鐘 稔彦

出版

幻冬舎文庫

定価

全巻 571円+税

評価

☆☆☆

感想

 週末の土・日で3巻を読破いたしました。読み始めたら、そのスリリングなストーリーに引き込まれて止まらなくなる、という感じです。
 第3巻は、本邦初の生体肝移植であり、それも移植を受けるのは幼児、という話。第4巻は、第3巻で移植手術を受けた幼児が、喜びも束の間、容態が悪化していき、死を迎える事になるのですが、それが主人公である当麻医師の手術に原因があるように仕向けられる話。そして第5巻は、当麻医師が、脳死肝移植に挑んでいく話となっています。
 地方病院で奮闘する当麻医師と、大学病院のドロドロとした関係が描かれている作品です。教授選の話もあり、かの有名な「白い巨塔」を髣髴とさせる場面もありますが、この小説は、あくまで”人の命を救うということの大事さと、人間の死はどの時点なのか”ということを考えさせてくれる作品といえます。いよいよ、次は第6巻(最終巻)です。どういうエンディングになるのか楽しみでなりません。


2008年5月3日(土)

書籍名

水曜の朝、午前三時

著者

蓮見 圭一

出版

新潮文庫

定価

476円+税

評価

感想

 久しぶりにビジネス書ではなく文庫本です。この本が積まれていたところに、某有名な俳優の紹介文で、「飛行機の中で読みましたが、読み終わった時、とめどなく涙が溢れてきました。」とのこと。この言葉に惹かれて購入しましたが、読み終わっても特にこれといった感動はありませんでした。僕の感性が鈍っているのでしょうか・・・。
 この小説、45歳の若さで逝った女性翻訳家が、娘のために、「もしあの時、好きだった恋人と結婚して別の人生を歩んでいたら・・・」というようなテープを遺し、そのテープの内容を活字にしたような感じです。
 たぶん、この小説で読者に送ったメッセージは、明らかに次の言葉だと思われます。
「何にもまして重要なのは内心の訴えなのです。あなたは何をしたいのか。何になりたいのか。どういう人間として、どんな人生を送りたいのか。それは一時的な気の迷いなのか、それともやむにやまれぬ本能の訴えなのか。耳を澄まして、じっと自分の声を聞くことです。歩き出すのは、それからでも遅くはないのだから。」。
 この言葉にぐっとくる人は、この文庫本を読んでみてもよいかもしれません。


2008年3月30日(日)

書籍名

論理的な作文・小論文を書く方法

著者

小野田 博一

出版

日本実業出版社

定価

1,300円+税

評価

☆☆☆

感想

 私、仕事の関係で、学術論文を書かなくてはいけなくなりました。企画書などは頻繁に書いておりましたが、学術論文執筆なんて大学以来だと思います。
 ということで、何かしら参考図書はないものかと九段にある書店で探しているうちに見つけたのがこの書籍です。
 この書籍には、説得力ある論文の書き方や、論文によくある欠点が記載されているのに加えサンプル文例も示されています。私としては非常にわかりやすいノウハウ本でした。多分、対象としている読者は大学生のように感じられましたが、ビジネスマンにとっても有益だと思います。
 論文作成にあたりよく言われることではありますが、論文には「核」がなければダメで、さらには、読み手に問いかけてはダメ、ということが書かれています。全く同感です。
 さらにこの書籍では、言いたい長文を短くする方法についても解説されております。
 永久保存版的な書籍と感じましたので、私の評価は☆3つとさせていただきました。


2008年1月14日(月)

書籍名

マッキンゼー流図解の技術ワークブック

著者

ジーン・ゼラズニー

出版

東洋経済新報社

定価

1,500円+税

評価

☆☆☆

感想

 この書籍は、プレゼンテーション用の図やグラフを、いかに説得力をもって作成するかの演習問題が書かれています。
 全部で24題ありますが、私は2題しか正解できませんでした。解答をみると、「なるほどね〜。」と感心してしまいます。ただ、いずれにしても、作成する図表で自分が何を言いたいのかを、一番最初にじっくりと考えることがいかに重要であるかを痛感しました。
 なお、後悔先にたたず、ではありますが、このワークブックを購入する前に「マッキンゼー流図解の技術」を買って読むべきだったかもしれないと感じました。今回は、ノウハウもないのにいきなり問題を解く、という暴挙に出たようなものです。
 しかしながら、何回かこの本を読み直して(解き直して!?)いるうちにノウハウは身につくような気もします。
 プレゼンを生業(なりわい)としているビジネスマン諸君!必読書と言っても過言ではありません。


2007年12月2日(日)

書籍名

ロジカル・シンキング入門

著者

茂木 秀昭

出版

日経文庫

定価

830円+税

評価

☆☆☆

感想

 今回は、ビジネス本というかスキルアップ本です。
 ロジカル・シンキング、いわゆる、論理的思考とはいかなるものかを紹介しつつ、実例を挙げながらわかりやすく説明してくれている書籍といえましょう。
 この本を読むと、問題解決、意思決定、企画立案などのビジネスの現場において、論理的思考や批判的思考(クリティカル・シンキング)を具体的にどう役立てるかがよく理解できます。
 しかしながら、私が読み終えて感じたことは、この本の内容を頭でわかるだけではダメで、実際に使ってみて初めてロジカル・シンキングが身についたといえるのではないか、ということです。
 ロジカル・シンキングの入口としては、私的に非常にオススメの内容・量だと感じています。ビジネスマン諸君!是非、ご一読を!


2007年11月18日(日)

書籍名

キャンペーン生活!クイズドリル

著者

出版

定価

非売品

評価

☆☆☆

感想

 「キャンペーン生活」なるサイトで高額商品を獲得するための虎の巻です。雑学的な知識が増えるとともに商品ゲット、まさに一石二鳥といえるでしょう。
 はっきり言って、このドリルの予習なしに高額商品を獲得するのは非常に難しいと思います。
 例えば、このドリルの中に掲載されているクイズを紹介してみると、

 ・「日経エンタテイメント!」2004年4月号の記事によると、ハリウッド女優を対象とした、「好きな女優ランキング」の第6位にランクインした女優とは、次のうち誰でしょう?
A:ナタリー・ポートマン,B:リブ・タイラー,C:カトリーヌ・ドヌーブ
D:ニコール・キッドマン,E:キャメロン・ディアス

です。
 いかがです!?虎の巻なしに正解できる自信ありますか?ちなみに、上記クイズの正解は、D:ニコール・キッドマンです。
 そのほかにも非常にマニアックなクイズ満載といえましょう。オススメの書籍というよりも、「キャンペーン生活」で商品をゲットするための必需品です。


2007年10月27日(日)

書籍名

頭のいい人がしている整理・ファイリング術

著者

桃山 透

出版

ぱる出版

定価

1400円+税

評価

☆☆

感想

 はっきり言って、私的にはイマイチという感じの書籍でした。
 目新しさがなかったというか、当たり前のことと感じることが書き連ねられている感があったということです。
 唯一、これだけはいいことなのかもしれない、と思ったのは、「クリアフォルダーの使い方」という部分です。これは、仕事の緊急性ごとにクリアフォルダーの色を使い分けるというものです。
 これは実際にやってみようと思いました。実際に効率化が図れたら、友人・知人にも紹介しようと思います。
 評価的には、料金の価値アリ、としました。普段、自分の机や机の周りが乱雑な状態になっている方にとっては、料金以上の価値があるかもしれませんよ。


2007年10月21日(日)

書籍名

レバレッジ勉強法

著者

本田 直之

出版

大和書房

定価

1300円+税

評価

☆☆☆

感想

 最近、このサイトで紹介頻度の高いビジネス本です。前回、一気に読み進もうと宣言した「孤高のメス」は一時お休み、という感じです。
 さて、この書籍の表紙裏には、以下の文言が書かれています。
「勉強とは、わたしのような怠け者が、ラクに、最短距離で、最大限の成果を得る唯一の方法です。勉強は、やらないよりは、やったほうが絶対にトクなのです。」と。
 これに惹かれて購入してしまった次第です。
 そして、その中味ですが、頷く(うなずく)場面が多々あります。
 以下に、その文章を列挙してみますので、読んでみてください。
・ストック型人生を送るためには、レバレッジをかけた勉強を!
・成果につながらない残業は、自分にとっても会社にとっても時間とコストの無駄
・「苦しむ」=「努力する」という誤解
・誰にでもできる仕事はアウトソーシング(バイト等,外注)
・ビジネス書は、大人にとっての合格体験記
・営業の知恵とは、「お客さんに売り込む営業」ではなく「お客さんが買いたがる」営業
・人脈を構築するためにはコントリビューション(貢献)
・自分が自分に課すアクティブノルマが重要
・やる気がなくても作業を開始すると、脳の側座核が興奮してやる気が出てくる
・早起きすると睡眠のリズムが整う→早朝に自己投資(読書等)
・記憶は、寝る直前に頭に入れ、朝起きてすぐ復習
・規則正しく休憩
・仕事のポイントは、具体的かつ小さな目標を積み上げる事
 さて、いかがでしょうか。
 私的にはものすごくオススメの書籍です。是非、ご一読を!


2007年9月30日(日)

書籍名

孤高のメス 第2巻

著者

大鐘 稔彦

出版

幻冬舎文庫

定価

571円+税

評価

☆☆☆

感想

 さて、「孤高のメス」第2巻となりました。
 当巻は、肝臓移植がテーマとなっております。脳死によるドナーからの移植か、生体肝移植か、いずれにしても倫理的な問題を問われる手術。
 筆者は、この小説を通じて、「人の命」がいかにあるべきかを説いているような気がします。
 今回の患者は、二歳の幼児。手術をしなければ肝硬変になって死に至る事は必至という設定です。大学側は、倫理の問題や手術の失敗を恐れます。しかし、この巻で登場する近江大の実川助教授とともに、当麻医師の苦闘が始まることとなるわけです。
 いよいよおもしろくなってまいりました。ここから、一気果敢に最終巻へと読み進もうと考えております。


2007年9月24日(月)

書籍名

孤高のメス 第1巻

著者

大鐘 稔彦

出版

幻冬舎文庫

定価

571円+税

評価

☆☆☆

感想

 この小説、「白い巨塔 山崎豊子作」が好きな人であれば、確実に好きになると思います。「白い巨塔」と内容が似ている、というわけではなく、医学会を舞台に、天才外科医当麻鉄彦が孤軍奮闘する様を描いた小説です。この第1巻は、将来を嘱望されながら大学病院を飛び出した当麻鉄彦が、武者修行ともいえる国内外の旅に出て、その腕を超一流のものとした後、琵琶湖のほとりの民間病院勤務に自ら志願し、これまでその病院では100%無理とされていた難手術を手がけ、患者達の命を救っていく過程がメインで描かれています。
 著者は、現役の医師だそうで、小説中、医学用語が飛び交いますが、難解ということなく、逆にそれが小説の臨場感を高めているともいえます。この第1巻を読み終えると、すかさず第2巻を読みたいという衝動に駆られるはずです。興味のある方は読んでみてください。


2007年9月9日(日)

書籍名

世界一やさしい問題解決の授業

著者

渡辺 健介

出版

ダイヤモンド社

定価

1200円+税

評価

☆☆☆

感想

 この書籍は、著者がマッキンゼーの会社に勤めていた時に学んだことを、中高生にも理解しやすいように、マンガ絵を入れながら、身近な例をあげ、問題に対する解決策の考え方を教えてくれているものです。
 身近な例、その1は、バンドを立ち上げても、なかなか人が集まってくれない。さて、どのようにすればより多くの人がバンドを観にきてくれるのか。
 その2は、どうしても6ヵ月後にはパソコンを手に入れたい。その子が計画したことのプロセスはいかなるものか。
 著者は、問題の原因がなんなのか、「分解の木」を使って原因を追及していく方法や、問題の原因の仮説を立てる方法、マトリックスを使い、最適な解決法を選び出す方法など、その思考方法を本当にわかりやすく説明してくれています。
 中高生以外に、確実に大人の方にもお勧めできる書籍です。 ご一読ください。


2007年9月1日(土)

書籍名

頭がいい人、悪い人の仕事術

著者

ブライアン・トレーシー

出版

アスコム

定価

1000円+税

評価

☆☆☆

感想

 現在勤務している出向先の上司から薦められて読んだ本です。
 著者は、アメリカで企業コンサルタントとして活躍している方ですので、本書の全体を通して、”米国としての効率的仕事術”と感じられるのは否めません。しかしながら、文化的な違いはあれど、「なるほど。」と感心させられる箇所はあります。
 僕としては、以下の3点が「なるほど」と感じた代表的箇所です。
@「コーポレート・トリアージ」を実践しよう!
 これは、自分の会社や製品、サービスを、「勝ち組」「生き残り組」「負け組」に分類する癖をつけ、優先順位を決定するべきというものです。
A優秀な管理職は、結論を下す前に質問時間をとれ!
 これは、部下とのコミュニケーションの一環として記載されている部分ですが、要は、信頼している部下が成果としてあげてきたものであっても、常に、「これには根拠があるのか?」と問いかけることを覚えておきなさい、というものです。
BOPIR法
 これは、効率的な読書法として書かれているものです。
 O:Over View(概要把握)→まずは、書籍の表紙・裏表紙・目次・図表のレイアウトを見る。
 P:Preview(下読み)→ページを一通りめくり、レイアウトや内容を、より深く把握。
   各章の冒頭文や見出し、概要を読む。
 I:Inview(本読み)→本腰を入れて1ページずつすばやく読む。
   概要は把握しているため、かなり早く読めるはず。
   この時点で、大事な箇所にアンダーライン等の印を入れたりメモをとる。
 R:Review(仕上げ読み)→もう一度最初からページをめくっていき、印を付けた箇所のみを
   反復して読む。
 この方法で専門書等の読書をすると、300ページの本を読むのに費やしていた時間が、約8時間から2〜3時間に短縮されるそうです。本当かどうかわかりませんが、実践してみる価値はありそうです。

 この書籍の根底に共通して流れている概念は、「時間(効率的な時間の作り方、使い方)」です。前向きなイメージで読むことで、何かが開けてくると感じられる本です。
 そして、この書籍の帯に書かれている文句は、

 ・あなたの上司の説教はマチガイだらけです!

 友人・知人の皆様!オススメします。できれば、ご一読ください。


2007年8月12日(日)

書籍名

機長からアナウンス 第2便

著者

内田 幹樹

出版

新潮文庫

定価

400円+税

評価

☆☆

感想

 この書籍の前段である「機長からアナウンス」を読んだときのような感激はありませんでした。内容的には、操縦士たちがヒヤリとした時の状況や会話などがほとんどを占めております。航行中の機体への落雷,着陸時に車輪が出なかったときのこと,急病人が発生したときのこと、等です。その他、名物機長やCAさんのことだったり、各空港の事情も出てきますが、僕的には面白味に欠けました。
 評価は☆☆にしていますが、厳密には、☆と☆☆の中間というところです。


2007年7月16日(日)

書籍名

1ポンドの悲しみ

著者

石田 衣良

出版

集英社文庫

定価

457円+税

評価

☆☆

感想

 10編から成る短編集です。表題になっている「1ポンドの悲しみ」という小説は、遠距離恋愛をしているカップルの切ない物語です。僕は、この小説よりも、「誰かのウェディング」のほうが楽しめました。これは、ウェディングプランナーという仕事をしている独身女性が、やっと恋人をみつけるまでの過程を描いたものです。
 この石田衣良という著者は、かの有名な「池袋ウェストゲートパーク」を書いた人です。若者向けの小説を書く人だと思っていたのですが、この小説は、それを払拭させてくれました。
 オススメにしようかとも思いましたが、僕的には、ちょっと読み応えのなさ(短編だったからかもしれませんが)が不満といえば不満だったため、☆ふたつという評価にさせていただきました。


2007年6月24日(日)

書籍名

深追い

著者

横山 秀夫

出版

新潮文庫

定価

552円+税

評価

☆☆☆

感想

 この本は、表題となっている「深追い」をはじめとして、他6編から成る短編集です。登場人物が違いながらも、小説の舞台はすべて”三ツ鐘警察署”。 どれもこれも楽しめましたが、やはり、「深追い」が一番でした。
 この「深追い」という物語は、主人公である交通事故係の秋葉が、知らず知らずのうちに、かつての同級生の女性を追い込んでいく、という話です。きっかけは、夫が不慮の死を遂げたにもかかわらず、ポケットベル(秋葉が事故後に回収)にひたすらメッセージを送信し続ける女性(これがかつての同級生だった)に疑問を感じるところにありました。結末は、なるほどね〜と感心させられます。ミステリー小説なので、こと詳細は書けませんが、オススメです。


2007年6月3日(日)

書籍名

死亡推定時刻

著者

 朔 立木

出版

光文社文庫

定価

743円+税

評価

☆☆☆

感想

 この書籍、会社の同僚から借りて読みました。借りる時に、オススメだよ!と言われたこともあって期待に胸膨らませて読みましたが、その期待は裏切りませんでした。ものすごくおもしろい推理小説です。
 山梨県で、地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が勃発。母親が、警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗に終わります。そして間もなく、少女は死体で発見され、県警は、少女の遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕し、かつ、執拗な取調べで自白に追い込んでしまいます。そして、裁判へと突入。青年の有罪は確定してしまうのか!?そして、真犯人は誰なのか?というようなストーリーです。
 読み始めたら止まらなくなる事、請け合いです。そして、必ずや感じる事でしょう。「日本の裁判って、これでいいのか!?」と。
 間違いありません。オススメです。


2007年5月6日(日)

書籍名

月島慕情

著者

 浅田 次郎

出版

文藝春秋

定価

1429円+税

評価

☆☆☆

感想

 どうしても読みたい衝動にかられ、単行本で購入しました。この単行本、書籍題名の「月島慕情」を含め、「供物」,「雪鰻」,「インセクト」,「冬の星座」,「めぐりあい」,「シューシャインボーイ」の7編から成る短編集です。
 そのうち、何篇かを紹介すると・・・・・・・・・
 「月島慕情」は、農村から買われた少女が、やがては吉原一の花魁となり、ある日、引き取り手となった男性のいる月島へと訪れ、思いがけない光景を目にして、再び、体を売る商売へともどる物語。
 「雪鰻」は、ある雪の日、自衛隊の上官が、ある部下に、戦時中の体験談を織り交ぜながら、なぜ自分が鰻を食べなくなったかを話して聞かせる物語。
 「インセクト」は、虫(インセクト)好きなある学生の、学生運動時代の苦悩物語。
 「シューシャインボーイ」は、靴磨きから出世し今や馬主となった男が、その男の育ての親ともいうべき老人との関係を、お抱え運転手となった元銀行マンに語り、最後に運転手を社長に推薦する、という物語。
 どの作品も、浅田次郎ならではの秀逸なものとなっています。ご一読を。


2007年5月5日(土)

書籍名

そのときは彼によろしく

著者

 市川 拓司

出版

小学館文庫

定価

657円+税

評価

☆☆☆

感想

 知っている人は知っている著者、”市川拓司”の作品。ドラマや映画で話題になった「いま、会いにゆきます」の原作者です。
 結論から書くと、すごく良かったです。感動モノでした。そして、エンディングも期待を裏切りませんでした。
 あらすじはいかのとおり。
 小さなアクアプラントショップを営む主人公遠山智史(さとし)の前に、ある日、森川鈴音という女性が現れ、その店でアルバイトすることになります。この女性、知る人ぞ知る有名モデルなのですが、そういうことに興味のない智史は、こともなげに雇い入れ、周りから驚かれたりします。実は、この女性、本名は森川花梨(かりん)といい、智史とは15年も前の友達。智史は、インターネットの結婚相談所から紹介された女性とデートを重ね、楽しかった15年前の思い出をいろいろと相手方に話しているとき、突然気づきます。鈴音が花梨だと。そして、智史と花梨の二人には、思いがけない運命が・・・・・。
 とにかく、読んでみていただきたいと思います。読んでいる途中で、じ〜んとする場面が随処にあり、感動のラストを迎える、というような構成です。オススメです。


2007年4月8日(日)

書籍名

アキレスと亀

著者

 清水 義範

出版

角川文庫

定価

456円+税

評価

☆☆

感想

 「アキレスと亀」この題名に惹かれて購入しました。理系の人であればたいてい知っている”アキレスと亀の理論”。アキレスという人物と亀が競争しても、アキレスは一生、亀を追い抜く事はできない、という有名な理論です。興味のある人は、関連書籍が多数あるかと思いますので、そちらで御覧下さい。
 さて、この書籍、「アキレスと亀」のほか、8編を収録した短編集です。
 日本の政治家と外国の政治家が、通訳を介して会話しているうちに、どんどんと話が本題とは別の方向にエスカレートしていき、最後には決裂してしまう「決裂」という物語。マラソンの中継を、あくまで日本びいきに放送する「偏向放送」という物語。交通事故にあった自分の息子を見舞いに行き、出合った主治医が、昔自分のいじめたことのある生徒だったことを思い知らされる「復讐病棟」という物語。
 どれもこれも楽しんで読むことができました。やはり、中でも、「アキレスと亀」は面白かったです。サラリーマンなら、必ずや吹き出してしまうこと請け合いです。


2007年4月2日(月)

書籍名

波のうえの魔術師

著者

 石田 衣良

出版

文春文庫

定価

476円+税

評価

☆☆

感想

 石田衣良作品を読むのは初めてのような気がします。この著者が、ドラマ化された「池袋ウェストゲートパーク」の著者であることは知っておりました。今どきの若者に共感される小説を書く人、そういう知識しかなかった僕です。
 さて、この「波のうえの魔術師」という作品。とある若者(大学を卒業しつつも、何をやればよいのかわからず、日々パチンコ屋に入り浸る生活を送っていました)が、ある日、謎の老人に声をかけられ、株式のノウハウを叩き込まれ、最終的には、老人と一緒になって、ある銀行をおとしめようと綿密な計画を打ちたて、実行に移す、というような物語です。小説のところどころに経済用語というか株式用語が出てきて、株をやっていない僕にとってはチンプンカンプンなところもありましたが、ストーリー自体はとてもスリリングです。一気に読んでしまいました。
 現金が動くことなく儲けたり損したり・・・・。実際に、そういうことをしている株主がいることは、想像に難くありません。最近の流行り言葉に、”デイ・トレーダー”というのもありますし。ある意味、ゲーム感覚なのかもしれません。僕には絶対にできません。案外、アナログな人間ですから(笑)。


2007年3月11日(日)

書籍名

姫椿

著者

浅田 次郎

出版

文春文庫

定価

514円+税

評価

☆☆☆

感想

 先週に続いての浅田次郎作品です。今回は、8作品から成る短編集です。
 本の題名にもなっている”姫椿”という作品は、会社の経営に行き詰まって死に場所を探す社長が、ふっと思いついた昔住んでいたアパート近所の銭湯へ行き、生きる勇気をもらうというものです。
 僕が気に入った作品は、”永遠の緑”という作品です。妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学の助教授が、ある日、競馬場で解体屋の若者と出会い、流れで酒を飲み交わし、ぐでんぐでんに酔っ払った助教授を若者が自宅まで送っていくのですが、なんと、偶然にも、その若者は、助教授の娘の恋人だったというお話。
 浅田次郎作品は、読みやすさもありながら、ストーリー展開も楽しめます。長編も良いけれど、短編もなかなかです。


2007年3月4日(日)

書籍名

天国までの百マイル

著者

浅田 次郎

出版

朝日文庫

定価

476円+税

評価

☆☆☆

感想

 久しぶりの浅田次郎作品。期待は裏切りませんでした。
 あらすじは、バブル崩壊で破産者になった主人公城所安男が、心臓病の母の命を救うため、心臓手術では神ともいわれている医者のいる千葉県鴨川の”サン・マルコ病院”をめざして、ワゴン車に母親を乗せてひたすら駆ける、というものです。ただ、ただ、奇跡を信じ、百マイルを走るのです。主人公には、兄が2人、姉が1人いるのですが、この兄と姉は、内科的な延命治療で、死ぬのを待つしかないという考え方。これに、主人公が反発するという形ではありますが、車中で母親は、安男にこう言います。「お兄ちゃんやお姉ちゃんが言うことは、決して間違っていないよ。」と。そして、少しでも早く病院に着こうと運転する安男に、「やっちゃん、おなか空いたでしょう!?」と言い、安男が、「いいよ、早く病院に着かなきゃ、母ちゃんが心配だから。」と言うと、「お母ちゃんがおなか空いたの。お願い、どこかで食べさせて。」とお願いしながら、ドライブ・インで、定食の刺身一切れしか食べない母親。この辺のやりとりが、僕にはたまりませんでした。親の気持ちってこういうもので、自分が食べなくても子どもには何とか食べさせようとする気持ちが手に取るようにわかったから。
 サン・マルコ病院に着いてからの、心臓外科医と安男、母親のやりとりも、涙ものです。オススメです!是非、読んでみてください。感動すること、必至です。


2007年2月25日(日)

書籍名

殺人病院

著者

五島 誠二

出版

彩図社

定価

571円+税

評価

☆☆

感想

 この本は、妻が読み終えたものを拝借したものです。
 表紙の帯に書かれているように、「医療関係者が書いた衝撃のノンフィクション」ですが、中身は、告発本といっても過言ではありません。そして、これからの時代、自らで身を守っていかなければならない、と感じたのも事実です。
 目次の中のいくつかを以下に列挙してみましょう。
・手術ミスはこうして隠される
・ウソで丸め込まれる患者たち
・水質検査は常に偽装する
・治療費はこうして水増しされる
・偽装名簿で金儲け
 どうですか!?興味がわいてきませんか!?この著者は医療事務に携わっている方のようで、その内容は説得力があります。この書籍に書かれている病院が特殊なのだ、と思いたいところですが、そうでもないようです。よく、ニュースで、誤診とか医療過誤裁判とかを見聞きすることが多くなってきているように感じるのは僕だけでしょうか。ニュースで取り上げられているのは、氷山の一角かもしれませんよ。


2007年2月18日(日)

書籍名

華麗なる一族

著者

山崎 豊子

出版

新潮文庫

定価

(上)819円+税
(中)781円+税
(下)743円+税

評価

☆☆☆

感想

 2月前半から半ばにかけて、出張先のホテルで少しずつ読んだ本です。今、テレビで放映している「華麗なる一族」、放映終了前に読破しちゃいました。
 華麗なる一族とは、関西の財閥、万俵(まんぴょう)一族です。首長は、一族の長、万俵大介で、阪神銀行の頭取。主人公は、大介の長男、鉄平で、三十代ながら阪神特殊鋼(阪神銀行系列の会社)の専務を担っています。その他、次男の銀平(阪神銀行勤務)や長女の一子、次女の二子(つぎこ)、三女の三子(みつこ)、そして、執事役でもあり大介の妾でもある高須相子が登場し、各人それぞれの人間模様を繰り広げるという小説になっています。
 ここでは書きませんが、この物語のエンディングは、かなり壮絶です。思わず、「え〜、こんな展開なの!?」と驚くこと間違いありません。
 小説とドラマ、どちらがおもしろいか、今後のドラマを観て判断したいと思います。小説は、非常に楽しめました。オススメです。