さて、日本中を旅行していると色々な出来事に遭遇いたします。その 中には、危険な目にあったことや、ラッキーなことも、そしてムフフな ことも…(^^;)  私の旅行の体験談を「藤次郎旅行記」とでも題して書き込んでいきた いと思います…(^^;)。  今回は、私の友人達から聞いた話をしましょう… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 番外編 第1話 「流行を先取りしすぎた男達」  今から数年ほど前、”杜仲茶”と言うお茶が流行しました。  中国の人に言わせるとこの”杜仲茶”はお茶ではないと言っています が、柿の葉やドクダミの葉を煎じた物を”お茶”と呼んでいる日本では、 ”お茶”の部類に入ると思います。  この杜仲茶の効用は、烏龍茶と違い体内の脂を取るというふれこみで ダイエット茶として日本で売られましたが詳細には違うそうです。  この”杜仲茶”を日本で最初に商業ベースに乗せたのは、日立系列の 会社だそうです。  この”杜仲茶”を今から約十数年も前に既に味わった友人達が居まし た…  今から、十数年ほど前のGWに高校時代の友人4人が紀伊半島を目指 して出発していきました。  私も誘われましたが、私は生憎、GWも仕事の都合で家に待機してい なくてはならなかったので、この旅行に行けませんでした。  伊勢神宮参拝後、その日の宿は伊勢神宮内宮の門前町にある民宿”星 出館”。  建物の周りが葉っぱに覆われた古びた宿だそうです。  この宿の予約は学生時代からお世話になっている日本民宿センターで、 予約は出発の2週間前だったそうです。  民宿の玄関を一歩くぐると、そこには日本語と英語が書かれたプレー トがあったそうです。  友人達は最初「さすが伊勢神宮、海外の旅行客も多いんだなぁ…」と、 思ったそうです。  通された部屋に入ると、壁のあちこちに何かの葉っぱの写真が貼って あり、その一つ一つに日本語と英語の説明がしてあったそうです。  その写真の葉っぱが宿の建物を覆っている葉っぱと判ったのは、暫く 経ってからでした…  その日の夕食、東京からの長旅で腹が空いていた友人一同、宿の人が 持ってきた飯櫃を友人の一人が開けて中を覗き込んだ瞬間!  「…」  覗き込んだ友人は無言のまま飯櫃の蓋を閉めるとササッと後ずさりを しました。  その光景を見て不審に思った別の友人、何があったのかと思い、飯櫃 の蓋を開けてビックリ!その中には部屋のあちこちに貼ってある写真の 葉っぱの入った炊き込みご飯があったそうです。  写真の葉っぱが食べられるとは知らなかった友人一同、驚きはこれだ けではありませんでした。  次から次ぎへと運ばれてくるおかずはみんな写真の葉っぱが使われて いました。  そして食膳が整ったとき、彼らの脳裏に一生消えることのない情報が インプットされたのです。  …それは、宿のおばさんがこの葉っぱについて長々と講義を始めたの です…  それによりますと、  「この葉っぱは”杜仲”と言う木の葉っぱでな、体に大変良い葉っぱな んじゃ。ほーれこうしてみるとなぁ…」  と言っておばさんは葉っぱをちぎって  「ほーれ、こうして糸を引くじゃろ…この糸を引くのがいいんじゃ」 と言って、実演までしてくれました。  友人達は、「これのなにがいいんだか…」と思いつつ話を聞いていま した。  「こんなんだから、この葉っぱは虫もくわんのじゃ」 と言いました。それを聞いた友人一同  「虫もくわん物をくわせんじゃねぇ!」 と思いましたが、そのまま黙って聞いていたそうです。  その話によると、案の定、今夜の食事は全部「杜仲」の葉の料理で、 食後のお茶まで”杜仲”のお茶だと言っていました。  …そして最後に…  「この”杜仲”は来年辺り絶対流行る!」 と得意満面で言い切ったそうです。  …ま、確かに流行りましたね…数年掛かったけど…  友人一同、その長々とした講義にうんざりして、不味い”杜仲の葉” 料理をそこそこに食べ、その日は早々に寝て翌日朝一番で出立すると、 即、飲食店に入り、腹一杯ご飯を食べたそうです。  …以来、友人達に”杜仲茶”を勧めても、彼らはかたくなに拒否して しまいます。  それどころか、友人達は最近私の家には立ち寄らなくなりました…な ぜなら、私の家には”杜仲茶”あるからです。  …私?私は”杜仲茶”大好きです。今でも、中華街から買ってきては、 ”杜仲茶”を時々飲んでいます。  …実は、この話には、後日談があります。  数年後、別の所に旅行に行くので宿の手配をしに日本民宿センターに 行ったときのこと。  その時は私もいました。  ある程度宿の予約が取れ、民宿センターのおじさんと雑談していると きのこと、  「いやーー、予定していた宿がちゃんと取れて良かった…」  「ほんと、数年前に言ったときは大変な目にあったならなぁ…」 と友人達が口々に言っていたのを受けて  「それ、”星出館”でしょ?」 と、私達が場所も言わないのに、民宿センターのおじさんが言い当てて、 驚いている友人一同に対し、  「いやぁーー、外人さんには結構好評なんですけどね…」 と笑って言いました。  …と、言うことは、”星出館”であんな思いをしたのは私の友人達だ けでは無いと言うことでしょうね… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。