さて、日本中を旅行していると色々な出来事に遭遇いたします。その 中には、危険な目にあったことや、ラッキーなことも、そしてムフフな ことも…(^^;)  私の旅行の体験談を「藤次郎旅行記」とでも題して書き込んでいきた いと思います…(^^;)。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 第9話 「寝台特急の一夜 =後編=」  OLのお姉様方が賑やかに去って言った後、しばらくの静寂がきまし た。  窓の外を見ると丁度、下りの”はやぶさ”が引き込み線で待機してい るが見えました。  (へーえ!”はやぶさは”一本じゃないんだ…)  まあ、思えば”はやぶさ”は”東京駅”〜”西鹿児島駅”間をおよそ 22時間で走るのだから、一本ではやってられないのですが…  私は、読みかけの漫画を再び読みだしました。  列車は”熊本駅”に到着し、そこでまた、大勢の乗客が乗り込んで来 ました。  寝台特急列車とは言っても、夜7時から翌日の7時(だったかな?) 以外は、特急券のみでの乗車が可能ですから、昼間は寝台定員以上の乗 客が乗り込む事になります。  列車が”熊本駅”を出発すると同時に、私の向かいの席に可愛い姉弟 が乗り込んで来ました。  姉の方は小学校の高学年か中学生位,弟の方はまだ小学校の低学年位 です。  その子達の親は隣のボックスにいて、親戚か友人らしき人物達と盛ん におしゃべりをしています。  私は、別段気にせず相変わらず漫画を読んでいましたが、弟の方が盛 んに姉をせっついてなにやら話している様子。  そのうち、  「…おねえちゃん、あの漫画読みたい…」 と、私の耳に入りました。  姉の方は、そうゆう弟を小声で宥めているようでした…  弟の方の視線が気になりだした私は、  「ぼうや、漫画貸してあげようか?」 と一言言って、私の横に積んである漫画,雑誌を指さした。  「ほんと?おにいちゃんありがとう!」  弟の方はもう借りられる気になって喜んでいましたが、姉の方が弟を 牽制して、  「でも…、いいんですか?」  「ええ」  「すみません…」  と言って、私の差し出す漫画本を受け取った。  そうしてしばらく漫画を読んでいて、ふとトイレに行こうとして席を 立つとき、ふと見ると姉の方が夢中で私の漫画本を読んでいました。  私とその姉弟は仲良くなり、姉弟にお菓子をもらったり、私がジュー スをあげたりしている内に列車は”博多駅”に到着しました。  姉弟はそこで降りましたが、降りるときその子達の母親が私に丁寧な 挨拶をして行きました。  姉弟に手を降って見送られた私の乗った列車は”博多駅”を出発しま した。  時間としては6時頃だったので、食堂車に食事に行きました。  食事をしながら、私の下宿を見送り(当時私の居た下宿先は、鹿児島 本線沿いにありました。)列車は”小倉駅”に到着しました。  ”小倉駅”〜”下関駅”の間にある関門トンネルを通過する場合、寝 台列車は皆このトンネル専用に製造された機関車を接続します。  関門トンネルを通過し、”広島駅”に向かう途中で列車の職員がベッ トメイクにきます。  とはいっても、実際には上段のベットにある枕,毛布,敷布,浴衣を 下に下ろし、敷布を敷いただけですが…  そして、”広島駅”到着前に消灯になります。(但し、この辺は記憶 が曖昧で、ひょっとしたら時間がずれているかも知れません…)  寝る前にトイレに行った時、昼間のお姉様の一人と再会しまして、ま たしばらくその場でおしゃべりをしていました。  「ボク、こっちに遊びにおいでよ!」  「でも…遠慮します…」  本当は遊びに行きたい気持ちがあったのだが、実の所自分の荷物が気 になってしかたがなかったのです…  と言うのも、私の荷物の中に学校の書類等やテレビ付きラジカセなど があり、置き引きを警戒していたからです。  遊びたい気持ちをあきらめて、席に戻った私に、今度はお姉様の方で 遊びにきてくれました。  幸い、私のいるボックスには私一人しか居なかったため、 そこでトランプなどやって遊んでいました。  お姉様方は、お酒が入っているらしく、浴衣は少々乱れて下着が見え ていました…  かなり遅くまで?(”京都駅”に付いたのを覚えていますから…)遊 んでお姉様方は自分の寝台に帰って行きました…  私、寝台車はこの”はやぶさ”以前に”さくら”に乗った事があり、 そのとき、列車が駅に到着し発車する度に発車の衝撃で目が覚めてしま い、よく眠れなかった経験があります。  今回も、このことを覚悟していましたが、実際には目の覚める事もな く、快適な睡眠を取る事が出来ました。(まあ、あんだけ夜更かしして れば…(^^;))  翌日、目が覚めてみると、列車は既に”静岡駅”を出発した後で、私 は、  (お姉様方はもう降りちゃたんだな…(;_;))と思いました。  今思えば、なんと惜しい事をした事か…  「まあ、これも青春の1ページさ」と開き直っています…(^^;) 「終わり」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。