藤次郎夜話「兵隊の霊」  私の隣にある寺には、そこの住職の息子が私と同じ年であり、遊び相手であった ため、子供の頃よく遊びに行ったものです。  当然、夏の暑い頃になると住職やその家族が怪談話を聞かせてくれました…  よく8月15日の終戦記念日に、住職の息子が私に話してくれた話です。  ある夏の夜、何かに呼ばれた気がして目が覚めた彼は、天井に白いものが浮かん でいるのに気がつきました…  注意してよく見てみると、それは上半身だけの男の姿をしており、その格好は、 写真で見た旧日本陸軍の兵隊だったそうです。  なにがなんだかわからないまま、茫然とその霊を見ていると、その霊は彼に語り 掛けてきました。  「自分は、旧日本帝国陸軍(部隊名略)伍長**であります。」 と、言って消えたそうです。(本当は、あと2,3言話したそうですが、彼は覚え ていないそうです)  翌日の朝、とりあえず彼の父親(寺の住職)に話をしました…  数日後、石屋さんが来てお墓の手入れをしていると、墓の下から鉄兜が出てきた そうです。  その墓は、先日出てきた旧日本陸軍の兵隊さん墓だったそうです。  その場でお経をあげてあげたとか…  その後その兵隊さん霊は出ないと言っていましたから、兵隊さんの霊は満足した のでしょう… 藤次郎