藤次郎夜話「秋葉原の人魂」  私は、たまに秋葉原に出没しますが、なぜかある場所を通ってしまいます…  その場所は…JR京浜東北線沿いのサトー無線の所にあるガード沿いなのです。  以前、母に人魂話を聞きましたが、その話のひとつに、その場所に関係する話が あります…  それは、母がまだ若い頃、秋葉原近辺で働いたことがあるそうで、その仕事の帰 り道、その場所を通ったそうです…  そのとき、線路の上から人魂が降りてきて、母の回りを一周し、すり寄るように 近づいたかと思うと、パッ!と消えてしまったそうです。  その間、母は恐怖におののくどころか、返ってなにか暖かい気分になったそうで す。  家に帰ってよく考えると、実はその場所は母の従兄弟が線路から落ちた場所だそ うです。  そして、その日は従兄弟の祥月命日だったそうです…  その人は、当時の国鉄時代、線路保守員として働いていて、その日秋葉原の線路 保守作業中に、通過する電車を避けるべく線路ぎわに寄りましたが、たまたま寄っ た場所の手すりが腐食していて、折れて落ちたそうです…  母は、今でもその場所を通る度にその人の事を思い出すのだそうです。  私も、その話を聞いてから、何か縁みたいな事を感じて、その場所を通る度、そ のことを思い出します… 藤次郎