藤次郎夜話「ワーカー・ホリックな霊」  それは、昔私がある工場で仕事をしていたとき聞いた話です…  その工場内には医療施設もあり、私は夏風邪をひいてその医療施設に診察をして もらいに行きました。  待合い室で順番を待っていたところ、私の前の席に2人の男性が座りました。そ して、おしゃべりを始めました。  待合い室と言っても、町の診療所と違いそれは工場の施設ですから、時間つぶし の為の雑誌や漫画本などは置いてありません。  だから、つい悪い事とは言えついつい前の席の2人のおしゃべりを聞いてしまう のです。  …それは…こんな話でした…  「○○さん、第*工場の倉庫にお札が張ってありますよね?あれ、どうゆう事で すか?」  「ん…?第*工場のお札の事か?」  「ええ、毎年のように張り替えているみたいですが…」  「あれ…はな、ほれ、お前も知っているだろう?資材課長の△△さん?」  「ええ…昔ちょっと一緒に仕事していましたから」  「なら、あの人の最後…知っているだろう?」  「いいえ?それがなにか?」  「えっ…!知らないのか…。△△さん、7,8年前会社来る途中の道で…ほら、 街道の小道があるだろう…」  「はい」  「あそこで、突然脳溢血で倒れて…その場で死んでしまったんだ…」  「…エーーッ!!」  「それでな…それ以来、あの倉庫に△△さんの霊が出るんだそうだ…」  「またまたー!○○さん、からかってー!」  「バカヤロ、本当なんだってば、あの倉庫昼間でも薄暗いだろ?」  「ええ…たしかに…」  「それに、資材部長の**さんも見た事あるんだってよ!」  「本当…?ですかぁ?」  「本当だっていってんだろうが!可愛そうに…△△さん、浮かばれねえで、まだ あの倉庫で捜し物してんだぜ…きっと…」  「それで…お札張ってあるんですか…」  「ああ…、何年か前に一回もういいだろうって、お札張らなかった事があったら しいが…その年はやっぱり出たらしいぞ!!」  「そうなんですか…死んでもまだ仕事をし続けなきゃならないなんて、△△さん、 お可愛そうに…」  …てな、内容です。  聞いていて、私も死んだら、△△さんの様に夜な夜な仕事場の机に向かって仕事 をしていたなんてことは…(;_;)  サラリーマンとしては、背筋が凍るお話です… 藤次郎