藤次郎夜話「ガード下に立つ霊」  私が学生時代下宿していた近所には、私が通う大学と別の大学があり、私の居た 下宿では、私の通う大学の学生とその別の大学の学生が仲良く暮らしていました。  そんな物ですから、下宿の先輩方からこの下宿の怪談や近所の怪談、別の大学の 怪談を、夏場の暑い日の夜ビールを飲みながら聞かされた物です。  今回は、その内の色っぽい怪談をお話ししましょう。  私の居た下宿は、線路沿いにありまして、また下宿は窪地に在ったため、線路の 高さと当時私の居た2階の部屋とは同じ高さほどでした。  私の通っていた大学は、線路の向こう側に在るので、線路を渡るには、窪地を登 った所にある踏切を渡るか、下宿の前にあるガードを潜るしかありません。  カードを潜った所に墓や地蔵がありまして、このガード下というのが、霊が出る 場所なんだそうです…いや、私は見たことない物で…(^^;  ガード下に出る幽霊はそこの墓の主かと言いますと、そうではありません。  …話は、私に話をしてくれた下宿の先輩の数代前の事です。  下宿の近所の踏切である日飛び込み騒ぎがありました。  電車に長く引きずられて衣服はちぎれ、死体は五体バラバラ、原型を留めていな かったそうです。  しかし、残された遺書から、死体は近所の大学の女子大生(私が通っていた大学 とは別の大学)だと判ったそうです。  …その後いつの頃からか、その女子大生らしい幽霊が下宿の前のガード下にひっ そりと立つようになったそうです。  見た人の話ではガード下に出る幽霊は全身黒い服装で、遠目では青白い顔だけが 目立っているそうです。  近くによるとその幽霊は、なぜか服を脱ぎ出すそうですが、服を脱ぐ度にそ下に 現れる肌は次第に崩れていったそうです。  この話を聞いた当初、私は下宿の先輩の作り話だと思っていましたが、別の下宿 に友人を訪ねて行ってそこの下宿でも同じ話を聞きました。  また、下宿の大家さんに冗談半分でこの話の真相を聞くと、女子大生が飛び込み 自殺をしたのは事実だそうで、女の幽霊がガード下に出るのも何度か聞いた事があ るそうです。  そして、ガード下の地蔵は、その女子大生を供養する物だそうです。  …うーーーん、どこが色っぽい話なんだろう…(^^; 藤次郎