車のイグニッション・キーを捻った時から新しい旅立ちが始まります。 また、いつも通い慣れた道を少し外れて見ると意外な発見をしたりする ものです。 私は、年数回の長距離旅行の他に、日帰りのドライブや自分の足を使っ た散策も楽しんでいます。 近場でもちょっとした旅と洒落込むと結構楽しいものです。 そんな中で、またあれこれ起こった事を「藤次郎放蕩記」として書き綴 って行きたいと思います・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 藤次郎放蕩記 第25話 「猪鹿熊?」 2003.05.04  昨年、大山にハイキングに行ったおり、大山登山道から一旦ヤビツ峠 に行こうとして、体力と天候とを考慮して中断しました。  そこで、その年の秋にヤビツ峠から大山に登ることを計画していまし たが、会社を退職したので、資格取得や再就職活動を行っていたために、 年内に行く機会を逸してしまいました。  …思えば、自由の身になったのですから、もっとあっちこっちにハイ キングに行けば良かったと思っています。  ようやく再就職ができて、計画を練り直し、ヤビツ峠から大山経由で、 日向薬師まで歩いてみようかと、カシミール3Dという地図ソフトを使 用して、あれこれ計画を練り、まぁ、今の実力なら大丈夫だろう…と判 断しました。また、GARMIN社のeTrex Vista日本語版という地図が表示で きるハンディGPSも加わり、事前のルートや要所要所のポイントを入 力してこの日に備えました。  また、これも事前に秦野駅からヤビツ峠行きのバスの時刻表を神奈川 中央交通のホームページから印字して、下調べをして行きました。  下調べをしたものの、電車の乗車,連絡時間を多く見積もっていたた め、バスの発車時刻の一時間前に秦野駅に到着してしまいました。  しかし、この日は、ヤビツ峠方面に向かうハイキングや登山客が多か ったので、臨時便が出ることになり、運良く十数分の待ち時間だけで、 しかも運良く座ってヤビツ峠に行くことが出来ました。本当は、蓑毛か ら徒歩で登ってヤビツ峠に行く予定でしたが、翌こどもの日に休日出勤 を命じられたので、体力温存のため、ヤビツ峠までバスで行くことにし たのです。  ヤビツ峠では既に多くのハイキングや登山客で賑わっていました。こ の人達の多くは、塔ノ岳を目指す人達です。  ヤビツ峠は、もう十数年の昔に車で偶然越えて以来のことです。当時 は、峠付近は舗装されておらず、バス停も峠のだいぶ下までしか入って これなかったらしいです。あの後、すぐに全面舗装されて開通したと記 憶しています。  GPSのスイッチを入れて、軽く準備体操を始めます。身体がほぐれ てきたところで、大山山頂を目指します。  大山への登山道(イタツミ尾根)はなだらかで、大山阿夫利神社下社 からの登山道と違って登りやすかったです。  しかし、この日の丹沢の山々の風景は、行きの小田急線電車内から見 ても、景色はぼけている程で、登っている間の展望が悪く、麓の町はお ろか、周囲の山々の風景もよく見えず、かろうじて富士山が雲海から頭 を出しているのを肉眼で確認することだけができる程度でした。  日差しは暑く、おまけに風がないので、立ち止まっては汗を拭いなが らの登山になりました。前回は、蝿とススメバチに追われるようにして 登りましたが、今回は、それはなく、のんびりと楽しみながら登ること ができました。それでも、良いペースで登っていき、ガイドブックの予 定行程時間内に大山山頂に着きました。  山頂の大山阿不利神社の奥社に参拝して、ここで、休憩して足のマッ サージをしたり、ゼリー状の栄養補助食品を摂ってエネルギーを補充し たり、この後の予定を体力と天気と時間とを照らし合わせて考えたりと、 していました。  休憩中に、鹿を見ましたが、角は切られているし、やたら人慣れして いるし、それに、昨年来たときも見ましたから、どうやら野生の鹿では なく、ここで飼われているものと思われます。  休憩をとった後、見晴台に向かって降っていきます(雷ノ峰尾根)。 この道は去年通ったので、大体覚えています。相変わらず、整備されず に朽ちた木段や、小石がゴロゴロしていて滑りやすい道とかがあり、注 意深く降りていきました。  見晴台に到着したときには、そこは人々でごった返していました。隅 っこの草むらに座り、かなり早めの昼食を摂ります。今回は、前回の反 省もあり、ストーブ,コッヘルの類は持ってこなくて(それでも、万が 一のため、シェラカップに固形燃料と、粉末のお茶を袋に入れて持って いきました)、昼食はコンビニで買ったパンと牛乳です。  パンをかじりながら、ここから日向薬師に向かうルートの確認をしま した。ここから日向薬師方面には、いくつかのルートがあり、私は一番 手前で一般道路に出る石雲寺経由のルートを計画していました。  振り仰ぐと、大山山頂は薄く雲に覆われていました。景色が望めなか ったのは、残念でしたが、山頂にいたときは晴れていたので、今日は運 が良かったみたいです。  見晴台を後にして、石地蔵経由で石雲寺に向かって歩き出します。  石地蔵までは、なだらかな下りが続いていましたが、石地蔵からいき なり、九十九曲りと呼ばれる急なジグザグの下り道になります。急な坂 と歩幅が一定を保てない階段とで、足に負担がかかります。  そこを抜けると、県立伊勢原青年の家に到着します。そこの登山道の 入り口(私は降ってきたので、出口になります)に、”熊出没注意”の 看板が…奥多摩に熊が居るのは知っていましたが、丹沢にはせいぜい鹿 と猪しか居ないと思っていたので、驚きました。  県立伊勢原青年の家からは舗装道路で、日向川に沿って降っていきま す。日向川の川縁には、キャンプ場や管理釣り場などがあり、大勢の家 族連れで賑わっていました。  温泉もあったので、着替えとタオルを持ってくれば良かったと思いま した。  石雲寺,浄発願寺を横に見て日向薬師に着く頃、突然銃声が…どうや ら、狩猟をしているようです。と、同時にハンターに対する”民家の近 くなので、発砲注意”の警告の看板と、猪料理の店の看板が目に入りま した。  銃声は、私が日向薬師を参拝して、バス停に着くまで、数発聞こえて いました。  何を標的にして撃っていたのか…?猪?鹿?熊?  家に帰ってカシミール3DにGPSの航跡データをダウンロードして ビックリ。今まで使用していたハンディGPS(EMPEX ポケナビ)では、 航跡がロストするほどの森の中でも、ちゃんと航跡データを記録し続け ていたことです。  おかげで歩いた詳細な航跡データの記録をいつでも見ることができる ようになりました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで・・・(^^;) この書き込みに対する皆さんの反響を聞かせていただければ幸いです。 以上、藤次郎でした。