車のイグニッション・キーを捻った時から新しい旅立ちが始まります。 また、いつも通い慣れた道を少し外れて見ると意外な発見をしたりする ものです。 私は、年数回の長距離旅行の他に、日帰りのドライブや自分の足を使っ た散策も楽しんでいます。 近場でもちょっとした旅と洒落込むと結構楽しいものです。 そんな中で、またあれこれ起こった事を「藤次郎放蕩記」として書き綴 って行きたいと思います… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 藤次郎放蕩記 第14話 「房総半島一週単独行」  …それは、アクアラインが出来る数年前…  今思えば、無茶をしたものだと思います。  そのころ読んでいた本「日蓮」に影響され、また家の宗教が日蓮宗だ ったため、日蓮宗の総本山に行ってみようと考えたのが始まりです。  日蓮宗の本山は四カ所あります。 ・誕生寺 ・清澄寺 ・池上本門寺 ・久遠寺(身延山)  この内、”誕生寺”と”清澄寺”が千葉県に在るというので、行って みようと思い立ちました。  午前4時に起き出して、夜が明ける前に都内を脱出しようと、環状7 号線〜海岸通〜昭和通〜国道6号線から京葉道路に入って日の出を見、 うまくいったと思ったら、千葉市街にさしかかって、朝の交通渋滞に巻 き込まれました。  ノロノロと国道16号線との交差に進む内におなかが痛くなってきた のでイライラしていたら、丁度コンビニエンスストアが目に入り、トイ レを借りるとともに、ジュースや缶コーヒー,パン等を買い込みました。  木更津を過ぎると急に車の交通量が減り、快適なドライブを楽しむこ とが出来ました。国道16号線から国道465号線に入ると車窓の風景 は、漁村の風景になってきました。  右手に海岸を見ながら、愛車を走らせます。  しばらく行くと、”東京湾観音”と言う看板が目に入り、「こんな所 に観音様なんてあったっけ?」と思いつつ、とりあえず行ってみること にしました。  海岸沿いの小高い丘に掘られたトンネルを抜けると、見上げるような 巨大な白い観音様の像がありました。  駐車場には、まだ誰もいません。  時刻は午前8時頃です。「ひょっとすると、入れないかも…」と 思いつつ、受付に行って料金表を眺めていると、受付の人が出てきて言 うには、たった今開館したとのこと。  それではと言うことで、観音様に登ることにしました。  観音様の胎内の頂上から見る朝の東京湾の景色は多少霞かがっていま したが、綺麗な物でした。  観音様に道中の安全を祈願し、房総半島をその南端に向かって再び走 り始めました。  国道127号線に入り、ようやく房総半島の南端に差しかかったとこ ろで、”フラワーロード”の看板を見つけました。  その看板に従って、行くと道の両方に綺麗な花畑が続いていました。 生憎私は花に詳しくないので、何の花と答えることは出来ませんが、色 とりどりの花が咲いていました。  フラワーロードの中に、房総半島の最南端の野島崎があります。  そこの駐車場に入り付近を散策し、駐車場で遅い朝食を済ませると、 私は本来の目的地に向かって外房道路に愛車を走らせました。  鴨川シーワールドを横目に見て、の所から地図を見ながら山の中に入 って”清澄寺”を目指しました。  ”清澄寺”に付くと、そこは意外にも普通のお寺さんと言った風情で す。ここは日蓮上人が鎌倉幕府から鎌倉を追放された後、ここを拠点に 布教を行ったところと記憶しています。  しかし、ここは観光地していなくてお参りしている人もまばらです。  なんか拍子抜けしましたが、きちんとお参りをして、次の”誕生寺” を目指しました。  ”誕生寺”は海岸沿いにあり、ここは”清澄寺”とは逆に観光地して いました。ここは日蓮上人が生まれた家が在った場所です。  お土産屋が軒を連ね、客引きのおばちゃん達の威勢のいい声が響いて いました。  ここは、鯛ノ浦と言って鯛に何か縁があるのでしょうか?やたら鯛の 絵や飾り物が多かったと記憶しています。  お参りを済ませ、また私は外房を海岸線沿いに走ろうと思ったのです が、道を間違えたのと(国道128号線をそのまま走った)九十九里道 路が有料と言うことで、海岸からかなり離れた道を走ることになりまし た。  途中で、九十九里道路が全部有料でないことに気づきましたが、「まぁ、 いいや」とそのまま銚子に向かって走り続けました。  銚子市街で渋滞に遭い、まただいぶ日も傾いてきて、「こりゃ犬吠埼 に着くのは日が暮れてからかな?」などと思っていましたが、何とか明 るい内に犬吠埼に着くことが出来ました。  犬吠埼灯台と地球岬を見た私は、「さぁて、お家に帰ろう」と、愛車 を東京方面に向けました。  日が暮れてきたので、帰りは高速道路を使用することにしましたが、 佐原香取ICを探している内に道に迷ってしまいました。  「多分、こっちだろう…」と思いつつ、不安に駆られながら愛車を走 らせていると、奇跡が起こりました。  …それは、道の風景が数日前見た夢の光景とそっくり同じな場所に出 くわしたことです。私はよく予知夢を見ることがあるので、「このまま 行けば、赤い鳥居に出くわすはずだ」と確信しました。  すると、案の定。赤い鳥居が見えてきました…その鳥居は香取神社の 鳥居です。  私は、今更ながら自分の予知夢に驚くとともに、香取神社に感謝しま した。  香取神社の駐車場に車を入れて、生憎神社の境内は参拝時間を過ぎて いたので、お参りすることは出来ませんでしたが、外から感謝の意を込 めて、柏手を打ち頭を垂れました。  香取神社で休息をとると、ここからは知った道ですので、佐原香取IC から高速道路を一路家路に着きました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。