車のイグニッション・キーを捻った時から新しい旅立ちが始まります。 また、いつも通い慣れた道を少し外れて見ると意外な発見をしたりする ものです。 私は、年数回の長距離旅行の他に、日帰りのドライブや自分の足を使っ た散策も楽しんでいます。 近場でもちょっとした旅と洒落込むと結構楽しいものです。 そんな中で、またあれこれ起こった事を「藤次郎放蕩記」として書き綴 って行きたいと思います… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 藤次郎放蕩記 第13話 「大山2題」 第一題  相模原に引っ越してきて、毎朝目にする丹沢の山々…その稜線の左端 にひときわ高くそびえる大山を見る度に、「よくあんな所登ったもんだ」 と感慨に耽るのは、歳を経った証拠でしょうか…  それは、子供の頃のアルバムを見たことに始まります。  子供の頃の写真に伊勢原に住む親戚と大山の阿夫利神社の境内でケー ブルカーに乗ったり、境内に居る鹿に餌をあげたりしている写真が在り ました。  しかし、私の記憶にはかすかな物しか在りません。  それならば、もう一度行ってみようと愛車を走らせました。  国道246号線から、道路標識に従って大山の参拝駐車場に車を止め、 ケーブルカーに乗って阿夫利神社に行きました。  境内を歩きながら、アルバムの写真と違ってないことを確認して付近 を散策していると、”本社登口”と言う看板を見つけました。  「ふーーん、本社が在るのか…」と思いつつ、そのままなにも考えず に看板のある坂道を歩き始めました。  しかし、いくら登ってもそれらしき物が見えてきません。ただ道の途 中に何丁目と言う道標が在るだけです。  「何合目じゃないから、登山道では無いよな…」と思ってひたすら坂 を登っていきました。  途中で霧が出てきて景色が霞んでくると、心細くなりましたが、こう なると「意地でも本社に行ってやる」と思い、ただ前進在るのみでした。  途中お茶屋さん見つけ、道が間違えでないことを確認してホッとしま した。  そのまま黙々と登り続けて、霧が晴れて景色が良くなったなぁ…と思 ったら、なんとそこは大山の山頂だったのです。  「あれ?」と思うと、山頂の展望台には、軽登山の格好のおじさんや おばさん達が…  それに対する、私の格好はポロシャツにジーパン,スニーカーの格好。  おじさんおばさんの冷たい視線を浴びて、そのまま石とコンクリート で固めた阿夫利神社本社に参拝すると、そそくさと山を降りました。  山頂からの展望は、下一面に広がる雲のせいで湘南の海と富士山しか 見えませんでした。そこでようやく、今まで歩いてきた霧が実は雲の中 と気づいた次第…  帰りは、境内からケーブルカーを使わずに参道をゆっくり下っていき ました。  おかげで、膝が笑ってしまい、帰りの車の運転中にどうしようも無く なって、膝を片手で押して(愛車はAT車)家に帰りました。 第二話  地図を眺めている居る内に、丹沢の裏の方に国道246号線に対する 裏道として国道413号線が在ることを発見して、その入り口を見つけ るべく、私は津久井湖に向かいました。  津久井湖までは、仕事で何度も行ったことが在りますので、すんなり いけましたが、国道413号線の入り口が看板すら見つかりませんでし た。  そのまま相模湖〜大垂水峠を抜けて帰ろうとしましたが、相模湖に向 かう途中で渋滞に巻き込まれました。  30分程動かなかったので、道を引き返すことにしました。  しかし、引き返した先でも相模湖の手前で渋滞しています。  そのまま日が暮れてきたので、焦った私は、地図を片手に脇道に入り ました。  山の夕暮れは早く、すぐに暗くなりました。幸い、入った裏道に『厚 木,伊勢原』と書かれた道路標識が在ったので、それに従って行きまし た。  するとその道は、湖の湖畔ような場所を走り、大きな橋を渡りました。  私は「こんな所に?丹沢山中に湖は丹沢湖になるぞ!でも、そんなに 奥に入った覚えないし…」と、不思議に思いつつも愛車を走らせていま した。  その内、『厚木,伊勢原』と道路標識が分かれて居たので、『厚木』 と書かれた方に行きました。  その途中『ヤビツ峠』と書かれた看板を見ました。  ヤビツ峠は、未舗装で車が通れないと道路地図に書いて在ったので、 「ヤビツ峠は通りたくないなぁ…」と思いながら走っていました。  しばらく走ると工事中の看板が在り、回り道をとるように書いてあっ たので、それに従って走りました。  すると、山道にさしかかりました。  登っていく内に段々道幅が狭くなり、ついには未舗装道路になってし まいました。それでもまだ登っていくと、車一台がやっと通れる幅にポー ルが立ててある場所があり、それを注意深く抜けると、道の脇の標識に 『ヤビツ峠』と書いてありました。  「げげっ!」と思いましたが、その先が下り坂になっているので、と りあえず通過したと思い、下っていくと、やがて舗装道路に出くわし、 更に道幅も広がってきて、気が付いたら、秦野市街に居ました。  家に帰ってすぐに地図を見ながら、たどってきた道と見ましたが、ど うしても腑に落ちない箇所が在りました。  そのまま数年…相模原に引っ越しして、家族で宮が瀬ダムにドライブ に行って、ようやく判明しました。  私は当時建設中の宮が瀬ダム湖畔を通過してヤビツ峠に登ったという のが本当のようです。  また、本題の国道413号線への入り口は、数度の遠征で見つけ、そ こから身延山に行きましたが、その話は別の講釈で… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。