車のイグニッション・キーを捻った時から新しい旅立ちが始まります。 また、いつも通い慣れた道を少し外れて見ると意外な発見をしたりする ものです。 私は、年数回の長距離旅行の他に、日帰りのドライブや自分の足を使っ た散策も楽しんでいます。 近場でもちょっとした旅と洒落込むと結構楽しいものです。 そんな中で、またあれこれ起こった事を「藤次郎放蕩記」として書き綴 って行きたいと思います… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 藤次郎放蕩記 第11話 「裏御徒町」  上野駅を浅草口を出て、上野駅ロータリーと昭和通を跨ぐ遊歩道渡っ てを浅草通りに向います。  浅草通りをしばらく歩いていると、右手の方に大きな赤い鳥居があり ます。信号の看板は稲荷町と書いてあり、大鳥居をくぐると神社の社が 見えます。  ここが「下谷神社」で元来は稲荷神社ですが、稲荷自体は別に社殿の 隣にあります。  祭神は、大年神(大蔵神)と日本武尊です。私の先祖の一人と言われ ている藤原秀郷にも関係する神社です。  あと、ここの神社は寄席の発祥の地だそうです。江戸時代にここの神 社の境内で初めて寄席の興行が行われたそうで、”寄席発祥之地”と言 う石碑があります。  私はなぜかこの神社と相性が良いのか、この神社に詣でると良いこと が起こるので、上野に出てくると大抵立ち寄る場所です。  「下谷神社」で今回の放蕩の無事をお願いして、上野駅に戻ります。  上野駅から浅草通りを浅草にかけて仏壇や神棚などを商う店が多く見 られます。これは、この界隈に神社やお寺がかつて多かったことを意味 します。  浅草通りと昭和通りの交差点を左に折れ、しばらく歩くとさくら銀行 が見えてきます。これを目標に左の小道に入ると、店先に濃緑色の金属 製の箱やら飯盒やら毛布やらおいてある店があります。一見倉庫に見え ますが、れっきとしたお店です。  「官省払い下げ品 松崎商店」と言いまして、海上保安庁等の払い下 げ品を始め、米軍の物まで扱っています。まぁ、ミリタリーショップと 言うところでしょうか…  ミリタリーショップと言いますと、御徒町界隈では「中田商店」が有 名ですが、人に言わせると「中田商店」はミリタリーファッションの店 と化していて、本格的な物はこちらの方が良いと言うことです。ただ、 店の人が無愛想なので「冷やかしなら、出ていけ!」と怒られた人もい るそうです。  「松崎商店」のすぐ先の交差点を右に折れます。それをしばらく行く と、ちょっと異様な臭いがしてきます。  ここが、通称「キムチ横町」と呼ばれる韓国人街です。  韓国の食べ物や民族衣装(チョゴリ)や焼肉店が並んでいます。  その通りを抜けていくと、春日通りに行き着きます。  春日通りと昭和通りの交差点から昭和通沿いに「多慶屋」と言うディ スカウントショップが分散しています。  春日通りと昭和通りの交差点にあるビルは私の記憶が確かならば、バ ブルの頃、「多慶屋」ではなくて、別のディスカウントショップであり、 ビルの外装が金色の建物でしたが、その後「多慶屋」に買収されたので しょう、「多慶屋」のカラーである紫の外装になってしまいました。  春日通りを隅田川の方向に進むと、右手の方に、「佐竹商店街」と言 うアーケードに出くわします。  すぐその先の清洲通りとの交差点の角に『ぢ』と書かれた看板のある 店があります。ここが、「ひさや大黒堂」と言う有名な痔の薬の店です。  「佐竹商店街」は最近TVの朝の番組で”商店街ドミノ倒し”が行わ れ、有名になった商店街です。アーケードの中の商店のいくつかの店に は、その当時の写真が飾られています。  ちょっと薄暗い「佐竹商店街」を歩いていると、何となく懐かしい雰 囲気になります。  「佐竹商店街」を抜けると、清洲通りの向こうに「おかず横町」と言 う看板を発見します。  清洲通りを渡って「おかず横町」に行ってみましょう。  「おかず横町」の由来は、この辺り一帯がいわゆる”三ちゃん工場” と呼ばれる下町の工場街であり、忙しくて食事の支度ができない工場の 女将さん達にお総菜やおかずを売っている店が多いことから来ています。  「おかず横町」を抜けると、「鳥越神社」に行き当たります。  「鳥越神社」の祭神も日本武尊です。こちらは、源頼義、義家親子に 縁があります。  「鳥越神社」を抜けると、蔵前通りに突き当たります。  蔵前通りを隅田川の方向に歩いていくと、浅草に至る江戸通りに突き 当たります。  ここが”蔵前”で、両国の国技館が復興されるまでの間、相撲が行わ れていた「蔵前国技館」があった場所です。現在は、下水処理場になっ ています。  また、この界隈は浅草橋人形問屋街でもありまして、雛人形、五月人 形を初め、玩具や、商店街やパーティー会場を飾る装飾品や、梱包材や ら、アクセサリーの部品などがあります。一部の店は小売りもしている ので、探してみると意外な物が安く売っていたりします。  裏の道にも、駄菓子などの意外な問屋があったりして、楽しいです。  問屋街を見ながら、浅草橋の駅の方に歩いていきます。  浅草橋の駅で方向を変えて、総武線のガードの下を神田川側に秋葉原 方向に向かって歩いていきます。  清洲通りを渡って、神田川の方に向かっていくと、丼屋の裏手に「レ オナルド」と言う模型屋があります。  最近の私達の世代では密かな模型ブームだそうで、アダルト志向に乗 っ取った模型屋で、新聞にも載ったそうです。  扱う模型は、ミリタリーや車などでキャラクター物は扱っていません。  総武線のガード下に戻ってしばらく秋葉原方向に行くと、「佐久間公 園」と言う小さな公園があります。  この公園が「ラジオ体操会発祥の地」で、日本で一番最初に早朝ラジ オ体操が行われた場所です。  ここまで歩いてきましたが、歩いている間に、意外な所に古い家や町 並みがあって、行く度になにがしか発見する道です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。