車のイグニッション・キーを捻った時から新しい旅立ちが始まります。 また、いつも通い慣れた道を少し外れて見ると意外な発見をしたりする ものです。 私は、年数回の長距離旅行の他に、日帰りのドライブや自分の足を使っ た散策も楽しんでいます。 近場でもちょっとした旅と洒落込むと結構楽しいものです。 そんな中で、またあれこれ起こった事を「藤次郎放蕩記」として書き綴 って行きたいと思います… −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 藤次郎放蕩記 第10話 「幽霊に会える町」  JR日暮里駅…今回の放蕩はここから始まります。  山手線内回りに乗って上野駅を過ぎると車窓の風景は、左手に崖,右 手に町並み…と言った風景が広がります。  日暮里の駅の改札口をくぐり、崖と反対側に一旦降ります。  そこを駅のロータリーに沿って左に歩き、ちっょと細い横町に入ると、 そこは駄菓子の問屋街です。  表通りからちょっと入り組んだ所にあるので、判りにくいのですが、 ここ数年、何度もTVに取り上げられたせいか、すっかり有名になった のでしょう、ローターにある交番には駄菓子の問屋街への行き方の手書 きの地図が貼ってありました。  この狭い横町に駄菓子屋が軒を連ねています。駄菓子は元より、駄菓 子屋で売っている玩具やカードの類が売っています。ただ、問屋さんな ので、売っているのが箱や袋単位です。その単位で小売りをしてくれま すので、これから祭りや子供会が催される予定のある方は、会の景品と して利用されるとよいでしょう…  ここにはここ数年、毎年のように訪れていますが、ここ数年の不況の せいか、店を閉めている所がありました。  この世界でも流行廃りがあるのですね…毎年見ていると、売って いる玩具や駄菓子のパッケージの微妙な変化が世間の鏡の様に写し出さ れるのが判ります。  駄菓子の問屋街を後にして、今度は崖の上の方に向かいます。  …そこは、さっきの風景とうって変わって、静かで蝉の鳴き声がうる さいお寺の風景が広がります。ここら一帯が谷中の寺町です…ちなみに、 駄菓子の問屋街がある方が日暮里になります。  そこを道なりに進んでいくと、昔懐かしい風景に出会います。  佃煮屋,雑貨屋等々…ここで驚いてはいけません。ここら一帯が全部 こんな風景の町並みです。  聞くところによると、ここら一帯は戦災を免れて、昭和初期は元より 明治大正,江戸時代の建物が残っているそうです。  このなぜか心落ち着く風景を眺めながら、階段を下ると、そこに下町 の商店街が出現します…谷中銀座です。  谷中銀座を抜けると、そこに丁字形に交差するのが夜店通りです。こ の道には今でも決められた日に夜店が出るそうです。  夜店通りを千駄木の駅に向かって歩いていくと、三崎坂にぶつかりま す。  ちょっと足を延ばせば、躑躅や紫陽花で有名な根津神社に行くことが 出来ます。  三崎坂を登ると、また寺町の風景です。その中に「全生庵」と言う臨 済宗のお寺があります。  このお寺、元々は幕末の英傑山岡鉄舟が建てた剣術や禅の道場だそう です。  このお寺には名物があります…それは、数百点を数える幽霊画です。 このお寺には明治の落語家三遊亭圓朝の墓があり、この圓朝の得意が怪 談話だそうで、そのネタのために集めた幽霊の掛け軸を寄贈したのが始 まりで、その後柳家小三などが次々と幽霊画や掛け軸を寄贈し、毎年8 月の1ヶ月に限ってその内の30点程を展示して一般に公開しています。 8月の末日には圓朝を忍んで本堂で落語会が開かれるそうです。  周りに同じ様な寺があって、普段はちょっと見つけにくい全生庵です が、8月になると、三崎坂から鶯谷の駅にかけて、圓朝忌と言う幟が立 つのですぐ判ります。  全生庵からちょっと足を延ばすと、「大名時計博物館」に行くことが 出来ます。  三崎坂を登り切ると、そこは谷中霊園です。ここには最後の徳川将軍 の徳川慶喜を初めとする著名人が多く眠っています。この谷中墓地を突 っ切る道を進めば、もと来た日暮里の駅にたどり着きますが、もう少し、 この辺をうろうろします。  三崎坂の先を道沿いに進むと、色々な食べ物屋があります。この界隈 は”愛玉子(オーギョーチイ)”と言う台湾の食べ物とか谷中カレーとか食べ させてくれる店があります。  この道と言問い通りとの交差点に江戸時代の建物が保存されています。 江戸下町風俗館(不忍池の畔にある)の分館だそうです。  ここから、日暮里駅の方に引き返します。この先には上野の寛永寺が あります。  谷中霊園を迂回するように進み、古い土塀や下町の風景をゆっくり見 ながら歩きましょう。  また、この界隈は谷中七福神巡り(西日暮里〜不忍池)の内、3つの 神様の居る場所でもあります。  そうそう…一言言い忘れていましたが、今でも谷中霊園には出るそう です…そう、幽霊が…  谷中霊園の中にある交番のお巡りさんの内、何人か目撃しているそう です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  まあ、今回はこんなとこで…(^^;) 以上、藤次郎でした。