ブック・「天涯の船」


  コメント:新潟市 しおりさん 2004年5月
 ニューヨークに住む、アンティークジュエリーの勉強をしている人が見つけた豪華な船のジュエリー。その宝石にまつわる歴史をたどっていった時、一人の日本人と思われる「ミサオ」という人の名前が浮かび上がってきます。100年以上も前の話です。その人に思いをはせていくうちに、すごい想像の物語が紐とかれていきます。
明治の初め、12歳でアメリカに渡った少女。神戸からサンフランシスコへと私費留学した、姫路藩主の姫君とされています。ところが、実は下働きの少女がミサオの身代わりにさせられていたのです。では、本物のミサオは?
歴史物語によくある影武者や、替え玉事件か、なんて簡単に考えてはいけません。 船の中でのつらい体験、ミサオにさせられていく体と心の葛藤、そして運命の人、光次郎と出会うのですが、さてその後の二人の人生は?
アメリカでの留学生活は、決してラクなものではありませんでした。そして、いろいろな事情からやがて帰国。その後、オーストリアの子爵婦人となったミサオ。 さてだれと結婚し、どんな女の一生をたどったのでしょうか。はたして、光次郎の活躍は?船のジュエリーは、何を語ってくれるでしょうか。
 オーストリア、フランス、イギリス、アメリカと、世界をかけ巡る物語の進行。すごい長編ロマンです。歴史的にも、いかにもありそうな筋で、作り物とは知りつつ引き込まれていきます。モデルとなった人はいるようですが、これはあくまでも小説です。
作家、玉岡かおるさんも知らなかった私。書名や書評を読んだだけでは、手に取らなかった書物かも知れません。紹介してくれた友人に感謝です。
宝石からの連想、運命的な男女の出会い、一生をかけた恋愛なんて、女性好みの仕上げかな。でも女性なら、こんな夢物語の航海に出たいですよね?

☆☆☆ないーぶネットの詳細情報
書名:天涯の船(テンガイ ノ フネ)
著者名:玉岡 かおる(タマオカ カオル)
出版社:新潮社 2003年02月
時間数:上巻12時間13分 下巻 14時間56分
点訳、音訳、デイジー すべてあります。

これで、天涯の船のページを終わります。


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