鳩の木



白もくれんは
一年にいちど
鳩の木になる


小枝のさきの
ひとつひとつに
ぷくっとふくらんだつぼみは
ある朝
いっせいに
はなびらをほどき
羽のようにひろげ
白い鳩になる


むねをふるわせ
生まれた木からとびたつ
小さなものたち








風にひらひら



いっしんに
畑をたがやしていると
頭も心も
からっぽになるときがある


なんだか
自分がとげてしまったようで
ふと顔をあげると
ナスもキュウリも
はっぱを ひらひら
おいでおいでとよんでいる


そんなときは
こっちも
両手をひらひら
ホホッ
野菜といっしょに
風にふかれている
ちょっとだけ







アカショウビン



せりだした
みどりの木々
とろりとよどむ
ダム湖の水面


トロロロロロ・・・・
きみょうな鳴き声が
わたっていく 
くちばしばかり大きくて
赤茶色の
不格好な姿をさらして 


声も姿も
なんとまあ
鳥ばなれした鳥よ
おまえも
生きにくい道を生きているか








山鳩ないて



デデッボッポー
デデッボッポー
おばあちゃんちの裏山で
呼んでるだろな ぼくのこと
麦わら 水着 捕虫網
夏のしたくは もうできた
とうさん
車も みがいたよ


デデッボッポー
デデッボッポー
おばあちゃんちの桐の木で
待ってるだろな ぼくのこと
枝豆 すいか とうもろこし
みんな ぷっちり ひかってる
とうさん
休みは きっとだよ








だいじなひとこと



縁側に
ちんまりすわって
あぁ
おばあちゃんの
だいじな ひとことが
また きこえる


あぁ じょんのびじょんのび
あぁ なんぎだこと
あぁ どうしようのう
あぁ ありがたや
あぁ よろしゅうに


おばあちゃんの暮らしは
シンプルで
ことばもひとつで
たりている







鈴木初江さんの紹介



新潟児童文学で創作を始め、
詩集「はねだしの百合」など
数冊を出版して活躍しています。
現在、読み語りボランティアとして、
お話や詩を届ける活動もしています。
お住まいは、巻町のお隣、吉田町です。 


 このページに載せた詩は、音声で聞きやすいように、
鈴木さんの許可をいただき、
ひらがなと漢字を置き換えたところがあります。


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