「白内障の話」

いつから見にくいのですか?
徐々に見にくくなってきました。

  原稿提供:視能訓練士 小笹さん 2003年 4月
 「いつから見にくいのですか?」「徐々に見にくくなってきました」との返答があり、矯正しても視力があまり上がらない患者さんの大半に白内障が認められます。
白内障は眼の中にあるレンズ、水晶体が濁ってくる現象です。
カメラのレンズが曇った状態と考えていただくとわかりやすいと思います。
 原因の多くは水晶体の新陳代謝の障害で生じる加齢現象であり、年を重ねると白髪、シミ、シワが増えるように誰にでも生じてきます。
(老人性白内障)自覚症状がなくても80歳以上では100%の人に白内障が認められます。
他には先天白内障、眼内疾患による併発白内障、糖尿病性白内障、外傷性白内障、アトピーによる白内障、ステロイド白内障、放射線性白内障など原因により分類されています。
 現在、白内障の治療薬として数種類の点眼薬が処方されていますが、白内障を治すものではなく、進行を遅らせるためのものです。
濁ってしまった水晶体は何をしても戻りませんので根本的な治療法は手術になります。
手術は濁った水晶体をとりだし、代わりのレンズ(眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ)で見えるようになります。
現在は眼内レンズによる矯正が主流であり、局所麻酔で短時間に終了でき安全性のとても高い手術と言えます。
 眼内レンズは水晶体と違い人工のレンズですのでピントは1点にしか合いません。
術前に術後は、眼鏡なしで遠くを見たいかの(近くを見るときは老眼鏡が必要)、眼鏡なしで近くを見たいのか(遠くをはっきり見たいときには、遠用鏡が必要)を患者さんに聞いて眼内レンズの度数を決めます。
術前に眼鏡は老眼だけ、もしくは近視の眼鏡をかけているが、近くを見るときははずしている方はそのままの屈折状態の方が術後の満足度は大きいようです。
また、若い頃からずっと眼鏡をかけているので、近くを見るときは老眼鏡が必要でも眼鏡なしで生活をしたいと希望される方もいらっしゃいます。
簡単な手術ですが、術後どのように眼を使いたいかで眼内レンズの度数が変わってきますので、術前に先生とよく相談されることをお勧めします。
「術後しばらくは良く見えていたが、近頃見難い」と受診される方に後発白内障と呼ばれるものが生じていることがあります。
これは手術により濁った水晶体の中身をとりだし、残った袋の部分に眼内レンズを入れますが、袋が濁って視力が低下するものです。
レーザーによって袋を切開することにより視力は戻ります。
 白内障の症状は他覚的には水晶体の混濁ですが、自覚的にかすむ、まぶしい、近視になったようだ、明るいところで見づらいなどです。
その時々の症状で対処法が異なってきますが、少しでも見にくいなと感じましたら、白内障だけでなく他の病気かもしれませんので、眼科受診をお勧めします。

 術後副作用!?
「先生、白内障術後の副作用だと思うのですが。」「どうして?」「今までに、こんなにシミやシワはありませんでした!」
(あー前と同じだと思うケド・・・)心の叫び


これで、白内障の話のページを終わります。

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