アユ冷水病に関する質問主意書及び答弁書

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(質問日:2003年 4月24日 質問者:中村敦夫)
(答弁日:2003年 6月17日 答弁者:内閣総理大臣 小泉純一郎)

 アユ冷水病(以下「冷水病」という。)は、一九八七年に徳島県の養殖場において、初めて感染が確認された。しかし、冷水病に感染したアユ種苗の放流について規制がなされなかったため、全国的に発生域が拡大している。また、アユだけでなく二十一魚種において、冷水病への感染が確認されている。冷水病は、アユなどを大量死に至らせるため、漁業協同組合の遊漁権の売上げが減少するなど、社会問題化している。また、河川生態系の生物多様性を確保する上からも、冷水病は深刻な問題であると言える。

 以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、水産庁は、琵琶湖産アユの冷水病感染を、全国の内水面漁業協同組合に知らせたのはいつか。通知者名と併せて示されたい。

一について
 水産庁において、内水面漁業に関する記録が残されている平成五年度以降について調べたところ、全国の内水面漁業協同組合に対し、琵琶湖産アユの冷水病感染についての通知を公文書により行ったことはない。


二、冷水病は、琵琶湖産アユの放流事業によって、一九九〇年代に全国へ拡大したと疑われている。しかし、琵琶湖産アユへの冷水病感染を確認した後も、当面の間、これを全国の内水面漁業協同組合に知らせなかったと聞くが、その理由を示されたい。また、これが事実であれば、冷水病の拡大を黙認した水産庁、滋賀県及び全国内水面漁業協同組合連合会の責任は、重大であると考えるが、どうか。

三、冷水病の拡大を防ぐため、冷水病に感染したアユ種苗の放流を、早急に法令で規制すべきであると考えるが、どうか。

二及び三について
 昭和六十二年に初めて徳島県の養殖場で発生したアユの疾病については、平成四年に日本魚病学会において、当該疾病がアユの冷水病である旨の研究報告が発表されたところである。当該研究報告等を踏まえて、徳島県、滋賀県等の関係県においては、水産庁の指導により、アユの冷水病関係地域対策合同検討会(平成六年度から九年度まで)を、水産庁においては、関係都府県の研究機関、全国内水面漁業協同組合連合会等を構成員とするアユ冷水病対策研究会(平成十年度から十二年度まで)及び都道府県の関係部局、全国内水面漁業協同組合連合会等を構成員とするアユ冷水病対策協議会(平成十三年度以降)を開催し、アユの冷水病に関する共同研究及びまん延防止対策を実施してきたところである。

 都道府県においては、アユ冷水病対策研究会等を通じて得られた知見を踏まえ、アユの冷水病の発生域の拡大を防止するため、全国の内水面漁業協同組合に対し、アユ種苗の飼育管理技術、放流に当たっての留意事項等について指導を行ってきたところであり、これらの都道府県による指導を通じて、アユの冷水病に関する情報が全国の内水面漁業協同組合に適切に提供されてきたものと考えている。

 また、御指摘の法令による規制を行うためには、アユの冷水病の感染経路、発病条件、冷水病に感染したアユ種苗の放流とアユ冷水病の発生の因果関係等について相当程度明らかにすることが必要と考えられるところ、現時点においては、それらについて十分な科学的知見が得られていない。


四、アユ以外の魚種が冷水病に感染した原因について、冷水病に感染したアユ種苗の放流が原因と考えられるが、どうか。

四について
 アユ以外の魚種が冷水病に感染した原因については、アユ冷水病対策協議会の調査・研究部会において、アユから他魚種への冷水病感染の可能性についての研究等を実施しているところであり、これまで得られた研究成果によれば、アユから他魚種への冷水病の感染の可能性は低いと考えられるが、今後ともその解明に努めてまいりたい。


五、冷水病の発生した国内すべての場所について、発生状況を年度別・魚種別に示されたい。

五について
 冷水病の年度別・魚種別の発生状況で把握しているもの(アユについては過去十年間、アユ以外の魚種については過去五年間)は、別表のとおりである。