平成16年3月29日
平成16年(ヨ)第21号 仮処分命令申立事件
債権者 岡田みどり
債務者 財団法人二千五年日本国際博覧会協会
名古屋地方裁判所
御中
債務者代理人
弁護士 草野 勝彦
同 弁護士 平野 好道
同 弁護士 丹羽 正明
同 弁護士 清水 浩二
同 弁護士 渡辺 直樹
同 弁護士 河合 伸彦
準 備 書 面
第1 7号支柱の重量について
支柱自体は23.7トン、基礎のコンクリートは4つで122.7トンである。
第2 索道施設に関する基準に関しては、本件と直接関係になく、本来回答する必要はないと思料するが、念のため以下のとおり主張する。
1 索道施設に関する技術上の基準を定める省令(昭和62年運輸省令第16号。以下「索道省令」という。)第7条について
(1)索道省令第7条は、「索道線路は、索条、支柱、受索装置その他のこれを構成する設備にかかる荷重が脱索等の危険を生じさせるおそれのないものであり、かつ、搬器が停留場以外の箇所で停止した場合に乗った人を安全に救助することができるものでなければならない。」
と定める。
(2)これは、線路の選定に当たって検討すべきことを規定するもので、脱索等の場合には地上から救助する必要があるため、救助装置、救助の方法等について考慮し、乗客の安全な救助が可能となるよう、索条の高さ、線路下の地表面の地形、救助後のルート等を総合的に検討するものとするものである。
(3)従って非常用通路を作らなければならないという趣旨ではないと考えている。
2 索道省令第17条第1項について
(1)索道省令第17条第1項は、
「線路に近接する建造物等の状況、搬器の構造等を考慮し、物の落下による危険が生じるおそれのある箇所又は搬器に乗った人を保護する必要がある箇所には、適当な保護設備を設けなければならない。」
と定める。
(2)今回、物や人の落下等は考えられないため保護設備の設置は必要ないと考えている。
3 以上、搬器自体の性能も含め、各種法令を遵守し実施するもので、中部運輸局の許可を得ており(乙15)、充分なメンテナンスを行うことにより、危険のない運営を行うこととしている。
平成16年4月5日
平成16年(ヨ)第21号 仮処分命令申立事件
債権者 岡田みどり
債務者 財団法人二千五年日本国際博覧会協会
名古屋地方裁判所
御中
債務者代理人
弁護士 草野 勝彦
同 弁護士 平野 好道
同 弁護士 丹羽 正明
同 弁護士 清水 浩二
同 弁護士 渡辺 直樹
同 弁護士 河合 伸彦
準 備 書 面
第1 債務者は債権者の平成16年3月8日付準備書面の補充(1)に対し、次のとおり主張する。
1 債権者は、申立書 第3 申立の理由第1項において、索道7号支柱建設予定地周辺は、土石流危険渓流地域に位置することから、土砂災害の危険性が大きい旨主張していたものであるが、債務者が地形上の点、また災害マップの意味するところを主張しているところであって、債権者は第7号支柱工事によって、債権者に災害をもたらす具体的な危険性のあることを主張、疎明すべきである。
2 債務者は、あらたに非常時用の「道」を造る計画はない。経済産業大臣は、報告書に対し「乗客の安全対策等の観点から、新たに地形の改変が必要となり樹木を伐採する場合」について、環境への影響を最小限にするようにとの助言であり、「道」を作るように助言したものではなく、仮に作る場合にも環境への影響を最小限にするように助言したものであって、付近住民への土砂災害危惧にも目をつぶってでも道路を造ってもよいとのお墨付きがでたものではない。
3 索道施設に関する基準の点については、債務者の3月29日付準備書面で主張したとおりである。
第2 債務者は債権者の平成16年3月25日付準備書面の補充(2)に対し、次のとおり主張する。
1 債権者は債権者自身が町民の代表であるかの主張をするが、本件は債権者個人についての判断をするものであり、債権者の主張は失当である。
2 また、過去の道路建設計画等による苦しみ等は本件とは全く関係がない。
3 ゴンドラから債権者の住宅の内部を見ることができない距離にあることは既に主張したとおりであり、スモークがとぎれたら乗客は熱心に観察するはずであるとか、犯罪発生率が増加するとの主張は、債権者の想像に過ぎない。
4 甲8の土砂崩れと称せられるものが、どこでいつ起き、どのような規模であったのかは提出された証拠からは不明である。
債権者は何らの根拠もなく尾根を破壊するほどの規模であるならばという仮定に基づく主張をしているものであって、その主張に根拠はない。
5 求釈明第1項について、釈明は不要であると思料する。
6 同上第2項について、ルート6本は債権者の提出したおおむね甲28号証のとおり候補にあがっていたものであるが、現在の計画以外は、住宅あるいは公共施設の真上あるいは直近を通るため現在のルートを選択したものである。
7 同上第3項について、「国内でゴンドラが落ちたということは聞いたことがない。」という趣旨の発言はあったが、債権者の主張する発言はしていない。但し、事故については、緊急時にゴンドラが停止する検知装置や脱索防止装置等を装着しており、なんらかの原因で停止等することは考えられても、ゴンドラ自体が落ちることはない。メンテナンス等万全を期すことにより事故は避けられる。
8 同上第4項について、釈明は不要であると思料する。
9 同上第5項について、ゴンドラは万博終了後撤去する方針に変更はない。
撤去の方法等については、検討中である。撤去計画は、長久手会場・瀬戸会場・駐車場等の撤去と全て合わせて追跡調査の対象とし、長久手会場(元青少年公園)などの跡地利用の決定を踏まえるため、撤去計画の決定時期は未定である。当然、撤去計画は撤去開始前に策定し、撤去の方法を踏まえた追跡調査は公表し、関係機関の助言を得た上で行うものである。
10 同上第6項について、釈明は不要であると思料する。
11 同上第7項について、資材置き場は、行為面積673.09u内の蛇かご(乙10の4)上部を用いる予定である
12 同上第8項について、ヘリコプターの騒音と債権者の差し止めを求める権利との関係を明らかにされたい。その上で必要があれば釈明する。
13 同上第9項について、釈明は不要であると思料する。
14 同上第10項について、釈明は不要であると思料する。
15 同上第11項について、視界遮断フィルムの使用前と後の写真を比較したものであり、背景は同じである。3月8日の期日において、債権者にも遮断フィルムの現物を見せている。
16 同上第12項について、釈明は不要であると思料する。
第3 債務者は債権者の平成16年3月29日付準備書面の補充(3)について、次のとおり主張する。
1 求釈明第1項について、愛知高速鉄道(株)側がどのような発言をしたかは知らないが、万博ゴンドラについては調光ガラスは使用可能であり、使用予定であることに変わりはない。
2 同上第2項について、既存の道とは、防火、境界管理のための、愛知県の森林の管理用道路及びいわゆる山中尾根づたいの歩行可能なスペースを指す。
モニタリング調査は道路における浮遊粒子状物質の濃度の測定についてであり、いずれにしてもゴンドラの建設とは全く関係ない。
3 同上第3項について、右助言(債権者は「発言」としているが正確には「助言」である。)は経済産業大臣がしたものであり、その内容については債務者が関知するものではない。
なお、債務者としては現在新たな改変を予定していることはない。
4 同上第4項については、釈明は不要であると思料する。