平成16年3月8日

 平成16年(ヨ)第21号  仮処分命令申立事件

                債権者   岡田みどり
                債務者   財団法人二千五年日本国際博覧会協会

 名古屋地方裁判所
       御中

              準備書面の補充(1)

 平成16年2月18日提出の準備書面の3を補充をする。

 万博会場間ゴンドラ計画(以後ゴンドラ計画)においては 土砂災害は大きな危惧の一つである。(その根拠の一つである「土砂災害マップ」における指定について 「物理的観点から土地の形状を自動的に(オートマティックに)選別したのみ」というあたかも 「災害マップより災害危惧を感ずるは『杞憂』である」というような捉え方には 異議を唱える。土砂災害についてもっと切実な市町村の指定の記述は「警告」の意味合いがはっきり伝わる。(甲15)上之山町は「土砂災害警戒区域等のおける 土砂災害防止対策の推進に関する法律」による「基礎調査」をまだ終了しておらず 「番号」の有無についても定かではない。又 現に「番号」のない「危険個所」でも 甚大な土砂災害を被った場所はある(甲16)。よって 災害マップによる指定は 無条件ですべての国民に「警告」として真摯に受けとめられるべきであると理解しているし、事業者はさらに重く受け止めるべきと認識している。)

 7号支柱付近であり3丁目住宅に近接した土砂崩れ(甲8−1)は 平成12年1月4日 時点ではまだおこっていない。(甲17)このすぐ後 名古屋瀬戸道路(その後都市計画申請の取り下げ)のための測量、ボーリング等の作業が行われ 同年9月11日の東海大豪雨の後 この土砂崩れはおこったと思われる。そして これほどの土砂災害が 最近この里山の中でおこった例は 他にはないようである。よって「甲8の土砂災害」と「平成12年1月上旬に行われたボーリング等の作業」の間には因果関係があると思われる。因に この場所は「土石流危険渓流」ではない。

 今回の7号支柱は「土石流危険渓流」の中そのものに予定され その建設規模は ボーリング等の作業とは比べようのない大規模なものである。更に大きな災害が当然予想される。又 樹木伐採後は(松がれも加わり)保水力の低下も避けられず前述の危惧を大きくする。当然 債権者を含めた当町住民へ不利益をもたらす可能性がでてくる。

 又、7号支柱建設予定地と 尾根との間はわずかな距離でしかない。(甲18)土砂崩れで 尾根そのものが崩壊すれば土石流が債権者の住まいのある「三交住宅」に押し寄せる可能性はある。
 又、流域についてだが 地下水が流域範囲を越え地下深くでつながっていた例が海上の森であった。となると地図上のみでは 流域は見極めきれないのではないか。

 このように7号支柱1本のみでも土砂災害危惧が発生する上之山町の里山であるがゴンドラを実際に運行させるには「索道施設に関する技術上の基準を定める省令」の第7条に従ってゴンドラルートに沿って非常時用の「道」を作るはずであるので 災害危惧はさらに増す。
 平成15年10月9日の第4回追跡調査助言検討会で ゴンドラに非常事態が起きた場合は 「既存の道」を使う事で対応できると考えているとあるが この直後10月16日ゴンドラ死亡事故がおこり 非常用の道路の必要性が切実に増したため 同年11月14日の「環境大臣意見をふまえた 経済産業大臣意見」の中に「会場間ゴンドラについて、乗客の安全対策等の観点から、新たに地形の改変が 必要となり樹木を伐採する場合は、その場所の周辺環境への影響を最小限にするよう直接改変域を設定すること。」とあるのは 乗客安全対策のためなら 森林法もアセスメントも 付近住民への土砂災害危惧に目をつぶってでも「道路を造っても良い」と拡大解釈できる「お墨付き」がでたのではないか。しかし 前述したように ただでさえ 土砂災害危惧の町である当町にとってこのような「道路建設」は長期で広範囲に渡り土砂災害の危惧をもたらし続ける事になり 債権者を含めた当町住民の人格権を侵害する。

 又 同じく「索道施設に関する技術上の基準を定める省令」の第17条に従うと「・・・・・搬器に乗った人を保護する必要がある箇所には、適当な保護施設を設けなければならない」とある。本ゴンドラ計画同様 国道上をゴンドラが通過する例では国道上に「保護施設」がある。(甲19)しかし 万博ゴンドラルートも国道155号線上を行き来する予定だがそのような「保護施設」はみあたらない。(甲20)平成15年10月に起きたような「ゴンドラ搬器よりの落下死亡事故」が不幸にも国道155号線上でおこった場合 (そこは当町ただ一つの出入り口でもある)「保護施設」がないため事故は拡大し 債権者を含めた当町住民の日常生活に不自由をきたさせ 日本国憲法の第25条の「最低限度の生活を営む権利」を侵害する。


 プライバシーについては おって「準備書面の補充(2)」にて申し述べる。